数日前に、久しぶりに地元のレンタル店をぶらついてたら、『スター・トレック:ピカード』が新作で入荷しているのを発見。1巻目を衝動的に借りてきました。作品の存在はパトリック・スチュワートご本人のツイートなどで知っていたんですが、なぜかネトフリ(契約してません)だと固く思い込んでました。アマゾンプライムだったとは……! 解約してたプライムに慌てて再登録し、3話以降も見始めました。(犬の名が……やっぱリタイア後も日常的にそう呼びたかったのね……(笑))
まだ見始めたばかりなのでそちらの感想はあとにしますが、むしろ昔の作品のほうを見返したくなってしまいました。(笑)それで一番ハマってた頃に買ったピカード映画三本セットを昨日の朝掘り出し、『ファースト・コンタクト』再見とあいなりました。
ホコリをかぶってたピカード艦長三本セットを救出。一番好きなのは『ファースト・コンタクト』ですが、他のもTVシリーズも地すべり的に見返しそうな予感がします……(笑) |
ああ、やはり面白い! てかもう、ジェリー・ゴールドスミスの音楽だけでも胸がいっぱいになります。ストーリーもキャストの演技も、改めてうまいなあと……当時スタトレ映画では最高の出来と言われていたようですが、今見てもやっぱりナンバーワンではないでしょうか。監督してるのも「ナンバーワン」=副長役のジョナサン・フレイクスですしね❤(笑)
(※ピカードは副長を「Number one」と呼びます。英国海軍の俗語だそうです。「Make it so.(そうしたまえ/実行せよ)」「Engage.(発進)」なんかと並ぶ彼の特徴的な台詞で、ファンはこれを聞くと盛り上がってしまいます♪(笑))
…なーんてくだらないこと言いたくなるほど懐かしくって、見終わったあと上機嫌になってしまいました。ちょっと褒めちぎらせてください。スタトレの基本的設定は冗長なのですっ飛ばしますが、未見の方のために少しだけ「出来事の」ストーリーを書きますと……
時は24世紀。宇宙艦隊のピカード艦長率いるエンタープライズE号は、地球に攻めてきたボーグという機械化生命体と戦い、ボーグ・キューブ(ボーグの特徴的なキューブ型構造物)を破壊する。(ここまでに至るシークエンスで、艦長がボーグに対して抱えるトラウマをサクッとわからせてくれます)キューブから逃げたボーグの球体を追ったエンタープライズE号は、球体のタイムトラベルに巻き込まれて21世紀に飛ばされる。そこは第三次世界大戦後の地球で、初めてのワープ飛行が行われ、惑星連邦が地球を認識する契機となる「ファースト・コンタクト」の前日。人口はほとんどボーグになっていた。ボーグによって変えられた地球の歴史を元に戻すべく、ピカードたちの闘いが始まる――(と予告編風に☆)
書き出してみるとものすごく情報量が多いんですけど、すべて映像で(しかも面白く)「見せて」しまう手際の良さといったら! 背景設定を説明っぽくなく伝えることは常に課題だと思いますが、この映画はそこが見事です。おそらくシリーズのファン以外の方にも「自然に話がわかる」ようになっていると思います。
最初の艦長の目のアップからのとんでもない引きシーンは、今見ても度肝を抜かれますし、同時にすごくたくさんの情報を「見せて」くれます。そしてかつてボーグに同化されたピカードがどんな感情を持っているかも雄弁に語ります。それをどう乗り越えるか、という彼の心理の流れが、映画の裏の(というか真の)テーマであり、見ているこちらも自分の身に重ねて見られるところだと思います。
そしてファンへのサービスというか、シリーズを踏まえた細部のアレコレがてんこ盛り。ボーグの不気味なビジュアルや戦闘の凄惨な映像もありますが、「楽しい」映画でもあります。ラストのシークエンスはシリーズのファンにとって「ああ、ここにつながるのか!」という感動がありました。
監督のジョナサン・フレイクスは、副長ライカ―役としてもハンサムで恰幅がよくて「ああ、男に生まれ変わったらああなりたい!」と本気で思う(笑)素敵俳優さんなんですが、あまりに監督作が見事だったので、今何をしてらっしゃるのかなーとプロフィールを見てみたら……やはりというか、ライカ―役を除くとその後は監督メインですね。そうそう、人間版(?)『サンダーバード』もこの方が監督だったのを思い出しました!(個人的には楽しめた一本でした。ポップなテーマ曲も気に入ってサントラ買ったくらいです❤)
今回は、たぶん10年くらい見てないんじゃないかってくらいの再見で、いい塩梅に細部を忘れていたのですごく楽しめました。じつは再見したいと思った時に、「タイムトラベル+ワープ開発の話」と「ボーグクイーンの話」が頭の中でつながらなくて、「あれ? じゃあボーグクイーンが出てきたのはどれだったっけ?」とか思ってしまい……ああ、やばいぞ。(^^;)しかしなんててんこ盛りな映画だったんだろうと思います。
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…スター・トレックは、このジャン=リュック・ピカード艦長のシリーズ、TNG(「ザ・ネクスト・ジェネレーション」。邦題は「新宇宙大作戦」)でハマりました。その後遡ってオリジナルのスター・トレックもレトロ感を楽しみ、そのあとのシリーズもちらりと見てみましたが、やはり自分はピカードのシリーズがしっくりきます。
TNGで御多分に洩れずパトリック・スチュワートのファンになり、短期間ですがファンクラブに入って、これまでにただ一度のイギリス旅行は彼の舞台鑑賞とファンクラブのギャザリングのためでした。振り返ると、英語の翻訳に挑戦したきっかけもTNGの英語ファンフィクを友人に読ませるためだったという……(^^;)。シャーロック・ホームズとTNGがなかったら、今頃まったく違う人生を歩んでいました。確実に。(笑)
…ピカードと言う人は、とても優秀でまさに「理想の上司」なんですが、彼が放り込まれる状況は勧善懲悪では割り切れないものも多く、悩むキャラクターでもあるんですよね。このテーマは時代の影響もあるのでしょうが、独特の魅力を感じます。もちろんパトリック・スチュワートのルックスや美声という要素も欠かせませんが、このドラマからSFという枠を超えた「外交萌え」を知った気がします。
今回はたまたま、最近見ている『町山智弘のアメリカの今を知るTV』でコロナ下のアジア人差別を詳しく知り、来週はこのテーマでジョージ・タケイさんのインタビューを放映、という予告を見た後の鑑賞でした。(タケイさんは最初のスタトレでヒカル・スールーという役をなさった方。日系アメリカ人でゲイでもあり、近年はその関連の人権活動に力を入れていらっしゃいます。個人的には2007年の横浜ワールドコンでサイン&握手会に参加する機会がありまして、お優しかったこと、大きくて温かい手だったことを覚えています。(^^))
アメリカ製ドラマであるスター・トレックが、1960年代に黒人やアジア人をメインキャストに入れ、TNGではさらに理想主義的な価値観を掲げていたことを考えると、今のアメリカの姿は無残に映ります。その後のスタトレ映画や今回の『ピカード』も、『ファースト・コンタクト』の当時と比べるとだんだんダークでシビアな側面に比重が移ってきたように思います。もちろん時代の変化に合わせたもので、昔の映画は今の目で見れば「はあ?」ってところもあるのは事実です。
でも、時代の変化が「そういう方向」に進んできたということ自体、なんとも複雑な感じがします。そんな思いもあってでしょうか、基本的には活劇であるはずの『ファースト・コンタクト』を見ながら、なぜかあちこちで涙が出てしまいました。
ああ、テレビシリーズもやっぱり見直したい……☆
【余談】個人的には「スタートレック」と「・」を入れないほうがなんとなく馴染みます。ググると混在も見られますが、「スター・トレック」のほうが多いようなので、いちおうそちらに修正してみました。うーん、違和感あるけど慣れなくちゃ……(笑)