今年は体調不良のためいろいろ変則的というか、あまりクリスマスらしいことはしていません。そんな中、自分にささやかなプレゼントをしました。ロバート・ヘンライ著『アート・スピリット』。原著は100年くらい前の本で、教え子の画学生に向けた手紙やアドバイスを集めたものです。でも、もっと広い意味で「激励される」本だと思います。
本体のシンプルなデザインと色(と、感触)が素敵なので、カバーを外して読んでいます。表紙に "Paint what you feel. Paint what you see. Paint what is real to you." と印刷されています。
| セルフ・クリスマスプレゼントを記念撮影。 カップは先日BOOTHで作った「青い紅玉」マグ。 自分用に注文しました。新しい机上の友です。(^^) |
本を知ったきっかけは忘れましたが、デビッド・リンチの本で言及していたらしいので、そこかもしれません。図書館で借りて手元にほしくなり、金欠の折から、ためたポイントを駆使して500円ほどで古書をゲットしました☆
| 入手した時の記念撮影。右がカバーです。 |
ひとつ引用しましょう。(読みやすさのために改行を加えます)
できるかぎり、
自分が本当は何を好むのかを見つけるべきである。
自分にとって何がいちばん大事かを見定めよう。
それから、自分の歌をうたおう。
きみにはうたうべきなにかがあるはずだ。
きみの心は歌であふれるだろう。語りたいことが身のうちにあふれているのに、
言葉の使い方がわからない。
そうなって初めて、その言葉を習得すればいいのだ。批評家のいうことをあまりまともに受け止めないこと。
芸術鑑賞は、愛と同じで、代用がきかない。
それは、とても私的な行為であり、一人ひとりに必要なことなのだ。(『アート・スピリット』P.136 ロバート・ヘンライ著/野中邦子訳)
「自分が本当は何を好むのか」は、神田の古本まつりに行った時にすこし取り戻した感覚でした。でもその後体調不良が戻り暗中模索していたところで、まさに救いを感じました。根本的に芸術活動は(上記の通り鑑賞も含めて)一人で行うものなので、後方支援をしてくれる言葉はとても貴重で大切です。
この本はこういう心の支えになる言葉にあふれていて、あっていうまに付箋だらけになってしまいます。原著のkindle版も廉価で手に入ります。でも翻訳が見事で心に響くので、並べて読むと翻訳の勉強になりそうです。
読了しておしまいではなく、それこそキリスト教圏の聖書のように(?)、手元に置いて折々にパッと開いたところを読む、みたいな付き合い方をしたい本です。
+個人的なお祝い
昨日は体調面でも一区切りで、じつは脳のMRI検査を受けまして、異常なしとの結果をいただいたところです。先月救急車のお世話になってしまいまして(ひどい頭痛と吐き気、めまいと指のつっぱりなど――あとから指の症状は過呼吸のためだったとわかりました)、そのときCTで異常はなかったのですが、念のためMRI検査をすすめますと言われ、それが昨日でした。一ヶ月も経ってるのでもう頭痛発作は収まってるし、十中八九なにもないとは思っていましたが、やはり安心しました。
帰りはお祝い気分で、ちょうどクリスマスでもあり、ちょっと奮発して横浜駅近くのルノアールでランチ。この近辺では貴重な「落ち着ける雰囲気」が好きなのですが、飲み物の価格帯が高いので(^^;)、年に一度行くかいかないかくらいです。
(▶ルノアール公式サイト。実際の照明は掲載写真より薄暗くて、落ち着いた雰囲気です)
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| ルノアールのミックスサンドとアメリカン。 |
今回はお祝いでレトロプリンも追加。食べ過ぎで苦しくなりましたが(笑)、持参していたレトロ本を読んだりして、贅沢な時間を味わいました。
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| レトロプリン♡横にちょっぴり見切れてるのが 文庫本『小人たちがこわいので』。 |
帰ってから家のクリスマスディナーをやろうと思っていたのですが、作るつもりだったリュウジさんの「やけくそパエリア」のYouTube動画を見直したりしているうちに時間が足りなくなり、外出の疲れもあったので、1日ずらすことにしました。なので、今日がうちのクリスマスディナーです。今年はクリスマスが平日で週末にずらす方も多いと聞くので、その一人になりますね。今回は節約・手間抜きバージョンで、ケーキではなくサバラン風のデザートを用意する予定です。
ふと昨年の日記を見返したら、11月頃は押し入れの板貼りや塗装をしていました。年末にはクリスマスケーキや手作りおせちまでやっていたりして。「すげえ、よくやったなあ!」と、なんだか別人を見る思い(笑)。今年は体調が許す範囲のことしかできず、結果的に本を読む時間が増えています。図書館の本を「読了して」返す、という体験が増えました。以前は少なかったのですが。
| 例年使いまわしているリースの土台。 22日にようやく出しましたが葉っぱをつけられず、 結局自室のデスク前の壁にかけました。 これはこれで雰囲気を楽しんでいます。 |
そうそう、市立図書館に萩尾望都先生の漫画がけっこうたくさん所蔵されているのを知り、未読だった『バルバラ異界』を読了しました。(やはり萩尾先生のSF系作品は別格で好きだなあ…♥)
なかなか新しいものを生み出せない現状に焦りを感じつつも、今はこんなふうに時間を過ごせること自体が幸運なのだ、と思う今年のクリスマスです。

