2024/10/02

【感想】 『ゴジラ-1.0』、『ゴジラ』(再見)、『三体』

引き続き、アマゾンプライム無料体験で見たものの感想メモです。


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 『ゴジラ-1.0』

すごかった!いや、ゴジラで泣くとは思わなかった。迫力もあったし、ゴジラ映画としては出色では。(ゴジラ映画に何を求めるかによるけど)自分はただの映画好きで特別ゴジラファンでもなく、むしろ期待値がわりと低めだったので、ぎこちなくオーバーアクトな人間ドラマも許せたし、全体としては満足できた。むしろ意外性で大満足、というべきかな。あの音楽を聞くと涙腺に来る。


『ゴジラ』(再見)

続けてオリジナルの『ゴジラ』を再見したくなり、これもプライム無料枠にあったので鑑賞。うん、このゴジラの象徴性——水爆実験の申し子で、まるで自然が復讐しているように見える——が、『-1.0』に欠けている点。災害のようになっていて、科学者でも志村喬に当たる役はなかった。あちらを見ている間から頭をよぎりはしたけれど、人間のほうに力点があってそれはそれとして見られたのであまり気にはならなかった。

でも「ゴジラ」が象徴するものがこれだというのが、単なる怪獣映画と一線を画すオリジナルの重みだと思う。ゴジラシリーズは災害映画になったり、モンスタードンパチ映画になったり、コメディになったり、いろいろだね。でもシリアスにゴジラの象徴性に力点を置いたら、今ならかなりのものができそうな気がする。(未見だけど『オッペンハイマー』のアンサームービーになるかも?)いや、むしろいろいろ「配慮」が必要で、かえって昔ほどストレートな表現はできないご時世だろうか?

あ、「じさま」があの人。思わず「さむれえ雇うだー」と心の中で拳をあげてしまう。(笑)志村喬も出てるし、そういえば『七人の侍』も東宝だったなぁ。


『三体』(※原作は読んでいません)

やっと見終わり。宇宙人を探す側から語られがちな「フェルミのパラドックス」(テッド・チャンの『The Great Silence』の切り口を思い出した)を、「探される側」で丁寧に扱ってる感じのテーマ。大きく異星人襲来ものといえばそれまでだけど、感触は違う。地球が異星文明の探査に「ひっかけられた」事情を、近代史ドラマを絡めて描いていて、展開が鈍くてつらかったけど、あの「決断」に説得力を持たせるためには必要だったとも思う。

ビデオゲームになじみがないので、「たかがゲーム」の内容に主人公たちがあそこまで深刻になる理由がわからなかった。(そこは突っ込んじゃいけないのかも)でも受け入れてしまえば、ゲーム内のキャラの再現具合はすごいし、「人海戦術」なコンピューターも爆笑したけどすごい発想! さすが中国ならでは、という感じがする。

視点だけで言えば先日再見した『コンタクト』と似ているし、『メッセージ』とも似ている。(その2作は穏健な異星人との出会いを描いていたけれど、『三体』がこれから侵略フェーズを描くとすると、かえって『宇宙戦争』風のクラシックな構図になるかもしれない)中国のメカデザインが——時代設定でレトロなのがたくさん出てくる——おおざっぱにソ連ぽいというか「東側の香り」がして、新鮮に映る。そして出てくるのが美男美女ばかりで目の保養。(笑)

シーズン1ということで、話は終わっていない。おばーちゃんの製材労働所(?)あたりの回想と29話(「極悪なのはみんな白人」でいきなりキャラが大味に(笑))を除けば面白かったと言える。世界の軍のトップらしき人たちが自然に中国に従ってるところなど不自然に映ったが、中国番組のリアリティなんだな。こちらが「アメリカ人があらゆるシチュエーションでリードして、宇宙人も英語をしゃべる映画」を見るのに慣れ過ぎてただけかもしれない。相対的にみれば、ゴジラだって日本に来て日本人が対処する物語なわけだし、作った国が話の中心になるのは当たり前。長すぎるのがネックだが(9月中に見終えようと連続視聴したので疲れた(笑))、シーズン2が作られて無料で見られる環境にあれば見てみるかも知れない。


これから三体人との闘いになるように見えるが、普通の異星人襲来ものになってしまうのかどうか。アリの描写がやたら多かったので、てっきり昆虫がじつは三体人ですでに斥候的に地球に来ていて(昆虫は地球生物の中では異質で異星由来では?という説を聞いたことがある。トンデモネタかもだけど)、サイズの小さい文明のため地球人のナノ研究を警戒してる、みたいなオチかと想像していた……それじゃギャグか(笑)。でもゲームの中の三体文明も三体人も、あくまで地球三体協会の地球人が解釈したもの、みたいな台詞があった気がするので、ゲームシーンで出てきたイメージをそのまま正体と解釈する必要はないのかも。映像作品は宇宙人の姿の出し方が難しい。丸出しにするといきなり安っぽくもなりかねない。この作品も出てきたら安っぽく見えてきた。でもまだ見た目とかサイズ感とかの「実は」な展開は可能なので、少し保留して期待しておく。

刑事役の人がすごくいい。別の作品で劉備や曹操をやってたらしい。さすが中国。日本では三国志とかの世界は特別感があるけど、これらも「単に時代劇のキャリア」なんだもんね。ワン教授役の人は牧田習くんを渋くした感じなのだけど、過去には始皇帝をやったらしい。

『最後にして最初の人類』といい、続けて似た感じの——地球文明の限界を意識した発想の——SFを見た感じがする。今の流行りなのか、自分のモードがそうで無意識に選んでしまったのか。