2018年6月15日金曜日

《出張版テッド・チャンさん備忘録》Brain Barとインタビュー

*母艦サイトにチャンさんの情報コーナーを置いていますが、モバイル対応でないため、出張版としてここにも同じ内容を置いてみることにしました。
バックナンバー(?)はこちらです。テッド・チャンさん備忘録(PC用サイト)

もともとは自分のためのリンクや感想の保管庫でしたが、映画からファンの方も増えたと思うので、ご興味のある方のお役に立てば幸いです。(ぶっちゃけ専用のブログを作るほどマメに情報は出ないので、上記コーナーに追加しつつ、モバイル表示のためにこちらを間借りする感じです)

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5/31から6/2、ハンガリーのブダペストで行われたイベントBrain Bar 2018に、テッド・チャンさんがスピーカーとして参加なさいました。リンクを記録したいところはたくさんあるので、最後にまとめます。

Brain Bar

初めて聞いたので、調べてみました。
Brain Barは年一回ブダペストで開催されているイベントだそうで、未来について優れた考察をしているいろんな分野の著名人の講演と、音楽やダンスパフォーマンスなんかもあるイベントとのこと。Wikiの説明によると、テクノロジー会議と音楽イベントが融合したようなものらしいです。特徴的なのは一般参加者がスピーカーとディスカッションできる場にしているということ。双方向コミュニケーションのあるTED+オサレな文化祭、みたいなものかしら? と想像してます。

開催後に出たアフター・ビデオ。チャンさんもちらりと映ってます。なんかすごく楽しそう♪

じつは事前に「チケット情報」を目にしてはいたのですが、ぶっちゃけ自分には知ってもしょーがない情報なので(笑)、開催後にレポートとか出たら記録したいな❤、と身の丈の野望で待機しておりました。

チャンさんのトークのテーマは
"HERE COMES THE BOOGEYMAN What does Silicon Valley get wrong about AI?"
(『ブギーマンがやってきた:シリコンバレーはAIについて何を誤解しているか?』)

前回の記事でご紹介したBuzzFeedの投稿記事と通じたテーマみたいですね。

チャンさん以外のスピーカーはほとんどわからない人ばかりなんですが、びっくりしたのは「史上初めて市民権を与えられたロボット」として話題になったソフィアさんもスピーカーとして招聘されていたこと。なるほど最先端だわ…。彼女は最近不穏な発言で話題にもなってましたね……。記事は詳しく読んでないんですが、どういう文脈だったのかしら。(^^;)

ソフィアさんの動画は参加者さんがアップしたものがありました。珍しいのでついでに貼っておきます。

ツイッターでみつけた参加者さんのツイート。チャンさんは公式サイト等でも「ニュー・ミレニアムSFのロックスター」と紹介されてます。単に人気があるとか評価が高いとかいうことに加えて、あえてロックとは似ても似つかない領域で「クール」だというニュアンスを出すのによく使われてますね。「ロックスター」って。



他でチャンさんご夫妻を"Down to earth"(地に足がついている)と形容したツイートを見かけて、これも膝を打ちました。作家としてというより「ロックスター」としてのチャンさんに感じる魅力はまさにそこ。それを「クール」と感じる私たちは、たぶん「地に足のついた」知性に触れることにすごく飢えてるんでしょうね。(笑)

ふと感じたんですが、チャンさんからはアジア系という感じもアメリカ人という感じもあまり受けないです。レッテルが貼りにくいというか、「テッド・チャン」としか言いようがないというか。

…残念ながらトーク自体の記事や動画は見つけていないんですが、Youtubeに公式チャンネルがあって昨年のスピーカーのインタビューとか出ているので、少し待てば何か出るかもしれません。あと、ウェブ/紙の雑誌を出してるWIREDがスポンサーに入っていて、WIRED UKはサイトで事前の記事も載せてるので、こちらで何か出ないかと期待してます。日本語版WIREDにも出てくれるといいんですが、露骨にヨーロッパのイベントなので、日本人スピーカーでも登壇しなければ扱わないかもしれませんね。(じつは時々、面白そうな記事があると読んでた雑誌です。最近はちょっと起業家寄りの匂いが強まった印象があって、手を出す頻度が減りましたが……(^^;))

インタビュー

このイベントに関連したインタビューを見つけました。

チェックを入れた部分を以下に記録します。ただし元がハンガリー語なので、ブラウザのページ翻訳で英語にしてから読んだものです。ハンガリー語→日本語の翻訳はできませんでした。日本語化機械翻訳はできてもだいたい支離滅裂になるのですが、ヨーロッパ語→英語は言語構造の共通性のせいかそれほどひどくはないので……(この重訳ワザ(?)、じつは仕事で知りました。もちろん慣用句が直訳されたりへんちくりんなところは出ますが、そこだけ単語レベルで調べればおおかたは理解できます(^^))

というわけで、以下はその重訳(?)によるインタビューと紹介文からわかったこと、個人的に興味が湧いたところのメモです。(以前のインタビューの回答などと重複する内容もあります)重訳解釈な上に直訳にせずはしょったところもあるので、そのへんはご了承くださいませ。

タイトル(の機械による英訳)は
"Ted Chiang: The artificial intelligence does not want to steal jobs"
(テッド・チャン:AIは仕事を奪うことなど望まない)

・AIは仕事を(人間から)盗もうなんて考えない。問題は資本主義のほう。(このあたりは前回の投稿記事で同内容のことをおっしゃっているので、これだけにしときます)


以下はご自身について。

・来年短編を出版予定

・コンスタントにソーシャルメディアに露出することは、僕には向いていないと思う。むしろコンスタントなストレス源になるだろう。最近では、読者は作家の仕事の進行具合を知るにとどまらず、作家を人間としてより多く知ることを望む。そしてソーシャルメディアが作家の職業と私生活の境界を曖昧にしている。ソーシャルメディアで積極的に活動する作家たちは、そうすることでエネルギーを得ている。でも僕の場合は、そこから得られるメリットよりも、自分の性格がそれに向いていないことからくるデメリットのほうが大きいだろう。

・以前は(テクニカルライターとして)フルタイムで働いていたが、真剣に(フィクションを)書くならこれは変えなければいけないと悟り、フリーランサーになった。数カ月の契約が切れると自由になり、サイエンス・フィクションに集中している。

・(質問:「読者や出版社からnovel(長編小説)を望まれているというプレッシャーは感じないか?」)
ジャンルとしての長編小説は好きだし、読んでいるとくつろげる。でも僕はたいてい一つのアイデアを膨らませることに興味を持つ。一つのアイデアで書くには短編小説が理想的だ。長編小説はたった一つのアイデアで書くことはできない。いくつものアイデアと複雑に設定されたキャラクター群が必要だ。けれど僕の物語は、僕がやっているタイプの書き方のほうが向いている。 僕の本を出している出版社やエージェントはこの業界では稀なタイプで、これ(短編ばかりを書くこと)を受け入れてくれている。だから長編を書くことへの圧力は感じていない。

・(質問:「映画『メッセージ』の成功はあなたのキャリアにどう影響したか?」)
このBrain Barのようなイベントに呼んでもらったり、以前より多くの機会を得ている。今はテレビシリーズのBeauty Smoothing: Documentaryも進行中。ただしごく初期の段階。

・僕の書くものは、題材がなんであれ多分に哲学的な思考実験だ。

・白黒はっきりしたストーリーにはあまり興味がわかない。

・(質問:「あなたの作品は科学的・哲学的テーマと共に人間の運命にも焦点を合わせている。最初にアイデアとして浮かぶのはヒューマン・ドラマと科学的・哲学的問題のどちらなのか?」)
アイデアはいつも哲学的な側面に焦点を合わせている。
・多くの哲学的な問題は普通の人にとって身近ではない。でもそれを人間のドラマにすることで、取り組むに値するトピックとして表現することができると思う

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リンク
Brain Bar関連
念のため
WIRED(UK) http://www.wired.co.uk/
WIRED日本版 https://wired.jp/

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