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【イベント参加予定】2024/5/19 文学フリマ東京38 / 2024/5/26 COMITIA 148

2021/01/30

皆川達夫さん①:「ムジカ・ムンダーナ」なすれ違い

皆川達夫さんは、昨年4月に92歳で亡くなった音楽学者/合唱指揮者さんで、NHKラジオのクラシック番組『音楽の泉』で長年司会を務められたことで知られています。でも私がにわかファンになったのは亡くなった後で、追悼として再放送された2005年の番組(NHK『こころの時代「宇宙の音楽(ムジカ)が聞こえる」』)を見てからでした。見るとなんだかゆったりした気持ちになれるので、今でもときどき見返しています。(レコーダーが古くてDVDに焼けないので、再生できなくなったらどうしよう、ソフトとして販売してくんないかな、なんて心配しています(笑))


この皆川さんからイモヅル式に素敵な音楽やらなにやらに出会ったり、いろんなめぐり合わせがあったので、ご紹介しながら書きたいと思います。後に発見したページのリンクなども置かせていただきます。


皆川達夫さんの著書『中世・ルネサンスの音楽』。
一連の偶然がなければ手に取ることはなかったはず。


(※「先生」と呼ばれるのがあらゆる意味でふさわしい方なのだと思いますが、直接教えを受けたわけでもない立場でそう自然に呼べる場合と、自分にとって「それは逆に厚かましい感じがする」という場合があります。これは時間と共に変わったりもするのですが、今は「厚かましく感じる」ので、あえて「皆川さん」で書かせていただきますね)


『音楽の泉』から

『音楽の泉』を知った経緯は、じつは図書館のリサイクルコーナーで同名の古い本を入手したことから始まりました。ラジオの『音楽の泉』の解説をまとめた本で、発行は昭和28年。著者は初代の司会を務めた堀内敬三さんです。


図書館のリサイクルコーナーで入手した
昭和28年刊『音楽の泉』


番組はクラシックの名曲を解説と共に流すもので、当時としては多分に教養番組的な位置づけでしょう。ちょうど自分も「おおざっぱに古めの音楽」への興味がちょっとだけ再燃していたところで――聞くだけで蘊蓄を蓄えることにはあまり興味が湧かないのですが(笑)――昭和の「教養主義的」雰囲気レトロな魅力があって気に入り、連れ帰りました。そして『音楽の泉』が現在も続いている番組だと知ったのでした。


早速番組を聞いてみたかったのですが、あいにくレギュラーで見ているTV番組(『趣味の園芸』(^^;))と同じ時間帯なので、断片的にしか聴けていませんでした。そのうえ聴き逃し配信もないんですよね。(NHKラジオの音楽番組、特にクラシック系はほぼないですね。流す音源の権利の問題でしょうか)

とにかく「現在の司会は皆川達夫さんという方だ」、というのだけは認識し、上品な語り口も番組ページの写真も素敵だなあ、と思っていました。


そしてようやく『趣味の園芸』を予約録画にして、『音楽の泉』をオープニングから聴けた日――司会は別の方になっていました。直前に引退なさっていたのでした。そして1ヶ月もしないうちに、新聞で訃報を知りました。ろくに知らない人なのに、自分でも不思議なくらいショックでした。いまだに切り取った訃報記事を捨てられないくらいです。


今調べて見ると、『音楽の泉』出演最終回の放送が3/29、亡くなったのは4/19です。ほんとに最後まで現役で仕事をしていらしたんだなあ、とも思います。


『こころの時代』と「ムジカ・ムンダーナ」

しばらくすると、先ほど書いた番組『こころの時代』の追悼再放送がありました。あの方だ、と気づいて録画し、それを見て想定外に「やられてしまった」のでした。いえいえ、単にイケメンじいちゃんだったから、だけではありません。


子供の頃は謡曲が好きだったこと、だから仲間からアブノーマルの「アブちゃん」と呼ばれていたことなどを語り、なんと謡曲を一節うなって見せてくださったんですね。それがとてもうまくて! 自分もミーハー止まりながら歌舞伎などの古典芸能が好きでして、和洋折衷とか自由なフュージョン精神とかも大好きなので、もう一瞬にしてファンになってしまいました。


そして話す様子のほがらかで楽しそうなこと! 子供の頃いじめっ子を警戒して短刀を持ち歩いていた、なんて話もサラッと語られているんですが、じつににこやかに爽やかで、見ているこちらまでニコニコしてしまいます。


でも番組で一番惹かれたのは、これで初めて知った「ムジカ・ムンダーナ」などの概念でした。中世ヨーロッパの考え方では音楽(ムジカ)は次の3つがあるそうです。(参照は冒頭に写真を貼りました『中世・ルネサンスの音楽』です)

  • ムジカ・ムンダーナ
    (宇宙の音楽:天体や地球=マクロコスモスが作り出す聞こえないムジカ)

  • ムジカ・フマーナ
    (人間の音楽:人間の精神や肉体=ミクロコスモスを律する、これも聞こえないムジカ)

  • ムジカ・インストゥルメンターリス
    (道具の音楽:耳で聞くことのできるムジカ。いわゆる音楽で、「道具」には楽器だけでなく声なども含まれる)


これを聞いた後に、倍音(合唱がうまくいったときに発声されていない音が響いてくるという現象)のお話や、音階の数学的な側面などものすごく面白いお話があって、それまで知っていた「音楽」の世界よりも広い、むしろ物理学寄りの、「科学的に正体があるものだけど不思議」という、大好物な印象を受けたんです。ピタゴラスなどの話は過去のどこかで聞きかじってはいましたが、きちんと「腑に落ちた」のは初めてでした。


で、そのへんを深掘りしたくて皆川さんの著書を買ってみたり、他の本を調べてみたりしたんですが、「ムジカ・ムンダーナ」は音楽の本では枕程度にしか触れられてないんですよね。それでいったん辿るのは諦めました。



そういえば、「天球の音楽」ってどこかで聞いた言葉のような気がする……予備知識なしに聞いても素敵な言葉ですし、フィクションやらなにやらで元ネタになっているんでしょうか。寡聞にしてきちんと作品として読んだ/見た記憶はないのですが(…のはず。最近記憶に自信がないので忘れていたらスミマセン)、自分もいつかネタにしようかな……などと下心が出ないこともありません(笑)。でも単に好奇心を満たす意味でも、二次使用例でなく一次資料に興味があります。今回この記事を書くために調べ直したら、「中世の(現代から見ると面白い)世界観」自体を主題にした流れで出てきたので、また折を見て辿ってみようと思っています。



リンク集

さて、皆川さんに戻りますが……ググってみると、幼少時のお話からご研究成果である隠れキリシタンの「オラショ」とグレゴリオ聖歌の関係、主催なさっていた中世音楽合唱団のことなど、出てくる情報はほぼあの番組で語り尽くされていました。いきなり濃いエキスだったんですね。ご本人の言葉で聞けて、幸運といえば幸運でした。それにしてももう少し早く知りたかったけれど。


ネットで見かけた中でも、いくつかとっておきたい貴重なページがありました。自分の記録も兼ねてリンクしておきます。


龍翁炉辺談話
(「中世音楽合唱団」さんのウェブサイトにある、皆川さん自身によるコンテンツ。既出原稿の転載のようです。まだ読了できていないのですが、ご自身の半生と「オラショ」についての記事で、『こころの時代』では触れられていなかったことも読めそうです)


皆川達夫さん追悼「レコード芸術」1999年10月号より:
「私の仕事部屋」第22回:「下手でも自分で音楽をする喜びを一番大切にしたい」

『こころの時代』が収録されたお部屋ですね。飛行機模型とかなんとも素敵。


【皆川達夫さん追悼】「ここでお別れいたします。皆さん、御機嫌よう、さようなら」
キリスト教ニュースのページ。『こころの時代』でも触れていましたが、皆川さんは「オラショ」の研究がきっかけで60代になってから洗礼を受けたそうです。他界することを「帰天」というのですね。著書の編集者さんの思い出話もあって貴重です。


YouTube: 皆川達夫先生3月29日「音楽の泉」別れの言葉
あっさりとしたご挨拶。逆に心に残ります。


何度か言及した番組『こころの時代』について、とても詳しくまとめていらっしゃるブログを見つけたのでリンクさせていただきます。


皆川達夫:宇宙の音楽が聴こえる


上記でリンクを貼っていらっしゃる、パレストリーナ(皆川さんが古いヨーロッパの音楽にはまるきっかけの1つになったという作曲家)の代表曲の動画を貼らせていただきます。聞いてみてください。ほんとうにふわーっとどこかへ昇って行ってしまいそうな音楽。こういうものがあっさり聞けるなんて、ありがたい時代です。




私的感慨:偶然の連鎖と「ムジカ・ムンダーナ」なすれ違い

こういう古いヨーロッパの音楽を意識して聴くのは、昔グレゴリオ聖歌がブームになった時以来なのですが、じつはあのブームも、皆川さんが日本に紹介したことが引き金になったらしいです。当時は知りませんでした。

最近またこの手の音楽を聞くようになったきっかけは、やはりNHKのラジオで『古楽の楽しみ』というのをたまたま聞いたためです。これも前身は『バロック音楽の楽しみ』という番組だったそうで、これまた皆川さんが司会をしていたと知り驚きました。なんだか大仏様の掌でクルクルしているみたいです。(笑)

そしてごくごく私的なことで恐縮なのですが、プロフィールを見たらお誕生日が一昨年亡くなった父と同じで、不思議なご縁を感じました。今思うと「だからなんなんだ」という程度のことですが、皆川さんの訃報を知った頃はまだ父の他界から一年ほどで、こういう偶然が心に響く時期でした。


また、『古楽の楽しみ』を聞けたのもちょっとしためぐり合わせです。自分の部屋はラジオの電波状態が悪く、かなり長い間ラジオは聞いていなかったのですが、一昨年スマホを買ってから手軽にネットラジオが聴けるようになりました。それで朝にラジオ英会話を聞く習慣が甦って、たまたま同じ時間帯だった『古楽の楽しみ』を耳にしたのです。スマホはなかなか手を出さなかったほうで、父が倒れた際に急な連絡を受けられるよう、否応なく購入したのでした。これがなければ今頃『古楽の楽しみ』の存在も知らないはずですし、『音楽の泉』の司会交代にショックを受けて追悼番組を見ることもなかったはずです。


思い返すと、そもそも古書の『音楽の泉』を手に入れたのは地元図書館のリサイクルコーナーでした。(所蔵本の処分ではなく、利用者が不要の本を持ってきて並べ、欲しい人が持って帰れるコーナーです)もらってきたのは一冊だけですが、シリーズがずらりと並んでいました。たぶんリスナーだった方がリアルタイムで購入なさったものでしょう。もしかしたら、その方も人生の終盤を迎えられて処分したか、ご家族が持ち込んだのかもしれません。そう考えると私個人にとっては大きな偶然の連鎖があったことになります。


訃報や追悼報道で、初めて誰かについて詳しく知ることはよくあります。個人的には、たとえば俳優の大川橋蔵さん。追悼放映された『雪之丞変化』からドはまりして、作品を見まくったり同人誌を作ったり、そこからいろんなご縁ができたりしました。自分の人生のある時期を形作る大きなパーツの一つになりました。



今回も生死で分けられた「すれ違い」を経験したわけですが、それこそムジカ・ムンダーナなレベルでSFっぽいイメージが湧きます。宇宙空間を飛んでいる小さな石ころの私が、一生を終える赤色巨星の前を通りかかり、そこに落ちるほど近い距離ではなかったけれど、その重力に引っ張られて周囲をくるりと回っているような。あ、赤色巨星では爆発しちゃいますね。(笑)もっと良いアナロジーはあるかもしれませんが、こういう連鎖や関係性の渦は、あちこちで、いろんなレベルで起こっているんだろうなあ……。

……なんて勝手な夢想失礼しました。ここまででけっこう長くなっちゃったので、いったん切って「①」とします。他にまったく違うベクトルでの発見があったので、それについてはまた改めて。

2021/01/22

朗読音源とアーサー・C・クラーク賞受賞時の動画(出張版テッド・チャンさん備忘録)

スミソニアン国立航空宇宙博物館のポッドキャストで、テッド・チャンさんご本人が"The Great Silence"の朗読をなさっている音源を見つけました。 音声ファイルのダウンロードもできます!(涙もの!)

AirSpace Presents Voyages to Mars: Searching

続けざまに五回ほど聴いてしまいました。声が好きなので自作朗読はずっと聴いてみたかったんです。有料でいいから聴きたい! いっそ売って!とか思っていたら、あっさりこんな形で……申し訳ないくらいです。今年は幸先が良いぞっ❤

ええと、番組コンセプトがよくわかってなかったんですが、昨年打ち上げられた火星探査ローバーPerseveranceにからめたポッドキャストのようで、テーマに沿った文芸作品を音楽付きで配信する企画のようです。

ローバーの火星生命探査に絡めて、電波望遠鏡による太陽系外の生命探査も行われていることが言及され、"The Great Scilence"に出てきたアレシボ天文台が12/1に崩落したことに触れ…(知りませんでした…) 「“The Great Silence” のなかで、作者のテッド・チャンはこの望遠鏡を取り上げ、その周囲に生息する動物の重要性を考察している」と紹介されています。

アレシボの事故をググってみたら、こんな記事と動画がありました。

【動画】アレシボ天文台、受信プラットフォーム崩落の映像。再建求める動きも

この天文台の周囲の森にいるアカビタイボウシインコが語る物語。短いけど泣ける珠玉の一作です。英語テキストを読みながら聴けば素晴らしい学習教材にもなりますね。贅沢すぎます。ありがとう。(^^)

 

もう一つは、前の記事に掲載した動画をYouTubeで見た時、ついでに検索して見つけたもの。 昨年10月にアーサー・C・クラーク賞の"Imagination in Service to Society Award"を受賞した際の動画だそうです。「サイエンス・フィクションは未来が現在と同じである必要はないと思い出させてくれる」とか、資本主義や不平等をクリティカルに考える機会をサイエンス・フィクションが作れるとしたら、どんな形でだと思うか、など、興味深くて注意深く読みたい問題提起、やりとりがあります。自動翻訳字幕がちょっとアレなのですが、参考にしつつゆっくり聴いてみようと思います。




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 *旧母艦サイトにチャンさんの情報コーナーを置いていますが、モバイル対応でないため、更新時に出張版としてここにも同じ内容を置いています。ここにないバックナンバーはこちらにございます。

テッド・チャンさん備忘録(PC用旧サイト内コーナー)

韓国でのリモートインタビューなど(出張版テッド・チャンさん備忘録)

 私事に追われてなかなか記録出来なかったのですが、昨年10月に、韓国ソウルで行われたWowbook Festivalというブックイベントでのテッド・チャンさんのリモートインタビュー情報をいただきました。(K様、ありがとうございました)

自分がリンクを開いたときにはすでに公開時間が終わっていたのですが、今日改めて見てみたら見られました。でも限定公開となっているのでリンクは控えておきます。代わりに限定公開ではない、配信元さんが12/29付けで公開している編集版動画を見つけたので、そちらを貼ることにしました。その他公式サイトや関連ブログ、Twitterでのご感想リンクなど、たくさんの情報をいただきましたので、合わせて記録させていただきますね。

公式サイト http://wowbookfest.com/board_ZrGa84/12864

下はインタビュー編集版で、動画自体に韓国語字幕がついています。テーマは主に『あなたの人生の物語』について。Youtubeの字幕も韓国語固定なので、日本語への自動翻訳を設定して見たら、精度はいまいちですがおおまかなところはわかりました。(思えばすぐお隣の国の言葉がわからないなんて切ないなあ…)

  


ただ、英語部分も韓国語として認識した自動翻訳になるので…英語も聴き取り難民なのでところどころだけ、メモをとりました。以前他のインタビュー等で答えていたこととも重なりますが、以下のような感じです。(間違っていたらスミマセン。あとにご感想ツイートのリンクもあるので、参考にしてください)

大きな質問は3つでした。

・Q1. メインキャラクターを言語学者と物理学者にしたことについて

ウンベルト・エーコの『完全言語の探求』という本に触れていて、あとにリンクを貼っているご感想ツイートに詳しいです。
言語学者と物理学者が結ばれるという話だけれど、キャラ同士が相手に説明することで、読者にも言語学的側面と物理学的側面を説明できる、という実際的な利点もあった、とのこと。

・Q2. 映画のへプタポッド文字はああいうデザインでしたが、考えていたものとの違いは?

書いているときには具体的に文字の形をイメージしていたわけではなく、映画の文字デザインにも関わっていない。円形にするアイデアは、脚色したエリック・ハイセラーさんがピッチをしに来た時にすでに持っていたようです。彼は脚本自体を円環構造にしている(カードを並べた?みたいに聞こえたのですが…)。漢字からの発想ではない。漢字は話し言葉を文字にしているので(そうかしら?)。むしろアメリカの手話(sign languageですが、「手話」でよいかどうか確認中です)からインスピレーションを得た…という感じ。インタビュアーさんはタイポグラフィーの研究をしていらっしゃるようで、興味が沸いたとおっしゃっています。

Q3. ・物語の構造について。ルイーズがへプタポッドの文字と時間感覚を身につけて行く過程(仮にストーリーa)と、娘の人生を含むルイーズの実際の生活(ストーリーb)の織り込み方は、どういう風に考えたのか?

最初はルイーズの実人生のほうを逆向きに遡る形にし、シンメトリー構造にしようと思ったがうまくいかなかった。やっていくうちに円環構造のほうが感情的にうまく着地すると判断した、というようなお話…だったと思います。

・今後の予定について

申し訳ないけれど、書いている作品について話すのは好きじゃないので言えません、とのこと。いつも通りですね。(笑)

もちろんもっといろいろ話していたんですが、力が及ばずゴメンナサイ。でもリモートでのやりとりは一般的なものになりましたし、こういうイベントでの露出は増えるかもですね。嬉しいことです。

 

参加者さんのTwitterでのご感想

編集前の動画では英語に訳すプロセスも挟まったため、チャンさん自身が話し始めるまでにかなり時間がかかったりしていました。そのせいか、情報提供者様によると参加者さんにはあまり好評ではなかったようです。(最後の猫の話を除いて、とのこと。猫は元気ですが、と聞かれて空気が和んでました。これも下のツイートにあります) でもインタビュアーを務めたJiwon Yuさん(韓国で著名な方だそうです)はチャンさんの大ファンだそうで、チャンさんもそれを承知しているらしいとのこと。その点では雰囲気の良いインタビューになっていたんではないでしょうか。

 

https://twitter.com/nextblank/status/1314932548263264256

https://twitter.com/nause_a/status/1314935155740483584

https://twitter.com/Lady_merida/status/1314915248877391874

https://twitter.com/_equibrium/status/1314948137702760448

 

インタビュアーを務めたJiwon Yuさんのブログ
https://blog.naver.com/pamina7776/222023632691

内容は『商人と錬金術師の門』をテーマにしたアート作品の紹介で、ブッククラブのメンバーさんと共に制作されたようです。作品の時間の関係をアートで表現しています。きれいな写真がたくさん見られます。

最後の写真もとても貴重でした。ブッククラブのメンバーさんがチャン氏にサインをもらった際、SF作家になりたいと伝えたら書いてくださった言葉だそうです。

"MY ADVICE TO YOU IS THIS: GIVE VOICE TO YOUR ASTONISHMENT."
(アドバイスはこうです。:あなたの"ASTONISHMENT"に声を与えて)

ASTONISHMENTは辞書では「驚き」なんですが、良い意味でのショックというか、新鮮な驚き、もっと広げると、よく言われる「センス・オブ・ワンダー」かな?(私はあんまりよくわかってないですが(笑)) その驚きやそれをもたらしたものを、言葉を使って頭から外に出す、表現する……という感じでしょうか。 覚えておきたい言葉です。


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*旧母艦サイトにチャンさんの情報コーナーを置いていますが、モバイル対応でないため、更新時に出張版としてここにも同じ内容を置いています。ここにないバックナンバーはこちらにございます。
テッド・チャンさん備忘録(PC用旧サイト内コーナー)

2021/01/19

評論系同人誌電子化のこと:②「サブカル同人誌」という新たな地平(おおげさ☆)

というわけで続きです。前回書きましたが、「サブカル同人誌」というこのキーワード、じつはフロマージュブックスさんが一部の巻をカテゴライズしてくださったもので、できあがった商品ページを見て初めて知りました。自分の意識にはなかったキーワードなので、目からウロコというか、ある種の解放感がありました。そのへんに関するアレコレを、自分の考えを整理するためにうだうだ書き出します。(笑)

解放感があった、というのは……今さらですが、現在「同人誌」といえばなんらかの形のエロスの表現が前提になっていて、女性向けの場合はある作品の男性キャラクター同士を同性愛に見立てた「二次創作の漫画(あるいは小説)の薄い本」を、ほぼ限定的に指しています。イベント申し込み欄では「カップリング」という項目が必須になってるくらい。解放感とは、その外側にも同人誌の世界はある、と思い出させてもらったことです。

もちろん自分も腐女子のはしくれですから、棚に上がるつもりは毛頭ございません。「いわゆる同人誌」のアプローチは作る方でも読む方でも充分楽しんできました。ですが、これがけっこう不自由な所もあります。「そこ」にうまく収まらないアプローチの本ですと、二次創作でさえ実に肩身が狭く、説明も難しいのです。同人誌って本来はもっともっと自由なもののはずなのですが、皮肉なことです。(『追憶のシャーロック・ホームズ』をイベントで販売していた時、いきなり当たり前のように「どっちが上ですか?」と聞かれた時のショックはいまだに軽くトラウマです(笑))

まあそれはいいとして、今回電子化したシリーズは「評論」というジャンルで登録しました。同人誌ジャンルとしては他に受け皿がない、というのが正直なところ。個人的には、厳密な意味での「評論」とは作品の感想や批評に毛が生えたものではまったくなく、新たなものの見方やイメージや観念を提示してくれるものだと思っています。知識を提供するというのとはちょっと違って、その知識をどう縫い合わせてどういう図を描いてみせるかがキモだと感じています。だから、博覧強記が必ずしも評論として優れているわけではないと思っています。少なくとも自分がこれまでに読んで「素晴らしい評論」と感じたのはそういうもので、自分の感想と合うかどうかという次元のものではありませんでした。だから未見作品の評論でも得るものがありました。

自分の評論系の本は、そういう意味での「評論」だとは思いませんが、少なくとも楽しく読んでいただけたら、これ以上のことはありません。幸い洋画レビューでは「未見作品のレビューでも面白く読めた」とご感想を頂けて嬉しかったのですが、ぶっちゃけ同人誌は作る過程自体を「作る側が楽しむ」ものでもあり、読んでくださる方に何を提供できるかは、(少なくとも自分は)一番最初の工程ではあまり意識していません。意識するのは最終的な誌面デザインや推敲の段階になってからで、読みやすくなっているかどうか、意図したとおりに伝わる表現になっているかどうか、という面にすぎません。

どれだけ誤字・脱字や間違いを駆逐して(そういう意味での)品質を上げられるかは、ひとえにこの段階の努力にかかっていて、「見た目を良くしていく」過程自体にも面白さがあります。時間さえあればえんえんとやってしまう所です。逆に初稿がやりたい放題なおかげで、同人誌では妙に熱量のあるものができやすく、そこが「同人誌独特の面白さ」にもつながるのかもしれません。萎縮する理由がないですから。

もちろん、商業出版に近い感覚で計画的に作られる同人誌の世界があることは、自分もぼんやりとは存じています。何年か前、イベント後に食事していたビッグサイト近くのレストランで、偶然隣のテーブルのお兄さんたちが「企画会議」をしているのが耳に入りました。会社みたいな考え方で驚きました。それに比べて、自分の活動のなんと牧歌的なこと。自分にはこの面が足りなくて、現実的に活動を続けて行くためには勉強していかなきゃいけないと思っています。

ただ、自分の興味を離れてあのお兄さんたちのように、「たくさん売れそうなもの=作るべきもの」という視点には立てそうもないです。(ゆえに、どこまでいってもアマチュアかもしれません。どうせなら良い意味でのアマチュアになりたいものです)勉強するべきだと思うのは、現実的な部数の算出方法とか、読んでいただけそうな方に作品を知っていただく努力に関してです。

…今回つけていただいた「サブカル同人誌」という区分は、いろんなアプローチが想像できて、煮詰まっていたところに風穴を開けてもらった感じがしました。サブカル同人誌というと、個人的にはミリタリーとか料理とか旅行とか、その手の「現実世界で身体的に行う趣味に関するもの」というイメージがあったので、フィクション作品について書いたものがそれに入れていただけるとは思っていませんでした。見てみると「作品解説本」的なものもけっこうあって、なるほどな、と思いました。

「解説」という言葉は、自分が使うには「評論」以上におこがましく感じられるのですが(自分の感覚だと、「解説します」と言えるのは作者さんか池上彰さんだけのよーな気がする(笑))、でも「同人誌の区分として」、特に今回電子化したシリーズでは(鑑賞者の目線で)似たようなことをやってるな、とは思いました。それでタグにも、恥ずかしく思いながらも「解説本」などを加えました。今回については、そのキーワードで接点ができる方々とあの本が合っているかどうかは疑問なんですが、自分の視野が広がったことは確かです。

思えば昔の同人誌には「二次創作」というジャンルはなくて、あってもそれは「パロディ」でした。そして即売会で売られているものは、けっこう「ファンクラブの会報」という体裁のものが多くて、それこそ作品の評論や研究をやっていて、青臭くとも「解説」もしていたりして、その商業誌にはない熱気が魅力だったわけです。その空気を吸って育ったためか、自分の作ってきた(オリジナル創作・二次創作以外の)本は「ひとりファンクラブ会報」みたいなものだと思います。

(余談ですが、日本ではこの「ファンクラブ会員が年会費を払って会報を読む」→「会員以外にもイベントで頒布する」という流れから、ファンの作った本を売る・買うという行為が自然に広がって、コミケ文化として発展してきたんじゃないかな、とも思います。よく「なぜネットじゃだめなんだ」という議論がありますが……いやいや、活動として別物ですよね。(笑)いまやその中心は二次創作に移っていますが、周りに印刷所さんやイベント会社さん、同人誌書店さんなど一大同人誌産業ができていて、また昔とはまったく違う風景になっています。このへんは、今回のコロナ禍でいろんな問題が報道されて、初めて切実に意識しました。これまで意識しなかったのは、作っていたのが主にコピー誌だったせいかもしれません。自分のことしか考えていませんでした)

「サブカル同人誌」というジャンルを広くとらえると――まあ、「一次/二次創作でない」という程度の区分かもしれませんが――これまで「同人誌では表現できない」と思ってお蔵入りにしていた企画が、もっともっと形に実現できそうな気がしてきました。新たなトビラを開けてくださったフロマさんに感謝です。ちょっと大げさかもしれませんが、自分にとってはまさにそんな感じです。

(…なんですが、いまフロマさんで「サブカル同人誌」で検索すると、なぜかうちの本は出なかったり……。(笑)システム的な紐づけではなく、内部はかなり人の手で作業してらっしゃるようなので……その分細やかな融通を利かせてくださったりもするのですが、まあ検索は大切な問題なので、機会があったら聞いてみようと思います。どちらにせよ盛りを過ぎたドラマの深掘り本ですから、いつか読みたいと思ってくださる方が現れた時のために、手軽に読める手段を残しておきたい、という程度のことではあります)

ただ、いくつか自分がやってみたい/復活させたいテーマを思い浮かべてみると、「そういうのが読みたい人は同人誌で探さないだろうよ」と自分からツッコミが入ります。でも、自分がこれまでに作った一次/二次創作でないアプローチの同人誌を好んで読んでくださる方々が、同人誌イベントにある程度いらしたことは確かで、自分の中にある「やりたいこと」を表に出す選択肢が増えたことも確かです。

同人誌/個人出版で問題なのは、本を好んでくださりそうな方に知っていただく手段が少ないことだけ。がんばって企画を通す必要はなく、少部数でも作れるのがメリットです。クオリティは納得いくまで頑張れば上げられますし、本を作る作業自体は売れるかどうかとは関係なく行えます。その作業自体が、自分にとって幸せなことです。せっかく(?)の巣ごもり期間なのですから、進めている創作のほうだけでなく、そういったものも何か形にしていけたらいいなー、と思います。(今回の電子版は、「同人誌としてしか成立しない」と自分で思ったので、あえて同人誌書店さんという限られたスペースでの電子書籍にしました。今後はそれにこだわらず、「個人出版」として成立するものも目指すつもりです。…そうなると「同人誌」としてはまず売れないものになるとは思いますが……試行錯誤が続きそうであります☆)

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じつは、ここまでにもう二倍くらいの分量のテキストができてしまったのですが、別の問題に目が移ってしまい、書こうとしていた「『あなたの本はサブカル同人誌の範疇だよ』と言ってもらったことで感じた解放感」から話がズレてしまったので、今回は削除することにしました。「自分の中での創作系と評論系の位置づけ」のお話なのですが、とりあえず自分のなかで再確認できたので無駄ではなかったと思います。(ナンノコッチャですね(笑))機会があればまた書くかもしれませんが、それ自体をブログに書くより、それを反映させた作品を作るほうが、今の自分にとって大事なことかもしれません。

2021/01/17

評論系同人誌電子化のこと:①本のご紹介と読み方

先週、SHERLOCK英日名台詞レビュー全7冊の電子書籍版配信が始まりました。そのご報告と周辺のお話なのですが、記事が長くなったので二つに分けます。

本について、(同人誌書店さんの仕様なので)読み方についてのご紹介
②「サブカル同人誌」という言葉に感じた新たな可能性など(配信元のフロマージュブックスさんが一部の巻をコレにカテゴライズしてくださいました)

という感じで参ります。

さて、今回の電子書籍ですが、元は数年前に発行したコピー誌でして、『SHERLOCK』輸入DVDから独断で選んだ英語名台詞を手探りで読み解き、トリビアやリサーチの過程でわかったこと、シーンの深掘り解釈、萌えなどを織り込みつつ、各エピソードを振り返ったものです。

輸入DVDだったのは、シーズン2の日本でのテレビ放映が待ちきれなかったため。なので最初の本はシーズン2で、その後リクエストをいただいてシーズン1の本を作った、という経緯があります。作ったのはシーズン3までで、シーズン4は……ごめんなさい、そういうことができるほどのめり込めませんでした。(^^;)(このへんが同人誌の正直なところ(笑))

ブームが去った後もしばしばお問い合わせを賜りまして、受注生産させていただいている幸せな冊子でもあります。もっとお手軽に読んでいただけないかと一冊目だけは電子化していたのですが、フロマさんの電子用管理ページが少々複雑だったため、作業がストップしておりました。先月ようやく紙と電子の管理画面が統合され、作業がしやすくなったので、めでたく全冊揃って配信できるようになった次第です。

サンプルの通りレイアウトを維持しないと読みにくい本なので、画面をそのまま画像にしたタイプの電子書籍にしています。

内容は好きな英語台詞の解釈を中心に据えていますが、主眼はそれらを自分の頭で解釈し、キャラクターやストーリーをより深く理解すること、そこから広がるイメージを楽しむこと、それを共有すること――つまりはファン同士のおしゃべりの延長です。本を作ることが先に目的としてあったわけではないので、洋画系同人誌イベントに出ていたなりゆきでできた、というほうが正しいです。英語台詞の分析にはまったのも、たまたま次のテレビ放映までにタイムラグがあり原語版を見る羽目になったこと、英語への興味が高まっていたことがきっかけで、もともと英語の専門家ではありません。

でも結果的に、吹替や字幕の字数制限で捨てざるを得ない部分や、日本語にできない言葉遊びの面白さを知ることにつながりました。リサーチを通じて自分自身が勉強させてもらったようなものです。(大量のリサーチ三昧の経験は、その後の仕事を翻訳に広げる後押しにもなりました(^^))

…つい最近の作品のように感じているんですが、思えばシーズン1の日本放映が2011年ですから、その頃生まれた子供はもう小学生――けっこう時間が経ったんですね。作品としては今見直しても(特にシーズン1、2は)素晴らしく、これからファンになる方、改めて振り返る機会を得る方も多いと思います。

個人的には、もともと原作シャーロック・ホームズのファンではありましたが、見る前は「現代版」と聞いて鼻白む思いがあったくらいで、そこからの大転換はちょっと経験がないような強烈なものでした。本を読み返すと、当時のファンが夢中で書いた勢いがあります。これは恥ずかしい半面とても面白くて、おそらく今の自分には出せないものです。(同人誌の面白さの大半は、この「熱」にあると思います)手前ミソになりますが、詰め込んだ内容もけっこう読み応えのあるものになっていると思います。その部分をご同好の方々に楽しんでいただけたら、こんなに幸せなことはありません。

7冊あるので、とりあえず1冊目のリンクを置きます。サンプルも上げていますので、よかったらご覧ください。

SELRLOCK Replay 1 (シーズン1・第1話)

フロマージュブックス

メロンブックス


巻と話数の対照は、サイト内のご紹介ページに掲載しています。

SHERLOCK英日名台詞レビューシリーズ


じつはまったく意識していなかったのですが、全冊揃ったのは奇しくも1/6でした。シャーロック・ホームズの誕生日……と、ホームジアン/シャーロッキアンの間で「みなされている」日付。原作には出てきません

最後の一冊の配信開始を確認してツイートしようとしたら、ホームズさんのバースデーツイートが流れていて、「ああ、そうだったっけ!」と思い出した次第で。なんとなく気が引けて、告知は翌日にしました。(^^;)同人誌で発信力のないアカウントとはいえ(いや、それだけに余計に)、あのタイミングでは狙ったみたいで、なんかあざとくてやだなあ、と感じたので……そんな風に思わずに、サワヤカに乗っかれたらいいんですけどねぇ……精進が足りません。

…なんてぼやきはともかく、意識していなかっただけに、お誕生日と重なったことはちょっとご縁を感じたのでした。完成時のささやかなエピソードです。(^^)


フロマージュブックス/メロンブックス版電子書籍の読み方

さて、自分が慣れないだけかもしれないんですけど、最初操作が分かりにくかったので少し解説します。まず、フロマさん/メロンさんの会員登録が必要ですが、これはどこの通販も同じで簡単です。で、購入すると「マイページ」「ご注文履歴」にある「電子書籍商品ご注文履歴」に本が表示されます。うちの電子版はすべてブラウザ閲覧ができるようにしましたので、そこで「この本を読む」というボタンを押すとすぐにブラウザ用の閲覧画面が立ち上がります。画面でページをクリックすると次のページに移ります。ダブルクリックで拡大表示、もう一度クリックすると標準表示に……と、このへんはきっと私より皆様慣れていらっしゃいますね。

ダウンロードして読む場合は、「電子書籍商品注文履歴」ページから専用アプリをダウンロードした上で、ご希望の本の「ダウンロードする」を押してください。アプリの使い方などはこちらをどうぞ。(FAQの「電子書籍」検索結果です)元はA5判の二段組ですので、なるべく大きめの画面での閲覧がおすすめです。

同じSHERLOCKで無料の電子書籍も置かせていただいていますので、よかったらアプリの試運転を兼ねてご覧ください。

(無料電子書籍)36時間のサファリ
ジョンを主人公にしたブログ連載小説の総集編です。

フロマージュブックス

メロンブックス

2021/01/06

☆HAPPY NEW YEAR 2021☆:お正月のアレコレ

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。年末はブクロフェスやエアコミケに参加させていただきました。紙・電子版含めて本をお手に取っていただいた皆様、ありがとうございました。お楽しみいただけていますように!

コロナ禍のニュースは毎日胸がふさがる思いですが、最大限の対策や協力をしつつ、小さな楽しみも味わいながら、バーチャルに手をとりあって――物流とか経済の連鎖とか、こうしたネットを通じてのかすかな関わりとか、見えない「つながり」を最近はすごく大切に感じるようになりました。そのへんも含めての「手」です――乗り越えたいものだと思います。今年もよろしくお願いします。

さて、そんなわけでステイホームなこのお正月は……じつはずっと旧作同人誌の電子化作業をしておりました。フロマージュブックスさん用です。(これについてはまた別にお知らせしますね)一連の作業が終わって「やっと正月がきた!」と思えたのは昨日の1/5。年末のイベント準備からノンストップだったので、さすがに疲れがたまったのかここ二日ほどは爆睡しております。(^^;)

…とはいえ元旦に近所の神社には行きましたし、没頭できる作業は好きですし、もともとお正月に遠出する方ではないので、自分としてはけっこうシアワセな正月かもしれません。


近所の神社でひさめぼれした牛ちゃん。
 
中におみくじが入ってます。
小吉でした。(ほどよい?)

さて、近所の神社は町なかの「お稲荷さん」に毛が生えた程度なので、いつもは人はいなくて、元旦だけテントが出てお札やお守りを売ります。それも例年にぎわうのは深夜だけらしく、自分が行く朝にはもう人っけがなかったり……昨年はおみくじもお守りも買えませんでした。(涙)

ところが! なんと今年は朝でもテントに人がいるばかりか、お社に神主さんがいて、お参りするとお祓いしてくれるという出血大サービス! こんなのここでは初めて見ました! コロナ禍で分散参拝が呼びかけられているせいなのか、はたまた皆さんの気持ちを思いやった粋なはからいなのか……。

というわけで、今年はよくないもの祓っていただいてのスタート。清々しい気分です。

ちょっと見にくいですが、お社に神主さんがいます。

そのあとは恒例の(?)シャッターの閉まった商店街見物。これ、毎年見るのが好きなんです。非日常と言う感じが。(笑)

元旦のシャッターが閉まった商店街のプランター。
風にゆれているのが寒さで震えているように見えました。

かろうじて富士山も。

年末にはいちおう花も生けました。例年玄関で花を生けるのは寒くてけっこう苦行なのですが、12/30は暖かくて楽でした。翌31日からは寒くなったので、今考えると嘘みたいです。

お正月花。
今年はエアコミケでネットに張り付きっぱなしだったのもあって、買ってきた束を投げ入れにして済ませました。足元にあるのは、家の前の公共スペースに生えていたダイオウショウの松ぼっくり。100均で売っていた水引をそのままかけました。(うちの玄関暗いので過少しでも明るくしたくて…)

…ダイオウショウは、うちの木でもないのにデカい松ぼっくりが庭に転がってきたりして楽しかったんですけど、高くなりすぎて住宅地では危険になったのか、昨年切られてなくなりました。これは以前拾っておいて物置にあったもの。まあ枯れ葉には悩まされていたので楽にはなりました。

*       *       *

というわけで、肩の荷が下りたのは昨日からなんですが、「お正月に読もう」とクリスマスあたりに買い込んでいた古書に手をつけたりしています。なぜか一番はかどっているのは気まぐれに買った原節子さんの本だったりします。あとは「自分にお年玉」……1/5に図書館に返却予定だったジョン・ルカーチさんの『歴史学の将来』という本が読み切れないことが判明し、付箋だらけでもあったので元旦に注文しました。歴史書というよりエッセイですけど、イアンシリーズの資料というか「歴史家さんてこういう思考回路なのか」というあたりの資料の1つとして読んでいました。(これまでに読んだ範囲でも歴史家さんによりさまざまなので「…の1つ」です)思った以上に繰り返し読みたい部分が多くて……付箋を移して残りを楽しみます。

図書館の本から付箋を移動。
こういう「結局買う」バターンてけっこう多いですね。

他にもテレビで録画した『怪獣大戦争』(あの音楽ってこれのテーマ曲だったのねー☆とびっくり)や、二夜連続でやってたドラマの『逃亡者』を見たり(細部に突っ込むのはやめて、日本のドラマでこのクオリティのものが見られたことを素直に喜びたいです。面白かったー!!)……うん、けっこう楽しいステイホームになってます。

そうそう、お正月のテレビは歌舞伎中継も多くて楽しみなのですが、尾上菊之助くんが主演した歌舞伎版『風の谷のナウシカ』も元旦、2日と連日放映していたので録画し、長いので少しずつ見ています。できれば続けて見たいんですけど☆

よく拝見していたのが子役ちゃん時代なので、未だに「菊之助くん(もっと直感的には「丑之助くん」)」というイメージなのですが……ご立派になられて、ほんとに光陰矢の如しです。ナウシカは――当時のアニメファンとしてリアルタイムに連載や映画に接していた身としては、「歌舞伎版」と聞いて正直複雑な部分もありましたが――以前この歌舞伎版の制作過程のドキュメンタリーを見て、古典歌舞伎の手法にこだわった「がんばり」が印象に残っていたので、浅薄な批判は控え、残りもじっくりと拝見するつもりです。原作も改めてきちんと読みたくなったので買ってしまいました――それにしても七之助くんのクシャナ姫、カッコイイですね!

さてさて、話がとっ散らかり始めたのでこのへんで! 改めまして、今年もよろしくお願いします。皆様の2021年がより良いものになりますように!