2017/04/28

追悼ジョナサン・デミ/『愛されちゃってマフィア』(1988)再見

映画監督のジョナサン・デミが亡くなったそうですね。昨日マーク・ゲイティスさんのTwitterページを覗いて知りまして、びっくりしました。73歳ということはそう若くもないのですが、なぜか自分のなかでは比較的若いイメージのままだったので。

『羊たちの沈黙』ではアカデミー賞もとっていますし、こちらで有名なんですが、自分がこの監督の名前を聞いてまず思い出すのは、『愛されちゃってマフィア』というチャーミングなコメディ映画です。すごく好きで、レンタル落ちですがVHSを買っていました。その後何度か見返していますが、昨夜は追悼を兼ねて再見しました。

ジャケットも色褪せており(^^;)DVDも出ているのですが、やはり宝物です❤


主演のミシェル・ファイファーはマフィアの妻役で、旦那(アレック・ボールドウィン。今やドナルド・トランプの物まねで有名ですが、この頃はひたすらハンサムでした)が殺されてしまい、子供を抱えて仕事を探し、自活を目指します。その彼女に潜入捜査で近づくFBI捜査官(マシュー・モディン)が彼女と恋に落ちるという、ストーリーだけ取り出すとなんてことない話なんですが、これがもう最高に楽しい! 

ミシェル・ファイファーは『スカーフェイス』でどーんと来た印象もあるので、まさにこういう立ち位置はうってつけ。それを逆手にとったコメディとも思えますが、「彼女はこんなにコメディうまいんだ」、とこの作品で初めて知りました。『バーディ』からマシュー・モディンに転んでいたので、たぶん見たきっかけはその流れだと思いますが、彼は正直かすみます。(笑)でも作品として最高でした。

未亡人になった彼女に下心いっぱいに迫る元旦那のボス(ディーン・ストックウェル。恐妻家なとこ似合います!(笑))、嫉妬深いその妻(これまたハマってるマーセデス・ルール。「怪女」と「母性」を両方出せる人で、『フィッシャー・キング』も最高でした!)、マシュー・モディンの同僚(オリバー・プラット。どこにいても印象的!)、就職先の美容師(名前はわからないけど「お次のカモは?」の台詞が最高(笑))と脇役も揃っていて、とにかく見ると元気が出ます。同時に女性をきちんと描くというか、広い意味でフェミニズム的な視点を感じる映画でした。といっても肩肘張ったところはゼロで、ひたすらチャーミングなんですけれど。

これを見てから「ジョナサン・デミ」が関わる映画は見てみたいな、と思うようになりましたが、プロフィールを見るとそう見てないです。圧倒的にこの作品と『羊たちの沈黙』のイメージになっています。

…とにかく、追悼というのを忘れて、久しぶりに思いっきり楽しんでしまいました。邦題のセンスも素敵。原題は"Married to the Mob"ですが、邦題のほうが内容にも雰囲気にも合ってて軍配です。エンディングのNG(?)映像がこれまた最高。あの「踊るミシェル・ファイファー」がもう可愛くて可愛くて。他の映画では「可愛い」というタイプの役はあまりやってない方なのですが、ほんとに可愛い。そしてうまい。褒めるとこばっかりです。(笑)

名作というのではないけれど、気楽に見られて楽しくて、元気になれる一本。見返してまた元気になれました。これからも折々見返す一本になると思います。



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別ブログに『サラエヴォの銃声』の感想をアップしました。
資料話として別の本の感想と一緒になっていますが、傑作でした!よかったら合わせてご覧くださいませ。

SUSSANRAP kindle books ブログ
『第一次世界大戦はなぜ始まったのか』と『サラエヴォの銃声』


2017/04/12

『モーガン プロトタイプ L-9』(2016)

ええと、この記事を仕上げていたらツイッターでSHERLOCKシーズン4の放映予定が飛び込んできたので、とりあえず公式にリンクを。7/8~で、その前にシーズン1からの再放送が5月からあるとのことです。

NHK海外ドラマスタッフブログ: SHERLOCK(シャーロック)4』待望の新シーズン放送決定!

…じつはシーズン3後はちょっと冷めた境地になり、『忌まわしき花嫁』で「もう無理しなくていいよゲイティス兄……(涙)」みたいなモードになってはいるのですが……IMDbによるとアンダーソンは出ないみたいですし……(ってそこか自分。おかしいだろ自分!(笑))…とまあそれはともかく、放映したらやはり見たいので、ネタバレ回避しつつ待とうと思います❤

では、映画の感想記事にいきます。またアリスさんです。はい。(笑)

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なんとなく行ったツタヤで見かけ、IMDbでジョナサン・アリスさんのプロフィールにあった"Morgan"……だと見当をつけて借りて参りました! リドリー・スコットの息子さんが監督したSFもので、お父上のプロデュース。まんま直訳のタイトルで助かりました!(違うタイトルになってたら絶対気づけなかった!)

内容は、遺伝子操作で作られた女の子の姿をした戦闘用新人類(?)が管理者を襲いだし……というアクションサスペンス。なんだかありがちな設定だなあ……なんて思ってたんですが、最後にひとひねりあって、なかなか深いところもありましたです。

若い女性や「女の子」がじつは戦闘能力を強化した「新種」、そして怖い展開に……というところはもう誰もが思うとおりで(笑)手垢がついてる印象なんですが、この作品では「小柄でかわいい女の子」であることが単なるサービスじゃないです。サービスでない証拠に、このキャラは「子供に等しい」ティーンエイジャーのイメージで、衣装も体型がまったく見えない。まあそれを脱いだシーンはありますけど、戦闘美女系映画のスカーレット・ヨハンソンを考えたらないも同然。(笑)あえて言えば、体型のアウトラインでかろうじてサービスするのは主演のケイト・マーラ。でもこの方もかなり小柄だし、衣装の露出度は低いです。

見た目「子供」なら周りは警戒しないでしょうし、はっきりとした戦闘・戦争とは違う「使い道」と需要がありそう。でも、よくありそうな「性的なファクターを前面に出す」という感じじゃなかったので、おなごとしては見やすかったでございます。『ローグワン』にも感じましたけど、そういう時代の流れはあるんでしょうね。

さてさて、話が飛びましたが、このモーガン「本人」の苦悩よりも、周りがどう反応するかに力点がある(ように見える)ところも、これはなかなか、と思いました。それと、まとめのシーンもまあ、ただのまとめというか、ちょっとしたどんでん返しを着地させるためだけのシーンですけど、そこも深いんですね。遺伝子操作でデザイナーベビーを作る延長で変にリアルにも感じられる。「できたもの」の能力うんぬん以前に、それに対して人がどう反応するか、という要素が多少大きめに扱われてるのは、B級SFアクションの枠では悪くないレベルに行ってると思います。

目当てのジョナサン・アリスさんは……なんと1カットの出演でした!(^^;)でもヒゲにメガネ、短い髪を七三に分けて撫でつけた、今まで見たことないルックスで台詞もありました。その台詞の言い方にもちょっと複雑な感情を込めてて(いや、深読みする必要まるで無しなとこですが(笑))、「豪華カメオ」という感じでとらえました。

豪華といえば、このアリスさんの役(1カットながらIMDbではデヴィッド・チャンスという名前あり)、ここで出てくるとあるお偉いさんのブレーンというか部下らしいのですが、そのお偉いさんを演じてるのがなんと"The Game"でMI5での上司「ダディ」をやったブライアン・コックス! そしてアリスさんよりはるかに目立つ役(モーガンの開発チームの一人)で、なんとSHERLOCKでアンダーソンと浮気していたサリー・ドノバン役ヴィネット・ロビンソン! 残念ながら(?)今回は別の方とのカップル役です!(笑)

開発チームのリーダーはトビー・ジョーンズ。もうこの方出るとへんな話でもリアリティが出る気がする。(笑)そしてチームの一人にちょっと懐かしいジェニファー・ジェーソン・リー(いや、私が出演作あんまり見てないだけかもですが)。主演にあたる、モーガンを査定しにきた危機管理コンサルタントが前述のケイト・マーラ。(見た作品は少ないけど、「ジェイミー・ベルくんの奥さん」とインプットしてました……確認したらまだ婚約中だったんですね。とにかく今回好演です!)ほかにモーガンの心理査定をする博士にポール・ジアマッティ。この役はちょっと行動が「プロットのため」すぎて不自然ではあるんですけど、この方もトビー・ジョーンズと同じで安定の「リアリティ製造機」。「役でやってるんだ」というのを一瞬忘れて「そういう人が映ってる」と感じます。名バイプレーヤーってこういうことを言うんでしょうね。

長編初監督でこれだけ脇にベテラン揃えられたのも、パパのリドリー・スコットの力かもです。とはいえ低予算なのは画面からもわかりますし、脚本にもところどころ不自然さがあるのは否めません。が、このジャンルでは敢闘賞だと思います。アクションは迫力もありましたし、投げかけているテーマも深読みすればけっこう深い。個人的に残念なのは、アリスさんが開発チームの一人でなかったこと……ああ、モーガンにやられちゃうところ見たかった……。(ごめんなさい(笑))

でも、(もし可能性があったとしても)開発チームにキャストされなかったのはなんかわかる気がするんです。チームのほとんどの人はモーガンに情を抱く設定なので。なんかアリスさん、そういうニンは弱い気がするんですよね。これまで目にしたものがタイプキャストなせいかもですが、逆に言うとあの官僚的な「いやな奴感」の醸し方はやはり武器だし。いや、別のパターンもいろいろ見たいですけど❤

…話がズレまくって失礼しました!(^^;)

2017/04/05

古本話とコミティアの予定

久しぶりにただの日記など。先月からフルに在宅仕事に戻ってまして、午後に運動不足解消を兼ねて少し離れたブックオフまで散歩したりしております。なかなか掘り出しものもあったりして、積ん読本が増殖してます。ただでさえ読むの遅いのでなるべく自重してるのですが、108円とか210円とかだと……ましてや絶版本の場合なんかはもう……ううう。(しかし今突然この世から本屋・古書店がなくなっていっさい本が買えなくなったとしても、今ある未読本だけでも充分死ぬまで持つというか、絶対読み切れないです……ハイ(^^;))

それはまあともかく、本日の収穫はこちら。映画になった『ブラジルから来た少年』と、立ち読みしてよかったので購入した『英語でよむ万葉集』です。



両方冒頭だけちらっと読んだんですが…『ブラジル』はなぜか文章自体にデジャヴが。映画は2、3回見ていますが、本は読んでないはずです。冒頭の「シーン」も映画と違うよーな気がするし、なぜ……? とつらつら考えて、前回映画を見直した時に、なんとなくで原書のkindle版を見つけてサンプルをチラ読みしたのを思い出しました。kindleはこの無料サンプルがありがたいっス♪ だいたい映画が気に入ると原作がある場合はアマゾンで検索してみるんですけど、古い作品は邦訳はなくとも原書はkindle版があることが多いのです。購入まで進むのはごく一部ですけど、とりあえずの好奇心を満たしてくれます。(^^)

kindleでサンプルから購入までいった数少ない映画原作洋書の1つが、『Nothing But the Night』。これはピーター・カッシングクリストファー・リー共演作『デビルナイト』の原作で、邦訳が出てないのです。(リー御大自前プロダクションの作品で、カッシングを招聘して共演……という、リアルの設定(?)だけでもファンには萌えまくりの一本なのです~! しかもカッシング丈の美老人ぶりは全出演作中でも屈指(当社比)……!❤

そういえば、以前カッシング、リー、ヴィンセント・プライスの「ホラー御三家」アンソロジーに『デビルナイト』のスピンオフみたいな二次小説を書かせていただいたことがありました。原作タイトルをもじったタイトルだったので、扉絵をちょっと掘り出してみます。設定が若い頃のお二人で少女漫画風に描いたものなので、いろいろご容赦下さいマセ~。(笑)



このお二人が演じたキャラクター(映画では名前とか設定とか微妙に違うんですが)が出る小説はシリーズ化してるようなんですが……全部は邦訳されてないんですね。映画になった『Nothing but the Night』は出してほしかったなあ……もちろん脳内変換して萌えようという魂胆ですが(笑)。シリーズの1つ『薔薇の環』というのを前に図書館で借りて読んだんですが、いろんな意味で好みのところがあったので(まあ脳内変換のおかげも大きいのですが(笑))他のも読んでみたいです。

話がだいぶそれちゃいました。今日ゲットしたもう一方の『英語でよむ万葉集』はぜんぜん知らなかった本で、これは拾いものでした! 著者はリービ英雄さん。予備知識まるでなかったんですが、プロフィールを見たら母国語は英語だけど日本語で創作をしてる方だそうで。この方が日本語で文章を書き始める前に、万葉集を読んで英語に訳してみたものだそうです。"英語の万葉集は、自分で日本語を書くようになる前につづった、ぼくのはじめての「創作」だった"と、まえがきに書かれています。文章を別の言語に訳してみる、というのは、原文を深く味わうには最高の方法ですよね。「楽しんで」訳されているのが伝わってきます。

自分なんぞは万葉集なんて馴染んでないですし、百人一首で聞いたようなものが(あれ、一部が違う?)あるなあ……という程度。日本語で読んでさえピンとこないですが、これが英訳されるとイメージが否応なく具体的になってわかりやすいです。「こういう表現になるのかあ……」という部分もなんだかそそられます。でも、古典語というのは、この「意味をとるのに時間がかかる」ところ自体が魅力のような気もするので、そこを含めて「古い英語」で再現するとしたら難しそうだなあ……とかよけいなことも思いました。(笑)

それはともかく、原文と日本語の現代語訳と英訳、それと解説というか、訳したときの気持ちとか含めてそれぞれに短い文章がついています。歌に詠まれてる奈良を若い頃に訪ねた話とか、そのときのときめきとか、「天の香久山」が行ってみたら丘程度の高さでガッカリした話とか……(笑)、なんかすごく気持ちがわかります。

寝る前に一首か二首分読むとスッと気分が落ち着きそう。新書ですからボリュームが手ごろで持ち歩きやすいのも嬉しい。ちまちまとゆっくり読み進めたい素敵な本です。普通の散文とはまた違う世界ですね。…ちょうど少し前に、英語の詩をきちんと理解したくて、これもブックオフで(^^;)基本的な解説をしてくれる本をゲットしたのでした。こちらも拾い物の絶版書だったんですが……話が長くなるのでいつか改めて書けたらと思います。

…さてさて、話は変わりますが、来月5/6、久しぶりにコミティアに出展することになりました。気が付いたら夏までイベントがないのが寂しくて、なんとなく申し込んでしまいました。無事スペースがいただけたので、ご参加の方はぜひお立ち寄り下さい。オリジナルの創作オンリーイベントなので、またイアンシリーズがメインになります。コミティアに持って行ったことはないので、BL系エリアに初めての参加、ということになりますね。イアンの新作を間に合わせるのは無理ですが、またお試し短編の無料配布をやります。他は未定ですが、どうぞよろしくお願いします。

コミティアといえば、大好きな漫画家の内田美奈子先生もときどき出展なさっていて……今回はどうかまだ知らないのですが、pixivのBOOTHっていう販売サイトでグッズの販売もなさっておられます。先日新作が加わってたので、ファンの方はぜひどうぞ♪ 私も金欠病を改善したら買いに走りたいですー☆(^^;)


『赤々丸』の猫族解放同盟のリーダーテテのバッジは、じつは昨年コミティアでゲットしました!(あと、飛夏ちゃんのメガネふきも。これは完売したのかBOOTHにはありませんね。しっかり毎日愛用させていただいております♪)

…コミティアはほんとに参加なさってる方のレベルが高い上に、今回は土曜開催ながら5300サークル超えだそうで。しかもやはり漫画がメインなので、うちなんぞは足を止めて下さる方はおられるかどうか……という感じですが、よかったらぜひぜひ無料本だけでも持ってってやってくださいませ。また直前になったら告知させていただきます♪

配置ナンバー W60b SUSSRAP
母艦サイトの同人誌コーナーで詳細をお知らせしています♪
SUSSANRAP

…あ、そういえば先日kindleサイトのブログのほうで、部屋から発掘(笑)した古本のお話を書きました。なくしたと思っていたハモンド・イネスの冒険小説『銀塊の海』を発見してうひょーってなりました(笑)。その他ツインピークスの『クーパーは語る』の原書、ジョン・ハート主演作の原作などなど、いろいろビミョーに懐かしいものが出てきました。あちらはまだ記事が少なくてトラフィックがすごく少ないので、ちょっと宣伝させていただきます。(^^;) サイトには新しくイラストコーナーなんかもできて、少しずつコンテンツを増やしています。ブログもマイペースで更新していくつもりなので、よかったら覗いてやってください♪


久しぶりなもので、いろいろ錯綜して失礼しました☆