* * *
この回はゲイティス兄の脚本でアリマスね。とにかく引っ掛けなのか伏線なのか、てんこ盛りでした。一番気になるのはやはり「動画編集」。冒頭でさんざん動画なんてどーにでも作れると強調しておいて、最後に「地獄に落ちろ、シャーロック」。あのメアリーの映像自体がフェイクと匂わせて……やっぱりまだ引っ張るのかな兄。モリアーティーで。ほんと好きなんだなあ、アンドリュー・スコットのことが……(ごめんなさい(^^;))それと最後にちらっと出てきた名前「シェリンフォード」。なんか聞き覚えが……ホームズさんの名前の候補の1つか兄弟の名前か……だったと思い、気になったのでとりあえず『シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯』を掘り出しました。兄弟なんて出てくるとしたらこれ。たしかに兄弟の名前として出てきました。これはドイルせんせが書いたのではなくぶっちゃけ二次のひとつなんですけど、シャーロッキアン/ホームジアンさんの世界ではしばしば半公式的な扱いもされてる本。ここから兄はとったんですね。強調していた「もう一人の兄弟」、まさかトビー・ジョーンズなのかしら。誰がやるのかしら。いやー、煽る煽る♪(笑)(ただ、この方「煽っておいて回収しない」という魔性のいたずら坊主みたいなところがあるので(もう慣れましたよ兄!(笑))、あんまり鼻息荒くしないようにして見守ろうと思います……(^^;))
以下、頭に浮かんだことをぱらぱらと書きます。
キャストのこと
一番印象に残ったのは――「マイクロフト」。すいません。(笑)ああ、私シーズン1でこの人に惚れたんだっけ、となんか改めて思いました。どのシーンがどうということはないですが、中の人のほうを多く目にするようになった今見ると、この黒く染めた髪とスーツのスタイルはやっぱりまるでご本人とは別人なんですよね。当たり前だけど役者さんだなあと。もう五年経つんですね……なんかそれなりの歴史を感じるのでした。…50才の誕生日に息子を失ったウェルズバラさん❤『コナン・ドイルの事件簿』で若きドイルをやってた方ですよね。名前は覚えてないんですが、あの番組も好きだったのでドイルつながりが嬉しくもありました。そして奥さん役はマーティンが主演した『The Robinsons』でマーティンの兄嫁をやってた方。すごくうまかったので印象に残ってるのですが(そのわりに名前を憶えていない(^^;))なんか年を取られたなあ……マーティンの変貌ぶりもすごいのでこちらも光陰矢の如し、みたいな感慨があったのでした。亡くなってしまう息子君はよく父親似の子を探してきましたねえ……ちょっと純真にしたジュリアン・アサンジ的な感じ(それアサンジじゃない!(笑))もあってかわいかったので、あんなふうに死んでしまうのはやりきれないですね。素直に心が痛みました。でもこの事件は、この回ではなぜか一番「正典ホームズの感触」に近いものを感じました。
ちらっと部分画像でだけですが、『死を呼ぶ暗号』に出ていたディモック警部も再登場してましたね!うおーかわいい❤ こういう再登場あるんなら、ぜひぜひ元鑑識にも愛の手を……(笑)(サリー・ドノバンはほんとにすっぱり出なくなっちゃいましたねえ……警察側のシャーロックへのツッコミ役だったから、しどころがもう作りづらいかな。アンダーソンもシャーロックファン(笑)になっちゃいましたしね)
「?」なこと
基本的には見ている間騙し通してくれれば、あとから「アレ?よく考えると……」というのが出てきてもオッケーなほうなんですが、今回は見ている間にもう「アレ?」というところがあって。脚本兄なのであんまりツッコミたくないんですけど、まあ他意はなく引っ掛かったところをメモしときますです。アカコ?:「日本人の恋人」で出てきた名前……私日本人なんですけど、そういう名前は聞いたことないです兄……いや、こういうことは慣れてますけどね……(涙)
USBメモリー:エイジェイがサッチャー像に隠したUSBメモリー、たしか首にかけるチェーンか何かがついたまま入れてましたよね。像から出てきたときはメモリーだけに見えてたんですが……破片に隠れてたのかなあ。これはちょっと確認できません。間違ってたらごめんなさい。
メアリーのケリのつけ方:ここはどうしても……だってシャーロックには見つからずにエイジェイには追わせるって直感的に無理ですよねえ。むしろエイジェイが家族を人質にしてメアリーをおびき寄せられそう。シャーロックを封じておいてエイジェイと相対したいなら、あの嗅がせ薬(?)で動けない間にどこかにシャーロックを閉じ込めるとかして、すばやくケリつけるしかないんじゃないかなあ。単細胞はそう思います。とにかく世界周遊することがどうしてジョンと赤ん坊を守ることになるの???というのがわからなかったです。(あと、シャーロックが先回りしたあの中東(?)の家、あの時メアリーはあそこに何しに行ったのかもわからなかったです。うーん、ごめんなさい兄!(^^;))
ジョンとメアリー/終盤
マーティンとアマンダさんがもうパートナーではない、というのがどうしてもシンクロしてしまって、ジョンとメアリーのシーンはなんか見ていてみんな落ち着かなかったです……肉親キャスト(しつれい、パートナーだからここは肉親ではないですね。親族キャスト?)の弊害だなあ。あれ、結局ジョンの浮気も「切れてないんじゃ」とわざとあいまいにしたし!(^^;)(あの女優さん、顔の系統が以前付き合いかけた病院の人と似てますね。ああいうタイプが好みなのかなあ(笑))でも、今回見せ場のない「ジョン」のキャラとしてはあれがなかったらほんとに「完璧すぎて」つまらないし、あるからこそ男性キャラとしてはリアルに感じます。メアリーが死んだときの異様な様子も、自責の念が混ざっているからこそシャーロックに怒りを向けようとしてるんだろうなあ、とかいろいろ想像させる効果が出てました。あそこは悲しみとか怒りとかいうより「おかしくなってる」感じですよね。まあ妻がああいう風に死んだらそうなるかもですが。…ただ、あの時も段取りが……誰が見てもおかしいのは、銃が発射された後にメアリーが動いたように編集されてることですよね。これはさすがに加速装置つきのサイボーグ009でないと!(^^;)それとも前後させた編集なんでしょうか?撃ちそうだと察して動いたのをああつないじゃったとか???ジョンがメアリーが撃たれた瞬間には居合わせてないのも、なんかスムーズにつながらないです。銃声は聞こえただろうし、拘束されてるビビアンがいるから状況はわかるとは思うんですけど、なんか全体につなぎ方がぎこちない。「なんか数カットよけいに切ってへんなつなぎ方しちゃった?」という感じ。うーん。(^^;)
ただ、ジョンのあの動物みたいな唸り声(マーティン本人の声のほう)は持ってかれました。メアリーに懺悔をし損ねたあとの流れですから、あんなふうにストレートにありがとうなんて言われて、自責の念とやりきれなさもマックスでしょう。まるで自分が殺したような。だからこそ死に物狂いで「守れなかったシャーロック」に怒りを向けてる感じがしました。でないと自分が保てない。そういうある意味「卑怯な」弱さの裏返し……なんて見るのはたぶん穿ちすぎですが、うまいですねぇマーティンは。でもそういう場合自分が許せないわけだから、繊細なジョンは立ち直るのが難しそう。そこでかつてのセラピストにつなぐ引っ掛けもうまいですよねえ。(シャーロックは何しにいったんだ?ジョンについての取材???まさか本当に相談???)
「もし僕がうぬぼれてたら●●と言ってくれ」という、正典からの引用。これはほんとに、あの水族館のシーンでシャーロックは己惚れているし、エンジンがかかっちゃってますよね。推理が止まらなくなって楽しくて、相手が驚くのも嬉しくて、あの状況で相手を精神的にコテンパンにしたら「窮鼠猫を食む」の状態になってしまうところに頭が回らなくなってしまう。だから己惚れというより子供なんですよね。それでこそシャーロック、という感じがしますけれど。
印象的だった映像
サッチャー像の顔の一部がシャーロックの顔に重なる画面。不気味に笑ってるように見えましたね。こういう表現好きです。犬のトビーを借りるシーンで、赤ん坊を胸に「ぶら下げてる」ジョンのショット。赤ん坊の体にジョンの顔がくっついてるように見えてすごくかわいくて。これ狙ってるんじゃないのかなあ。(笑)
子供時代のフラッシュバックでシャーロックが海賊の帽子をかぶってるショット。マイクロフトも「海賊」に触れてました。(今回のタイトルはそれいただきました♪)シャーロックの海賊ネタは二次でもすごく使い勝手がよくて(おい(笑))わりと好きなので、生かしてくれてるのが嬉しいです。
あと、映像といえば今回はマインドパレスが出なかった!これが自分にはありがたかったです。フラッシュバックはあるけどマインドパレスの描写どっぷり、とまではいかない。マインドパレスに入ってしまうと「なんでもあり」になりすぎて…ちょっと食傷していたんです。
* * *
ゲイティス兄はモファ様と比べると引っ掛けやキャラのやりとり、シーンごとの情緒作りとかがお得意な印象があります。ただ、今回は大きな矛盾がいくつか目についちゃったのが……時間がなかったのかなあ。モファ様はタイプがまた違うので、どんなお話を書いたのか興味が湧きます。でもね、やはり大変だと思います。これ続けるの。自分の脳内の基準がお手柔らかになった(?)のもありますが、覚悟していたよりはずっとましに感じました。(どんな覚悟してたんだ私(笑))ただ、無理して続けなくてもいいよーって感じではあります。シーズン1、2の良かった回のクオリティったらありませんでしたから、それだけでも感謝感謝で。…でもまた夢中にさせてもらえたら、もちろん嬉しいです。
あ、今見直してるんですけど、ジョンが浮気相手(?)の彼女とバス停で再会するシーンで、ちらっとトビー・ジョーンズのポスターが映りましたね!『裏切りのサーカス』その他、ほんとにいろんなところでお目にかかる方。独特の雰囲気があって「映画の人」ってイメ―ジ持ってるので、すごく贅沢に感じます。次回(もう明日!(^^;))出るんですね。シェリンフォードの謎も解けるのかな。楽しみであります。