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2020/11/07

本とネットでまったり名画鑑賞/高階秀爾さん『名画を見る眼』ほか


最近心がけている「自分に休息と滋養を」キャンペーン(?)の一環で、今日は午前中に高階秀爾さんの『名画を見る眼』という、西洋絵画15枚が解説されている本を買ってきました。古書の岩波新書で110円ナリ。(高階先生の解説はわかりやすくて大好きです❤ 今回コレを買った経緯はのちほど)




古い本で図版がモノクロなので、昔買った本で補完です。まずは同じく高階先生の『西洋美術史』。手元のは古い版で現在のと表紙が違いますが、カラー図版たっぷり❤……なんですが、けっこう作品が重なってなかった……(涙)。次に『原寸美術館』。久しく開いてませんでしたが、文字通り名画を原寸拡大画像で見られる画期的な画集です。こちらはボッティチェリの『春(プリマヴェーラ)』が重なってたので、そちらの解説も改めて堪能しました。……で、「ネットならなんでも見られる!」と気づいて、そのあとは解説されている絵を検索しながら。三分の一ほど読んだところです。

…いやー贅沢な時間でした。たった110円の散財で「高階秀爾先生に解説してもらいながら」その絵を見る! しかもネットの画像はたいていの本のカラー図版より大きい。むろん実物鑑賞には遠く及びませんが、おうち鑑賞としては御の字です。

ふと、「ネットの使い方ってこういうのが(少なくとも自分にとっては)本来の理想だなぁ」とか思いました。昔思い描いていた「良い方に便利な未来」ってこういうイメージ。だって、ダ・ヴィンチの『聖アンナと聖母子』でググるといきなりルーブル美術館の掲載ページが出てきて画像が見られる。よく考えるとすごいことですよこれって。

…ええと、いろいろ省くと「どこの浦島太郎だ」なので(笑)蛇足を書きますが、感動したのはサイトの存在自体ではなくて「ごく自然に」「日本語化されたページにいきなり」アクセスできたこと。(サイトに行ってから言語を選択、じゃなくて。)それだけ日本人のお客さん多いってことですねきっと……。それは別にしても、なんか世界の文化的な財産をごく普通にシェアしてもらえるようになってきてるんだなあ、と改めて実感。いや~世の中いい方にも進化してますね。わるいことばっかじゃない。

一方でネットのありがたくない側面は、昔は想像もできなかったなーと……。集中力がなくなったり、「情報」と称して来るものの大半が実は「広告」で、要するに「お金を使うのに便利」ってだけだったり、自分に関係がなく読みたくもないゴシップやら暴言やらを「ニュース」と称して半ば強制的に見せられたり、etc.

でも最近は「いや、やっぱ使い方は自分で選べるはず!」とつくづく思うようになって、「自分が本当に興味を持ってること」を優先するよう努力してます。世間のメインストリームとはしばしばズレるので難しかったりするんですけど、人生の時間は限られてますもんね。

閑話休題、本の話に戻りますが……じつは昨日から別の絵画の見方本『絵を見る技術』を読んでました。図書館に予約して数か月待った人気の本で楽しみにしていたんですが、個人的に「うーん?」とモヤモヤするところがかなりあって、読み進めるのがつらくなり、別のアプローチの本は……と検索して高階先生の定番名著にぶち当たったのでした。それで先週あたりにブックオフで見かけたのを思い出し、「まだあるかなー」と心配しましたが幸運にもゲットできたのでした。(1969年に出た本ですが今も刊行中なので、新しいきれいな本がほしいなーと迷ったんですけど……今日注文したら到着まで読めない。古本買えばすぐ読める。ということで辛抱できんかったとです☆)

『絵を見る技術』も、青絵の具が高価だったお話とか、興味深いところはあるし発見もありました。ただ、なぜか視線の誘導で解説される流れが自分の自然な目の動きとは逆だったり、どうしても納得できない解釈があったり、特に画家の意向が断定的に語られるところに違和感があったり。(←「死人に口なし?」とか反射的に疑ってしまう瞬間が何度かありました)つまり、構造や造形的な説明部分はいいのですが、必ずしも断言できない部分まで公式化されてる感じがするんです。大事なのはそこかなあ?という疑問も。なんだか絵を見る「喜び」につながる部分がどんどん目減りしてしまう感じがしてしんどくなりました。

…事前に低評価レビューは読んでなかったのですが、今見てみたら同じような違和感を感じた方は少数ながらおられるようです。「少数派」なところが我ながら納得なんですけど、まあ自分だけではないのね、と安心しました。(←メンドーな上に小心者な読者……)

なんか失礼な書き方をしてしまいましたが、違和感を言語化しておきたくて……充分にはできませんでしたけど。ただ、合う方にはすごく合うようです。『名画を見る眼』のほうをあまり書けませんでしたが、作品の背景や書かれたときの事情などがわかるもので、楽しめています。もちろんおすすめであります。