2016年2月28日日曜日

『坂田靖子 ふしぎの国のマンガ描き』感想

昨日、予約していた『坂田靖子 ふしぎの国のマンガ描き』が届きまして、夕方から一気に読んでしまいました!いやもう、とにかく読んで下さい、買って下さいというしか。至福の時間が過ごせました❤



読みどころ

全部そうなんですが(笑)、なんといっても嬉しいのが、先生ご自身が幼少時から影響を受けたものについて話して下さってる長いインタビュー。そして萩尾望都先生との対談!お二人とも大好きな漫画家さんなので、まさに夢のようでした。

対談は、思い出話の部分とかすべて貴重なんですが、なんといってもノリが。共通の好きなものについて話すときのノリが!同じなんですよね、私たちと。もう、きゃーっとなってる感じが。「うん、わかるわかる。それでこうなんですよねーっ♪」「そうそう、それでこうなのよねーっ♪」っていう、一番幸せなタイプのファントーク…を、リスペクトマックスな先生お二人でやってるのを読ませていただく多幸感といったら!

あとはもう…あまり四の五の言いたくないです。ほんとにおすすめ。それしかないです。あとは自分の思いいれなどなので、テキトーに読み飛ばしてください……。(笑)

坂田先生とイギリス

私、「イギリスの空気感」て映像作品より坂田先生の作品で吸収していると思います。BSの局がいっぱいできてから、海外ものの旅行番組(『世界の車窓』からの豪華版みたいな、タレントさんとかよけいなもの(すいません)が出ないタイプの)がたくさん見られるようになりましたけど、そういう映像や写真で見るイギリスの風景を、「坂田先生の作品の背景のまんまだ!」と感じるくらいです。

坂田先生は、イギリスはおろか海外旅行に行かれたことはないそうです。映画や本や、いろんなものから吸収して、それが先生の中で再構成されてできたのがあのイギリスなんですね。でもそれがすごく正確でもありながら、血の通った「空気感」が……あれだけシンプルな線で、みごとに「空気感」が漂うのが魔法としか言いようがないです。「入っていける」んですよね。

これ、最近よく思うことなんです。マンガで「写真のように」細かく描き込まれた背景(たいていは文字通り写真のトレスや加工)とか、文章作品でよく調べられた現実要素の説明があっても、それが必ずしも「空気感」につながらないことがある。目が素通りしてしまう。

たぶん、マンガや小説に関してはそれ自体は肝じゃなくて、全体と有機的につながっているかどうか、なんだと思います。作者のなかに取り込まれて、そこで再構成されて出てきたもの、それが少なくとも自分がフィクションに求める魅力なんだな、と。だって正確な現地の様子やなにかの知識が得たければ、それを取り込んだフィクションよりも、そのものズバリのドキュメンタリーなり専門書なりのほうが、濃くて「面白い」ですもん。(この、「誰かの頭の中で再構成されたものの感触」に関しては、別にいつか書きたいと思います)

We are not alone...(超個人的な)

読んでいて嬉しかったというか、勝手に「私だけじゃなかったんだ」とほっとしたこと。同時に、「坂田先生と同じだ♪」とファン心理で嬉しくなったところです。(^^;)

これを書くのはちょっと勇気がいるんですけど……収録されてたエッセイマンガ『おしごと考』のなかで、なりたいものがいろいろあったけれど…というお話のあと、

「生まれてから今まで花嫁に憧れた事が一度もなかった」

というところ。今の社会でこれを「カミングアウト」するのはけっこう難しいです。でも最近、自分のような人は他にもいるのだとわかって少しほっとしています。坂田先生もそうだったんだ、というのはなんだか嬉しくなりました。

先生に勝手に親近感を覚えるところはいろいろあって、以前にも「ホームズが好きだというとクリスティも好きだと誤解されて困る(笑)」みたいなお話をどこかで書いておられましたが、自分もなぜか、クリスティが楽しめないほうです。敬愛するマーク・ゲイティス氏を含めクリスティ・ファンの方は多いので好きになりたい世界なのですが、こういうことは食べ物の好みと一緒でどうしようもないですね…。

この本に収録されてるささやななえこ先生と旦那様(『JUNE』の企画・創刊をなさった佐川俊彦さん)の対談では、(旦那様が坂田さんの作品を見て)よくエラリー・クイーンとか読んでるに違いないと思って聞いてみたら、「よくそう言われるので逆に絶対に読まないようにしてる」と言ってた、というお話がありました。他の先生でも、「この感じは有名なアレから吸収したに違いない」と思われたものを、ご本人は読んでいなかった、というお話は聞いたことがあります。

並べるのは僭越ですが、自分もそういう経験があります。こういうものを書くなら当然これが好きですよね、というノリでご親切に話題を振って頂いたときに、それがサッパリわからないことが。自分の場合は意識して避けるというより、ストライクゾーンが狭くて不勉強なだけだと思うのですが、よく気まずい思いをします(^^;)。でも創作ではそういう、「吸収・模倣ではなくある種のカブリ」というパターンはよくあることなんじゃないかな、と思います。

*      *      *

昔からわりとマンガ雑誌は買わないほうで、好きなコミックスを繰り返し読むタイプなので、あまりたくさんのマンガは読んでいません。坂田先生の作品も、雑誌で目にしていたのはJUNE掲載作品くらいかもしれません。そのためきちんと(?)ハマったのは遅いほうで、たしか一人暮らしをしていた友達の家に泊まりに行った時に、彼女が『マーガレットとご主人の底抜け珍道中』の第一巻(当時連載中でした)を見せてくれたことがきっかけだったと思います。その後続刊が出るとすぐ買って、少しずつそれ以前の作品も追いかけていきました。

ちょうどインターネットを始めた頃に先生のサイトサカタBOXを見つけて、以来Spy the Desk(インターバルの長い日記というかコラムというか、そういうページ)の更新をチェックするのが、当時ネットを覗くおもな目的になっていました(笑)。数年前からなかなか更新がされなくなって心配していましたが、入れ替わるようなタイミングで始まったニュースレター『デアボリカ通信』を申し込んで読ませていただいています。ただいまシーズン2。こちらもインターバルは長いのですが、プリンタで印刷されたクリスマスカードや年賀状が同封されていたり、お楽しみが多くて。会費分では赤字なんじゃないかと思います。こちらもいつも楽しみにしています。(といっても待ちかまえるというより「忘れた頃に届く」という感じで、それがまた嬉しいのですが(笑))

今回の本に収録されている作品はすべて再録なので、自分もほとんどが「再会」でした。でも自分は記憶力がものすごく悪いので(^^;)、全部結末まで覚えてるわけじゃないし、何度でも再会したい作品ばかりです。今回の選択は短編なのでJUNE等に掲載されたものが多い感じです。自分はJUNE誌も買えたものは少ないので、ほとんどはまとめたコミックスのほうで読んでいます。JUNE掲載作品では、今回は掲載されていませんが、対談等ではやはり『村野』のタイトルが上がりますね…余韻が坂田先生らしい作品でした。

作品については書き出すときりがないのでやめておきます。(^^;)今回の本の中であまり触れられていなかった、先生のエッセイマンガも大好きだということだけ、付け加えておきます♪



この本に再録されていた、ティアズマガジンでの波津彬子先生との対談(「やおい」の語源等)については、ちょっと話が横滑りして自分の創作方面と絡んだ話になっちゃったので削除します。(^^;)あとで直して、kindleサイトのほうに載せられればと思います。よかったら覗いてやってください☆


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