2018年7月15日日曜日

有島一郎さん/自伝『ピエロの素顔』と『ありちゃんのおかっぱ侍』

突然ですが、ふと現実逃避的に深掘りしてしまった俳優有島一郎さんのことを書きます。(イギリスリサーチで疲れた反動かもしれません……イアンの新作格闘中であります☆)あまり馴染みがない方も、適宜ご説明を加えますのでよかったらおつきあいください。

「意外に二枚目」なメガネキャラ

有島一郎さんは1916年3月1日 生まれ、 1987年7月20日没。…あ、来週ご命日なんですね。亡くなってから三十年ですね。

個人的には近年「ジョナサン・アリスに似ている」と気づいて以来、多少萌えモードも入っていますが、「普通に懐かしい」脇役俳優さんの一人でもあります。ゴジラシリーズが好きな方には『キングコング対ゴジラ』のコミカルな多胡宣伝部長が伝説的に有名です。あと、テレビの『暴れん坊将軍』にレギュラー出演していらしたとか。(残念ながら見ていなかったのですが、調べたら今も再放送しているようなので、今度録って見てみようと思います♪)自分にとってはメガネ不可欠で、もう「有島一郎」といえば「メガネキャラ」。かけてないとピンとこないくらいです。

後述の自伝に口絵で入っているお写真。
メガネをとると意外に黒目がちで、写真によってはジョナサン・アリスさん

父上でやはり俳優のベン・アリスさんに似て見えます。
鼻の形は不思議なくらいアリス父子にそっくり。

テレビドラマはあまり見ないほうで、舞台を拝見したこともなく、映画は東宝所属の方なので、好きで見ているクレージー映画での上司役を除けば、あまり拝見していないほうだと思います。(「クレージー映画」は主に植木等さん主演のクレージーキャッツ出演コメディ。ちょっと前に志尊淳さん主演で、植木さんの付き人時代の小松政夫さんを描くドラマがあったので、お若い方にもクレージーキャッツ認知度が上がったのでは? こんなご時世にこそ、ああいう突き抜けたものでバランスをとりたいですね☆)

…蛇足を書きますと、昔の映画俳優さんは映画会社ごとの専属でした。稀に他社作品に出る時は客演扱いで、クレジットの名前にいちいち東映、東宝、松竹などの所属会社名が併記されます。自分は詳しくないので、ご興味のある方は「五社協定」でググってみてくださいませ。(その全盛期の映画を劇場で見ているのは自分の親の世代なんですが、当時の東映時代劇スター大川橋蔵さんが亡くなった直後、ハマって古い出演映画を見まくった時期があったので、東映時代劇周辺だけ偏って馴染んでオリマス)

まあそんなわけで、有島氏については「まじめでコミカルな脇役俳優」という程度の認識でした。が、同時に「意外に二枚目らしい」というイメージも持っていました。座右の書になってる藤子・A・不二雄先生のエッセイ『二人で少年漫画ばかり描いてきた』で、トキワ荘時代にテレビ雑誌の仕事をもらい、有島氏の楽屋に行ってインタビューをしたという話があって、当時の日記の引用に
思ったより二枚目である。こっちの取材にていねいに応対してくれて感じよろしい」(同書p162)
…と書かれていたんです。(イラスト入りで書く仕事だったそうで、その夜似顔を描いたらなかなか似なくて癇癪おこして寝てしまったとか(笑))これを読んだ中学生くらいの頃から、氏にはなんとなく「素顔はおだやかな紳士」というイメージを持っていました。(これってピーター・カッシングと同じキャッチフレーズですね。パターンなのか私(^^;))

泣ける『ピエロの素顔』

で、ちょっと前に新聞の書評で見た『脇役本』(日本の脇役俳優さんの本のコレクターさんが書かれた本)を読み、有島一郎さんの自叙伝なるものの存在を知りました。タイトルは『ピエロの素顔』。ある意味直球なタイトルでなんだか泣けます。

『脇役本』の紹介で、過去の思い出が「今の自分にとっては他人事のように思われる」ので、ご自分のことを「彼」と書いているとあって、いろんな心理が想像されて読みたくなりました。図書館にはなかったので通販で古書を手に入れました。

前後のカバー見返しに文章を寄せているのは
山田五十鈴さんと山田洋二監督です。

ご自分のことを「彼」と書くことにした、という序文。
編集でかなり手を入れたとしても、そして
うがってゴーストライターを想像するにしても、
わざわざ「彼」としていることにいろんな心理が想像されます。

キャリアとしては中卒で当時活躍していた三枚目俳優に弟子入りしたとのこと。(役のイメージからてっきり大学出のインテリさんだと思ってました!)
色白で大変な美人だったというお母様は子供の頃に亡くなり、その後お姉様とお父様も早くに亡くなったそうです。

お母様はもともと病弱で、お産で無理をしたことからその後も「元気な姿を見たことがなかった」そう。でも小康を得ると「活動写真」に連れて行ってくれたそうです。弁士がつく無声映画時代です。帰りに必ず洋食屋さんに寄り、カツレツやカレーを食べたことがお母様との数少ない楽しい思い出だとか。家では寝ている部屋に近づけず、入院したときは病院で寄り添えるのが嬉しくて、入り浸ってそこから学校に通ったことなどがさらりと書かれてます。そんな幼少期だったんですね。

…この調子で書いていくと全部要約することになっちゃうので控えますが、その後第二次世界大戦を国内で経験し(その間も演劇公演がされていたことに驚いています)、戦後、舞台・映画・テレビ……と、そのまま昭和の喜劇史・芸能史をたどるような人生。大変な経験もいろいろなさっていますが、芸風に似てわりと飄々と、というかあっさりと書かれていて、事件の数々も子供向けにやさしく書かれた「おはなし」のようです。

「彼」と書いて距離をとり、遠くはない死を念頭に置いて、「今、彼は『美しく老いたい』と願っている」というあとがきを見ると、複雑で物悲しい印象も残ります。一晩で(というか、寝しなと早朝に横になったまま)読み終えた短い本でしたが、貴重な一冊でした。また読み返すと思います。

「ありちゃん」と「小倉ようかん」

さてさて、たぶんここには書き損ねていたと思うのですが、以前やはり突発的にマイブームが来た時、お若い頃に主演なさったありちゃんのおかっぱ侍というドラマの主題歌をYouTubeで見つけました。歌は苦手だったそうですが、これはご本人が歌っている貴重な音源です。まずは「冠番組ができるほどの人気者だったのか!」とびっくり。時代劇ですが「まげものコメディ」(すてき❤)とのことで、歌のイメージでは『あんみつ姫』的なアプローチのおとぼけほんわかコメディみたいです。いいなあ……(私事ですが理想の路線の一つなんです。宇宙探偵はその路線なのですが……もっとやりたい!(^^))当時はドラマも生放送だったそうなのでたぶんフッテージは残っていないのでしょうが、見たくてたまりません。


最後の「ばいばい」がたまりません。
リンクしたデータベースサイトに書き込みがありました。

『もう1度見たい!!!』
今見たい時代劇がありません!
「ありちゃんのおかっぱ侍」を思い出して、
また見たいし見て欲しい時代劇です!
――とのこと。一度でも見た方が羨ましい!見たいですぅ~!!

動画に使われてる写真は『ピエロの素顔』に収録されているものでした。やはり他に残ってないんでしょうかねえ…。「ありちゃん」シリーズ(?)では他にありちゃんのパパ先生というのもあるそうで、こちらは大学病院の医師のコメディらしいです。似合う!絶対に会う!❤(このリンク先、いちおうDVDがほしいかどうかを問うているので、ダメ元で両方の「ありちゃん」ものをポチりました。よかったら清き一票を!)

あと、さっき『あんみつ姫』的、と書きましたが、そのあんみつ姫にも出ていらしたと知りました。姫が雪村いずみさん。教育係の「小倉ようかん」という役だそうです。映画ですがソフトは出ていません。(泣)倉金章介の原作を含めて他のバージョンにはないようなので、この作品のオリジナルキャラクターみたいです。名前がたまりません。(笑)

竹本泉先生の漫画リメイクバージョンは持っているのですが、これにも教育係はカステラ夫人しかいませんでした。残念!竹本先生の描かれるこの手のキャラクターは、有島氏に似た顔(あとピーター・カッシングとか……要するに自分好みのおじーちゃん顔(笑))がよくあるので、もし「小倉ようかん」が描かれていたらすごく楽しめそうなんですけど……。見られないものは妄想で楽しもうと思います。

他に、冒頭に書いた『キングコング対ゴジラ』(初見でした)や『なつかしい風来坊』など、レンタルDVDで見られる出演作をちょろちょろ楽しませていただいてます。そちらの感想も書きたいのですが、今日はこの辺で。


*      *      *

余談:自分的なつながりしかありませんが、「ジョナサン・アリス」のタグをつけます。すいません。m(_ _)m 
IMDbにもちゃんとIchiro Arishimaという項目がありました。Arishimaと書くとArisさんとの「似てる」度が上がる気が……(嬉しがるの私だけ)。これからアリスさんも「アリちゃん」と呼ぼうかな。(笑)…ところでIMDbの『なつかしい風来坊』の年代が間違っているのに気づきました。修正か通報ができるようなら、時間があるときにしてみようと思います。

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