2023/06/12

セレンディピティな一日

先週はなんのかんのと落ち着かない一週間でした!(読み飛ばしてください(笑)→大雨と強風でBSアンテナが破損し、電気屋さんに電話して見てもらい、火災保険が利くと聞いて連絡。家族のお役所申請仕事の続編が舞い込み、自分の数か月に一度の通院日も来たり…)…とにかく目が回るようでした。

で、それを乗り切ったご褒美に、金曜日は「なんとなくそうしたい」の心の声を聞いてあげる日にしてみました。単に心身が音(ね)を上げたとも言えますが……(笑)。そしたら予想外の楽しいセレンディピティになったので、記録しとこうと思います。(アマゾンで見つかるものはリンクしておきます)


セレンディピティの軌跡☆


ジャック・レモン『女房の殺し方教えます』

まずは手持ちのDVDで「なんとなく」見たくなった、ジャック・レモン女房の殺し方教えます。物騒なタイトル(笑)に反して予想通り(?)チャーミングな、「古き良きハリウッド映画」です。ジャック・レモンは大好きで、彼の出演作の中でも大好きな映画の一つなんですが、かなり長く再見していませんでした。

レモンの役は30代で独身貴族(死語?)の漫画家――新聞のカートゥーンで日本の「漫画家」のイメージとは少し違う――で、かなり稼いでいるらしく、執事を雇って優雅に生活しています。この執事が秀逸!(笑)主人ともどもの独身主義者で、彼なりの美学があり、すごく笑えます! ネタバレしたくないのでここはぜひ映画をご覧ください。この映画はレモンよりこの人で持ってる気がします。

(蛇足ながら、昨今流行りの「少女漫画的執事」とは別モノですのであらかじめご了承ください……あれはあれで独自の世界というか……私はなぜか惹かれないので不案内です。お好きな方にはゴメンナサイ💦)

で、この「独身貴族」が友人の独身サヨナラパーティーで酔っ払い、「ケーキから出てきた女性」と勢いで結婚してしまい大後悔……というコメディ。とはいえけっこう波乱に富んだ筋運びをするので見ていて飽きません。今見ると当時の「当たり前」に目くじら立てたくなるところ満載ですが、見ているうちにどうでもよくなってしまいます。けっこう鋭いところもあります。

美女役のヴィルナ・リージのセクシーなコメディエンヌぶりがこれまた完璧!それだけでも見る価値あります!それからレモンの「漫画制作体制」仰天もの!ささやかながら漫画描き経験がある身なので、最初に見た時は「こんなことできるなら楽だわ!(笑)」なんて羨ましくなりました。これは面白いところなので伏せておきますね♪


ヴィルナ・リージ→『エルネスト/美しき少年』

そんなわけで久しぶりのおかげで新鮮に堪能しまして、ヴィルナ・リージの他の作品はないかしら、と芋づるに調べました。そしたら腐女子のアンテナにひっかかるエルネスト/美しき少年という同性愛を扱った作品がありまして。日本ではVHSしか出てないらしいのですが、なんとなくレンタルで見たような気も……内容より「ヴィルナ・リージが母親役」の図に見覚えがあります。自分のジャック・レモンブームはVHSのレンタルがまだ健在だった頃なので、当時同じ経路で知って見たのかもしれません。


→ウンベルト・サバ

DVDがないのでレンタルで見ることはあきらめ、ネットサーフィンすると原作は「ウンベルト・サバ」という人で、自伝的内容だと書かれていました。ええっ? 俄然読みたくなって(笑)検索したのですが、残念ながらこの作品("Ernesto")は邦訳が見つかりませんでした。でも同じ著者の詩集が近所の図書館にあるとわかり、「なんとなく」読んでみたくなって借りに行きました。それがウンベルト・サバ詩集で、翻訳は須賀敦子さんでした。(詳しくないのですが、以前「なんとなく」文庫のエッセイを買ったことがありました。深入りはできませんでしたが……)


→ボルヘス→「アルケミスト双書」

原語別になっている図書館ではあまり行かない一角だったのですが、無事詩集をゲット。近くの「ボルヘス」の名前が目について、こちらも詳しくないですが興味が湧き、その場でいくつか物色。結局ボルヘス怪奇譚集という、ご本人の創作ではなく、短い寓話などを収集(再話?)したという本を借りてきました。ついでに新着コーナーで「なんとなく」興味が湧いた〈ダイヤグラム〉の不思議というのも借り、けっこうほくほくして帰途につきました。


「なんとなく」喫茶店に行きたくなったので、寄って本を拾い読み。一番入り込めたのは偶然見つけた『…怪奇譚集』でした。いやー、これだからセレンディピティは面白い。当初の目的のサバさんは影が薄くなってしまった(笑)。

ボルヘスって名前はよく聞くけれど、ちゃんと読んだことがなくて、今回のはご本人の創作ではなく収集したお話(「胡蝶の夢」やそのバリエーションみたいなの多し。そういうご趣味なのね)…なんですが、なんだかテイストにテッド・チャンさんを思い出すところがあるなー……と感じました。そういえばチャンさん言及してなかったっけ?と思い、調べたら、ご本人が海外で「SF界のボルヘス」と称されていたのを見つけました。インタビューでもやはり言及なさったことがあるようです。(ブクマしなかったので引用できませんが……)

ボルヘス自身の創作作品も読んでみたいなーと思い、とりあえずkindleでサンプルを落とし、調べたら今回行った近所の図書館が代表作の伝奇集を持っていたので、今度見てみようと思っているところです。


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ついでで借りた『〈ダイヤグラム〉…』ですが、コンパクトで凝った装丁の「アルケミスト双書」というシリーズ(いくつか見た覚えが)で、著者の既刊に同シリーズのケルト紋様の幾何学というのがありました。これは面白いめぐり合わせ! 今書いているイアンシリーズの新作がらみで、ケルト関係はいろいろ調べているところなのです。ただ、その本自体はケルト紋様の描き方を幾何学的に解明したものだそうで、自分にはそれほどピンと来なかったのでスルー。代わりに同じ双書シリーズでアマゾンにおすすめされた(笑)物語のつむぎ方入門「なんとなく」気に入って注文し、今日到着しました。

正直、創作指南本は若いころから買いためたものが断捨離しなきゃならない状態なので、もういらない(「創作理論より実作に時間使え自分!!!」)…のですが、新作で壁にぶち当たってるタイミングでの出会いなので、「これも何かのご縁?なにかしら刺激が得られれば」と……。(いや、現実逃避の面もある。絶対(^^;))

ぶっちゃけこの手の本は「方法論や知識の伝授」以上に「調子に乗せてくれるかどうか」が大事です。この本はイラストや仕立て方もラブリーで、手元にあると気分が上がりそうですし(笑)、目新しい切り口のヒントが一つでも含まれていたら万々歳です。これはこれから読むところ。楽しみです♪



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そんなセレンディピティの記録でした。いやー、こういう「わがまま」、しばらくやってませんでした。ワガママというか、「これが自分にとって自然なあり方」だったんだわ、という感じがします。故郷に帰ったような。長いこと自分でなかったんですね。(^^;) 

今はいろんな事情でがっつり創作に没頭することもできないのですが、「今はこういうことをやる時なのだ」と思って腹をくくっています。潮目が変わるときは来る。今は今できること、やるべきことを精一杯やろうと。


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アンテナ破損の件は、保険会社の書類が届かないのと天候のおかげで進まず、今はBSが見られません。でもここにも福音が(笑)。いつも録画して見ていた番組や映画がたいていBSなので、逆に新聞をじっくりチェックする必要がなくなり、ここ一週間は妙な安らぎを感じています。なんかこれも余裕があっていいなあ……なんて思ったり。録画しまくっても見られず消すこともありますしねえ……。

でも家族が「『笑点なつかし版』は見たい!」というので、やっぱり直すことにしました。保険会社の書類が来たらまた忙殺されそうなので、今日は名残の「のんびり」。こんなふうに「わがままな雑記ブログ」を書くのも久しぶりで、なんだか解放感を得られました。これもセレンディピティの副産物、でしょうか。

こういうこと、「たまにはいい」というより「必要なこと」なんだなーと思います……。