イベント参加予定

【イベント参加予定】2024/5/19 文学フリマ東京38 / 2024/5/26 COMITIA 148

2022/09/19

J庭52/COMITIA141 参加ご報告②:代表様ご引退、「自由に発掘する楽しみ」など



当日会場でいただいた
特設ジャンル「JUNE」のパンダちゃんPOP。
記念に新刊看板とパチリ☆


代表様ご引退によせて

J.GARDEN代表の稲嶺様が、今回で引退なさるとのこと。これまで大変お世話になったので、少し感謝の気持ちを書かせてください。

カタログの対談にあった通り、うちのようなマイノリティかつ弱小なサークルスペースにも折々お立ち寄りくださり、「サークルを大切にしてくださってるんだなー…」と感じていました。JUNEやその周辺についてお話をさせていただいたこと、作品をご評価していただいたことは、何物にも代えがたい体験でした。今回の特設ジャンル「JUNE」も稲嶺様の企画と聞き、何を措いても参加したかったのです。

自分にとっては、J庭との関わりはこの方なしにはありませんでした。『追憶のシャーロック・ホームズ』を抱えて初めて参加を申し込んだとき、(たぶんご本人はご記憶にないと思いますが)直接お電話をいただきまして、「原作著作権失効二次」というアプローチを前向きに受け入れてくださいました。その後コロナ禍で参加を断念するまで、ほぼずっと参加を続け、細々とながら「J庭に持っていきたい」と思う作品を作ることができました。

他のイベントでは「結果的にできたものを持っていく」のですが、J庭は「あそこでなら(自分好みの)こういうものも受け入れてもらえるのでは」と逆算して企画を立てられるイベントであり、事実、ニッチな作品を好んでくださる読み手の方々と出会える場になりました。「私が」ではなく「作品が」出会うのです。ここが何より大切なところです。

今回も幸いお話をさせていただけて、J庭が多様なアプローチを受け入れてくれたこと、どこに持って行ったらいいかわからない作品の受け皿として大きな間口を開けてくれたことの裏に、稲嶺様のご努力があったことを知りました。私などは、そのおかげで細々と活動を続けられたようなものですし、今回の新刊はまるごと「JUNEを語ろう」の企画に触発されたものでした。感謝をお伝えできたことで、自分としては今回参加した意義が充分にありました。本当におつかれさまでした。


「自由に発掘する楽しみ」

今回、カタログの特集「JUNEを語ろう」のアンケート紹介の最後に、若い世代の方が発掘する形でJUNE/『June』(ジャンルとして/雑誌として)を楽しんでいらっしゃるのを読み、自分も若い頃に古いもの(JUNEではありませんが)をいろいろ「発掘」して楽しんでいたことを思い出しました。それは独自の体験で、決して先に体験した方たちのあとを追うものではありませんでした。自分がへそ曲がりすぎたのかもしれませんが、そこには苦い経験もありました。ちょっと書いておきたいので、お許しください。

大昔の話ですが、歌舞伎にはまって幕見席に通っていた頃、ご年配の方に「お若いのにえらいわね」と言われて、ニコニコしながらも内心『えらいってなに?』という違和感――を通り越して、軽い憤慨を覚えました。先方はまったく悪意などなく、今で言うマウンティングの意識もなかったと思います。それでも、自分は決して「先輩ファンの世界に入門」しようとしていたのでなく、自分が惹かれる「新しいもの」を自力で深掘りしていたのです。だから、なにか「新雪の上に寝転ぶうれしさ」を楽しんでいたのに、その新雪を「誰かがすでに踏み荒らしたぬかるみ」に変えられてしまった、かのような気持ちになってしまいました。

別のジャンルで——ご同好が親世代の方ばかり、というジャンルにどっぷりはまったことがありました。ファンの集い的なものにお誘いいただき、それは嬉しかったので出かけたんですね。すると、あとからその親世代の方々から、過去に寄稿なさった関係会報を段ボールいっぱいに詰めて送られたり、コレクションを「自分はもう年なので譲りたい」と言われたり、まあ光栄なことなんですが、あったわけです。

でも、単純にその対象を好きで見まくったり同人誌を作ったりしていただけで、「団体としてのファン活動」を担おうなどとは露ほども思っていなかった自分には荷が重く、送られたものに目を通すことも、貴重なコレクションを管理することも不可能でした。それでご縁を丁重にお断りして、逃げるように距離を取るはめになりました。

今思うと自分の器が小さかっただけで、ほかの方なら対応できたと思います。ファン活動にも適材適所があり、違う形でならうまく関わることができたかもしれません。でも当時、世慣れていなかった自分は(まあ今もそうですが(^^;))、期待に応じられないことをうまく言い繕うことができず、自分もつらかったですが、先方にも不愉快な思いをさせてしまったと思います。先人の研究書は自分なりに選んだものを楽しんでいたのですが、「おつきあいで」何かを大量に読むとかそういうことはまったく別で、自分には難しいことでした。(これも今でもそうです。遅読でストライクゾーンが狭いのも一因かと……)ファン同士の交流を大切に考えていた方々には、さぞや恩知らずな若造に映ったと思います。

自分話が長くてすみません。何が言いたいかといいますと——JUNEについても、「新たに発見する方の喜び」を尊重したいということです。少なくともコントロールできる環境にある時に、意識できる範囲では。

彼女たち(あるいは彼たち)は、たぶん私よりずっと柔軟で、過去に対してもスマートに対応できると思います。それでも、もしかしたら私や同世代の方が「JUNE」と読んでいるもの(自分の「JUNE」はマイノリティだと思いますが)に別の名前をつける方々が現れ、JUNEという言葉はなくなっていくかもしれません。それはそれで良いのだと思います。自然なことです。

「私はそれをJUNEって呼んでたなー」と感慨を覚えるのは自由だとしても、自分が想像していなかった感覚が、そこに含まれているかもしれません。「なんだ、それってJUNEじゃん」と、人の「新しい発見」を自分の枠で切り取って見下ろすような態度は、ちょっと無粋に感じられます。鑑賞やファン活動は、知識ではなく喜びこそがメインディッシュなのですから、ふさわしいのはヒエラルキーではなく互いに対する敬意でしょう。(少なくとも自分はそう思っています。先行する研究をすべて踏まえる必要があるアカデミックな世界ならば、また話は別かもしれませんが)その延長で、自分が自分の感覚を深掘りすることも、これまた自由でありたいと思っています。

今回の新刊は薄い冊子ですが、そんな気持ちも込めました……って、なんかリクツっぽくなっちゃいましたね。スミマセン。(^^;)一言でいえば、「美しいものを自由に楽しむのが好き」というだけです。「自由に」が自分にとってのキモです。創作についてもそう思っています。創作をする人すべてが、いわゆる商業作家を目指しているわけではありませんよね。それぞれの方の都合や好みで、いろんなやり方があると思います。デジタルで手段が増えたことは、私たちにとって福音です。

そんなふうに、「同人誌ってもっと自由でいいんじゃないかな……」とつねづね思っていました。今回のティアマガの記事「コミティア魂」を読んで、その意をますます強くしたところです。(本を作って参加するだけの自分からは見えなかった思いや志が、運営なさる方々にはあるのですね。ほかにもいろいろ刺激を受けましたが、コミケが「仮想敵」とは想像もしてませんでした……)

…おっと、話が別のところに行きそうだ☆ 自分に話を戻します。


J庭に感謝・そしてこれから

…もともとマイノリティだとは自覚していましたが、現在のJ.GARDENのなかで見ると、自分のアプローチは同人誌としてもはや「異端」に近いのかもしれない……と、今回思いました。(けっして「逆説的に自惚れている」(笑)わけではなく、パンフを冷静に見てそう思うのです)でもそういうものまで受け入れてくれたのがJ庭なんですよね。そして思い切って形にしてみると、それに反応してくださる読み手の方も、「必然的に少数」ながら、「確実に」おられるのがJ庭でもありました。(この「必然的に少数」なところは、「自分の絵や文章がもっと上手ければ……」というレベルとはちょっと次元が違うかもしれません。でも一方で、「宣伝やSNS、人との交流が得意だったら、多少変わっていたかもしれない」という思いはないこともありません……まあ、ないものねだりですね。できることをやるしかないです(笑))

J庭の懐の深さに甘えて活動してこれたことは、自分のような「人生どこ行ってもたいていアウェイ」(笑)な人間にはとてつもない幸運でした。こんな場があるのは本当にありがたいことだし、むしろ「遠慮することはないんだ」と視野が広がり、絡まっていた糸がほどけた感じもあります。「なんでもあり」って言葉の真の意味を、ようやくつかんだような。そんなJ庭52/COMITIA141でありました。


…なんか懐古調の文になってしまいましたが、総括を終えて身軽になって、さらにわがままになって(笑)これからに臨もう、という気分でいます。発掘する楽しみだって「未来に」起こるのですもの。これからのJ庭やコミティアに、そしてジャンルとしての「JUNE」に、自由が、豊かさが、寛容が、互いに向ける敬意が、ますます広がっていきますように。

2022/09/13

J庭52/COMITIA141 参加ご報告①:当日と新刊のこと

ひさびさのビッグサイト


われらが神殿・東京ビッグサイト☆

遅ればせながらご報告です。
9/4、ビッグサイトに直参して無事帰宅することができました。スペースにお立ち寄りくださった皆様、本当にありがとうございました。先月20日頃に中等の熱中症をやってしまったため、後遺症で直前まで体調と気温予想のにらめっこでしたが、当日の朝は涼しく、新しく開拓した鉄道ルートはガラガラで行きも帰りも座れ、会場も暑くはなかったので(むしろ昼過ぎから涼しかったくらい)、これまでで一番体が楽なイベント参加だったかもしれません。(睡眠を優先してペーパーなど諦めたせいもありますが……自分の体力を考えてのこういう割り切り、大事かもです)

スペースで体調をお気遣いくださった方、ありがとうございました。弱音を吐いたせいでご心配をおかけしてしまってすみません。でもほんとに直参できてよかったです。

事前にも書きましたが、新刊は特設ジャンル「JUNE」に因んだ本なので、この日、この空間に持っていきたい、という気持ちが強くありました。そこに並べることができ、ご同好の方々と分かち合うことができた。その体験の記憶が持てた。それだけでも感慨無量です。願わくばこの本が、お連れ帰りくださった皆様の「素敵なJ庭体験」の一部となれますように。



スペースはこんな感じでした。

コロナ下の開催ということで、自分には目新しいリストバンドでの入場手続きのほか、お金の直接の受け渡しは避けるとか(アマゾンでカルトンを買いました!お店っぽい気分(笑))アピールにも声がけよりポスターなどを活用するように、との呼びかけがあったので、「お声がけはしません。ごゆっくりご覧ください」と看板を置いたのですが……やはり「お手に取ってどうぞ」とか多少はお声がけしないと妙で。でもいつもより口数は減らしました。もともと呼び込み(?)や世間話はうまくないので、このサイレント販売の呼びかけは、正直気持ちが楽でもありました。でもお立ち寄りくださった方々や近所のサークル様は、特設ジャンル「JUNE」でつながる同志の皆様。こういう状況でなければ、もう少しお話してみたかった……とも思いました。



印刷所から会場直送だった新刊『美学としてのJUNE』。
勇気がいったタイトルです。(^^;)
(そして丸出しすぎた美老人好み…)

新刊のこと

新刊は前回ご紹介した通り、おすすめ本のブックレビューとイラストポエムを収録したものです。JUNEとBLに線引きをすることが目的ではなく、「自分が惹かれているこの感覚はなんだろう」というあたりを深掘りしている感じです。

J庭用ペーパーなどの記事再録がベースですが、改稿・再編集し、書き下ろしも加えました。ご紹介している本はいずれもBLではない本ですが、激萌えな本、しみじみと味わいたい本、一方で腐女子の自分にとって少し耳の痛い、けれど刺激に満ちた本もあります。古書でしか手に入らないものも多いけれど、埋もれてほしくない本ばかり。決して網羅的ではありませんが、これらの中の一冊でも、「好みに合いそう」という方に出会うきっかけになれば……と願っております。


再掲になりますが、目次などはこちらです。

入稿しました、とツイートできたのが新鮮でした。
いつもコピー誌が多かったので…背表紙があるのも感激。(笑)

  

☆通販も開始しました☆
本文ページのサンプルもあります。
BOOTH 


同人誌としては評論本と言うしかないのですが、もう少し気楽な、エッセイと評論の中間くらいになっていると思います。自分の嗜好はマイノリティという自覚がありますが、カタログにアンケート回答の一部をご引用いただいて、ここには似た嗜好の方が(少数でも)確実におられる、と思えました。それがJ庭という場ですね。

自分ごときが書き散らしたものでこんなことを言うのはおこがましいのですが、もしも読後に「紹介されていたアレを読んでみた」的な嬉しい展開がありましたら、ぜひこそっと教えてくださいませ。ポエムのほうは実験的なんですが、こちらも万一お気に召してくださった方がいらしたら、ご感想を伺えると励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。

【追記】
書影ページにレイアウトのずれが見つかりました。
おわびと訂正画像をサイトに掲載いたしましたので、
ご購入いただいた方はご参照ください。m(_ _)m


御礼:『洋画レビュー約20連発』完売

さてさて、当日はこの新刊と共に『洋画レビュー約20連発』(テッド・チャン原作『メッセージ』特集)をセットでお連れ帰りくださった方々もおられ、こちらはなんと完売になりました。もともと残部は少なかったのですが、新刊のほうでもチャン氏の『理解』をご紹介し、『メッセージ』にも少し触れていたのでひときわ嬉しかったです。(奇しくも先日、BSですがテレビ放映されましたね)

ほかに「JUNE」ということで新刊と並べた『流星:SF・微JUNE掌編集』、マイルドBLのイアンシリーズ(自分の中ではJUNEとはまたちょっと違うものです)なども、それぞれお連れ帰りいただけました。その後電子版もいつもより少し多くお読みいただけているので、お楽しみいただけていますように……と祈っております。紙・電子版ともども、どうぞよろしくお願いします。


価格と献本、電子版のことなど

ついでですが、価格と献本について少し……。今回、熱中症のために割増料金期間の入稿になってしまいまして、原価が予定より高くなってしまいました。大変申し訳ありませんが、その分を価格に反映させていただいております。何卒ご容赦ください。また、部数も少ないため、基本的にはご挨拶がわりの献本は行わないこととしました。(義理でお読みいただけるような内容でもございませんので……って、それ言ったらいつもそうなんですけど★(^^;))ご興味を持ってくださった方のお手にだけ渡れば本望でございます。何卒ご了承ください。

電子版(kindle)については、当初想定していたのですが少し迷っております。これをJ庭の外に持っていって意味を持つかどうか……一方で、だからこそ、商業出版ではありそうもないアプローチとして世の中の隅っこに放り投げておくのも一興かな、などと思ったりもします。(在庫を抱えなくてよいので気楽ですし(笑))その場合は導入として説明ページなど加える必要があるでしょうし……結論を出すのにもう少し時間がかかるかもしれません。


…今回、JUNEについては「自分にとっての卒論」的な本ができ、じつは「イベント直参はこれで最後かも」という思いもどこかにありました。でもこういう「評論だかエッセイだか」みたいなアプローチで本を作るのも楽しいなーと思ったので、他にも掘り出してまとめてみたいテーマが浮かんできました。写真が黒っぽくなりすぎたり、内容とは違う面での課題もわかったので、勉強することは多そうです。仕上がっていない小説もきちんと形にしたいですし……どんな形の活動が自分にとってやりやすいのか、模索していこうと思います。


撤収後、「JUNE」ジャンルの配置されていたエリアを臨む。
ありがとうJ庭!


2022/09/03

新刊入稿→J庭直参確定になりました☆

一昨日web入稿を済ませました。初めてお世話になる印刷所さんなので、土壇場になって「えっ(^^;)」と思うようなローカルルールに気づいたりしてけっこうスリルとサスペンス(?)でしたがなんとか。新刊は評論本です。



 
詳細は、お手数ですがリンク先をご覧くださいませ。

(現在明日の準備中のため時短です(^^;)。スミマセン)

pixiv 
「J庭52新刊『美学としてのJUNE』(表紙・目次)」


pixiv
「J庭52サークルカット+当日持参品」


Twitter
入稿完了時のツイート

新刊追加情報はここに返信の形で追加していきます。
その他当日の変更なども、Twitterでつぶやきます。


最後まで迷ったのですが、会場直送でお願いしました。今回参加する特別ジャンル「JUNE」に因んだ本で、「ここに持ってかなきゃどこへ持ってくんだ」というシロモノなので。というか、自分が眺めたいのです。特設ジャンル「JUNE」のエリアを。そこに新刊を持って参加したという体験を、記憶にとどめたいのです……。

…というわけで、当日は這ってでも(笑)会場に行くことになりました。(冗談です!本当に這うはめになりそうな体調なら前日自宅配送にしてもらってます)すでに印刷所さんのステータスが「荷造完了」となっているので、確実に新刊は並べられると思います。どうぞよろしくお願いします。万一当日に状況が大きく変わっても、新刊を自宅に転送するためだけでも行かなくてはなので、当日の気温が上がらないことを切に祈ります。(体調は気温しだい、というところがあるので……予報を見ると大丈夫だと思うんですけど)

いやー、しかし印刷・製本・搬入までお願いできるってなんて楽なんだろう! これも少部数で印刷していただけるようになって予算的なハードルが下がったおかげです。今までコピー誌中心だったので、新刊を出すときは当日の朝までやってヘロヘロか、異様なハイテンションかで会場に行くのが常でありました。今の体力ではそれはきつい。若い頃は「ワタシら無理しているね!(笑)」てなこと自体に盛り上がったりしたものですが、だんだんそういうノリはなくなってきますね。健全なことですが、あのノリが恋しい気もする……。(笑)

コロナ下仕様の開催でおしゃべりはあまり楽しめませんが、当日ご参加の方はぜひぜひお立ち寄りください。お待ちしております。(イベント後の通販については別途お知らせさせていただきます)


◆9/4開催 J.GARDEN52

◆配置:A25b SUSSANRAP(サッサンラップ)