『羊たちの沈黙』ではアカデミー賞もとっていますし、こちらで有名なんですが、自分がこの監督の名前を聞いてまず思い出すのは、『愛されちゃってマフィア』というチャーミングなコメディ映画です。すごく好きで、レンタル落ちですがVHSを買っていました。その後何度か見返していますが、昨夜は追悼を兼ねて再見しました。
ジャケットも色褪せており(^^;)DVDも出ているのですが、やはり宝物です❤
主演のミシェル・ファイファーはマフィアの妻役で、旦那(アレック・ボールドウィン。今やドナルド・トランプの物まねで有名ですが、この頃はひたすらハンサムでした)が殺されてしまい、子供を抱えて仕事を探し、自活を目指します。その彼女に潜入捜査で近づくFBI捜査官(マシュー・モディン)が彼女と恋に落ちるという、ストーリーだけ取り出すとなんてことない話なんですが、これがもう最高に楽しい!
ミシェル・ファイファーは『スカーフェイス』でどーんと来た印象もあるので、まさにこういう立ち位置はうってつけ。それを逆手にとったコメディとも思えますが、「彼女はこんなにコメディうまいんだ」、とこの作品で初めて知りました。『バーディ』からマシュー・モディンに転んでいたので、たぶん見たきっかけはその流れだと思いますが、彼は正直かすみます。(笑)でも作品として最高でした。
未亡人になった彼女に下心いっぱいに迫る元旦那のボス(ディーン・ストックウェル。恐妻家なとこ似合います!(笑))、嫉妬深いその妻(これまたハマってるマーセデス・ルール。「怪女」と「母性」を両方出せる人で、『フィッシャー・キング』も最高でした!)、マシュー・モディンの同僚(オリバー・プラット。どこにいても印象的!)、就職先の美容師(名前はわからないけど「お次のカモは?」の台詞が最高(笑))と脇役も揃っていて、とにかく見ると元気が出ます。同時に女性をきちんと描くというか、広い意味でフェミニズム的な視点を感じる映画でした。といっても肩肘張ったところはゼロで、ひたすらチャーミングなんですけれど。
これを見てから「ジョナサン・デミ」が関わる映画は見てみたいな、と思うようになりましたが、プロフィールを見るとそう見てないです。圧倒的にこの作品と『羊たちの沈黙』のイメージになっています。
…とにかく、追悼というのを忘れて、久しぶりに思いっきり楽しんでしまいました。邦題のセンスも素敵。原題は"Married to the Mob"ですが、邦題のほうが内容にも雰囲気にも合ってて軍配です。エンディングのNG(?)映像がこれまた最高。あの「踊るミシェル・ファイファー」がもう可愛くて可愛くて。他の映画では「可愛い」というタイプの役はあまりやってない方なのですが、ほんとに可愛い。そしてうまい。褒めるとこばっかりです。(笑)
名作というのではないけれど、気楽に見られて楽しくて、元気になれる一本。見返してまた元気になれました。これからも折々見返す一本になると思います。
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別ブログに『サラエヴォの銃声』の感想をアップしました。
資料話として別の本の感想と一緒になっていますが、傑作でした!よかったら合わせてご覧くださいませ。
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『第一次世界大戦はなぜ始まったのか』と『サラエヴォの銃声』