* * *
いやー、おつかれさま……としか言いようがないというか。(^^;)やっと終われる、という感じでしょうか。ほんとにおつかれさまでした。前回の心配そのまんま親族話・内臓話全開で――痛々しさを感じるレベルで「ご苦労されたんだろうなあ」という感じでした。絡めていた「外側の」事件は結局ユーラスの一種のマインドパレスみたいなものだったんですもんね。全体の印象は手間をかけた二次創作(もともと原作ホームズの二次ですが、その意味ではなく「SHERLOCKの」セルフ二次創作)、という感じでした。この印象はシーズン3あたりから濃厚になって、『忌まわしき花嫁』でまったくそうだと感じたんですが、そのまま終わってしまいました。
じつは途中で飽きてしまって(ごめんなさい(^^;))……シーズン1の第2話とは別の意味で。作りが「閉じ込められた若者のグループがゲームにのっとって次々殺されていく」系のホラーと似たものでしたでしょう……個人的に、このパターン楽しめないほうなんです。それと、これは勝手な解釈をしたためですが、「外側の」飛行機の女の子のシークエンスが、「運転手」とか乗った場所の言い方などから、本物の飛行機ではなくディズニーランド的な大掛かりなアトラクションに見えてたんです。(ただ、一緒に乗っている乗客がみんな眠っていて外に出られない恐怖は子供にとって本物だし、本当に飛行機に乗ってると思っていて、混乱しているからうまく説明できてないんだと思ってたんですね。外の風景もアトラクションだと思ってました~)
で、そこの緊迫感がゼロになってしまったためにカウントダウン感も味わい損ね、前回書いた通り内臓話(または「ゴムのアヒル」。子供の頃にこういうことがあったからこうなったんだ、系の設定)……は、文字通り「設定」だから物語であまりメインの扱いになっていると冷めてしまう方なんです。それが今回キモでしたから、自分にとって見ていて許せる、効果的と感じる匙加減を越えていたんだと思います。加えて先ほど書いたように自分には楽しめないタイプのホラーパターンの踏襲だったので……うう、ごめんなさい。でも正直とてもしんどかったですぅ。(あ、『羊たちの沈黙』はきらいじゃないんですけど! ただ、ちょっと使い方がまんますぎたかなーと……(^^;))
個人的に一番残念なのは、これでモリアーティが矮小化されてしまったことでしょうか……魅力的な構図だったので。やはり「過去の感動のスポイル」のたぐいになってしまいました。兄、インタビューでは成功したゲストキャラを安直に再登場させちゃだめだって言ってたのに~。それを押してもアンドリュー・スコットの出番は作りたかったのか~っ!(笑) …冒頭のマイクロフトのホラー映画シークエンス(あのピエロもなんかに出てたやつですよね?)は、ホラー映画好きなゲイティス兄には撮影楽しかっただろうな~とかのんきに思ったんですが……視聴者としてはそういう問題ではないです。
正典ネタもいろいろ入っていましたが……ちょっと苦しくなってきたところで正典ネタを出してなんとか間を持たせていた、という感じがします。(なさけないことに、ファンはそれで一瞬「おっ」と思ってリフレッシュされるんですよ。うーん、手のひらで転がされる気分です(^^;))でもそれが有効なのは正典読んでる人だけなので、テレビとしてはそれではだめです。こういう「ファンくすぐり」みたいなところは入りすぎると自分の目には興ざめで、あくまで刺身のツマのサービスだと思うんです。はっきりとパロディにする場合は別にして、受け手に予備知識がないと楽しめない(引き合わせの楽しみしかない)部分が多い作品は創作物として格が低いと思っています。
…SHERLOCKのシーズン1がすごかったのは、原作をまったく知らなくても、原作を知っていても、両方が楽しめる作りだったこと。自分は正典ファンだったのでちょっと斜に構えて見始めましたが、完全に脱帽で、それを超えてワクワクして夢中になれました。それが今回は、正典ネタと過去の人気設定の再利用に「頼ってる」感じがしたんですね。あと、詰め込みすぎな感じもしました。終盤はもうバタバタとたたんでいく感じで。なんか劇場でお芝居を見ていて、まだ幕が下がってないのに大道具片付けられ始めたような感じがしました。(笑)
(あ、ただ、個人的なことですが、親友ヴィクター・トレヴァーの使い方はある意味ほっとしました。長年温めている正典パスティーシュとアイデアレベルでかぶることを心配していたので……。利己的でスイマセン。でも長年かけてるのにSHERLOCKとかぶってしまったら、もうお蔵にするしかないですもん!(^^;))
…ちょっと辛いこと書きすぎました。たぶん、もう一度見たらそう気にならないかもしれません。ただ、すぐにもう一回見返したいかというと……うーん、今はむしろ、シーズン1、2あたりの良かった回を見直したい気持ちです。
いつでもまた帰ってこられる形で(これはこうするしかないですね)、メアリーの感動的なナレーションでの幕引きも、ちょっと木に竹を接いだ感(「えっ、そんな話だったん…」)はありましたが、シーズン1第1話のレストレードが言ってた「Good one(いいやつ)」になれたシャーロック。その分キャラとしての魅力はある意味減じたんですが、彼を成長させていくというコンセプトでしたもんね。原作とは違うんだ……。同じ第1話の最後のマイクロフトの台詞も踏襲して、円環がきれいに閉じました。
…なんか違うものになっちゃったけど、こうなったのはたぶん人気が出すぎてやめられなかったためで、よくあること。恨み言を言うには過去に楽しませてもらいすぎた(そしてこれから先に続く別の楽しみも、大袈裟でなく人生の選択肢も広がった)ので感謝のほうが大きい、というのが正直なファンとしての気持ちです。シリーズもののケーススタディ(?)としても勉強になりました。
ほんとにおつかれさまでした。ありがとう!
(なんかフェアウェルしちゃいましたが兄上さま、もしこれから「探偵と医者が子育てしながら事件を解決する30分枠のシットコム」が始まるとしたら、いちおう試しに1話は見ますよ!でもそーいうのはファンフィクの楽しみにとっといてほしいかなっ(笑))