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2016/07/12

シノプシス進行どっこいしょ+『謎の円盤UFO』+ハヤカワ文庫の海外SF復刊総選挙

今日が次のイアンものの長編の第一稿締め切り…の予定でした。実際の進行はまだシノプシス。(^^;)ですが、いちおう区切りとしてここ数日追い込み、さっき現時点でのアイデアをまとめてプリントしてみました。ふー。

前回の短編の最後でちらりと書き添えました通り、ストーリーのオモテのラインは「イアンが北海に沈んだUFOとやらの取材に行かされる話」の予定なので(ウラはまた別の心理的物語が進行します)、そういう方面も調べたり読んだりしてました。……偶然ですが、スコットランドって90年代以降この手の目撃のメッカになってるそうですね。まだモデル地は迷ってる段階ですが、イメージソースにことかかない状況です。それでいて勝手に想定していた事件ともろにかぶる例には出くわしてないので、風呂敷広げやすそうです。(笑)

60年代頃からのこの手の目撃例の歴史もちらちら見てるんですが、『謎の円盤UFO』ってほんとに制作当時(1970年頃)「ホット」だったUFO目撃事件をベースにイメージしたんだなー…と妙な方向で感慨にふけりました。なんか「UFO」が回転してるところとか、海から出てくるとか。(そいえばSHADOは潜水艦も持ってましたもんね)

いちおう自分との約束を形だけは果たしたご褒美として、久しぶりに見たくなったので『UFO』のDVD掘り出そうかと思います。(「ユーフォ―」じゃなくて「ユー・エフ・オー」(笑))

Youtubeに日本版オープニング(矢島正明さんのナレーションつき❤)があったので貼らせていただきます。このナレーションもたまらんですね…。


ついでに母艦サイトからの使い回しですが、以前広川太一郎さん追悼(+こどもの日)用に書いた司令官以下のイラストを貼ります。
こいのぼりに見立てたアレのポールのてっぺんについてるのが「UFO」。これが回転しながら飛んでたんですよね~。(笑)

じつは、『UFO』が懐かしくなったのはもう一つ理由がありまして。先日ツイッターでハヤカワ文庫の「海外SFデジタル化総選挙」の情報が回ってきました。現在絶版になっている作品の電子版での復刊リクエストらしいのですが、何がすごいって、懐かしい表紙がだーっと見られるのですよ♪(逆に「これ今絶版なの!?」とちょっとショックなものもありました☆)


決してSF読みではない(それを言えば決して小説読みでもない(^^;))自分ですが、これはさすがに見ていてたまりません!で、このなかに『謎の円盤UFO』のノベライズも入ってるのです!私、これの二巻だけ古書でゲットしたのですが、一巻を持ってなくてデジタルでも復刊してほしいので、一票入れてきました。複数への投票は可、ただし一冊に対して一度だけ、とのことなので、とりあえず他に『人間以上』と『オッド・ジョン』に入れてきました。(読んだものほんとに少ないんですが、これは好きだった作品です。もう「好きだった」こと以外はぼやけていますが…(^^;))

眺めるだけでも楽しいページですが、8/31まで投票受け付けてるそうなので一票いかがでしょうか。やっぱり夏はSF、ですし。(←なんかそんなイメージになってる)
昔読んだのだけでなく、表紙を見て「読んでみたい!」という作品にジャケ投票もありじゃないかと思います。別に思い出投票というわけじゃないですし。有名な作品も多いですし、個人的な感覚では「ちょっと前の古書市のワゴンの品ぞろえ」をホーフツとさせてくれるのもたまらないんですよね……また逃避がてら(?)眺めに行こうと思います。ていうか、表紙ギャラリーはもう永久保存版にしてほしいです!

うちの『謎の円盤UFO』第二巻を即席激写。番組のキャラとはちとイメージ違いますが、豪華口絵つき・本文もイラストつきです。今のような漫画風でない、リアルなタッチがまた素敵♪


2016/07/02

さまざまな記念日+アンリミテッドは8月に?

イギリスEU離脱決定からめまぐるしい一週間が過ぎました。マーク・ゲイティス兄も政治ネタツイートをわりとする方ですが、先日はこんなツイートが。たしかに毎日速報レベルのニュース多すぎ!(笑)


今週は記念日的にもいろいろありました。前回のブログはE.H.カーせんせのお誕生日ネタでしたが、6/28はカーせんせの誕生日なだけでなく、なんと二次大戦後のベルサイユ条約の調印日だったそうで。あとから知ったんですが、「ええーっなんてドラマチックな!」と不謹慎にびっくりしてしまいました!

この前も書きましたが、カーはこのときまだ二十代で、パリ講和会議に随行していて、ドイツに対する報復的な処遇には批判的だったんです。そこで決まったベルサイユ条約が彼のお誕生日に調印……映画ならいいシーンになりそうだ……!

どなたか撮ってくれませんかね。E.H.カーの伝記映画。企画としては私に大好評なんですが。(笑)

wikikpedia ヴェルサイユ条約

…そして昨日、7/1は第一次世界大戦の激戦、ソンムの戦いから100周年でした。ネットでもテレビでも、式典やソンムの戦いを解説する映像などいろいろ流れておりましたね。戦死者の象徴である赤いポピーが、やはり印象的でした。

BBC Japan: 第1世界大戦ソンムの戦いから100年 近代戦争の分水嶺

近代史、特にヨーロッパのことなんぞはまったく門外漢なのですが、小説でたまたま主人公がこのへんに詳しいという設定にしてしまったため、付け焼刃でこのへんの話題に多く接するようになりました。じつは今いろいろ動いているスコットランドも、次回作の準備で調べてたところなんです。(話の舞台を北海沿岸の漁業の町にしたいので……)国民投票前の報道記事で、漁師さんたちは圧倒的に離脱派なのだと知りました。EUの漁獲量制限や、海に廃棄できないルールなど、不満がたまっているそうで。でもスコットランド全体では残留派多数という結果だったので、複雑だなーと思っていたのもつかのま、それどころか独立うんぬんという話になってますね。外野なのにへんな心配をしております。あんまり深入りするとなんの話かわからなくなりそうなので気をつけないと。(^^;)

さて、私事ですが、一昨日6/30は自分も誕生日でした。(毎度書いてる気もしますが、ルパート・グレイヴスもこの日。おめでとうございました♪)このところ慌ただしくて、グーグル検索でおめでとう画面が出て気づいたという情けなさでした。いや、前日までは覚えてたんですけど!(^^;)もはや年をとること自体は嬉しくないですが、産んでくれた母親には感謝するべき日だなーと思います。いまだに世話になりっぱなし。いつまでも元気でいてほしいです。

都合で一日遅れでしたが、昨日念願のショートケーキをありがたくいただきました。前にコナン・ドイルせんせのお誕生日のときは、ショートケーキは近所で手に入らず代用で涙をのんだのでした…。やっぱりイチゴ+生クリームって見た目にコトホギ感があっていいなーと思います。(今はサバランのほうが希少性のために脳内ランキング一位ですが…(笑))


ついでなのでドイルせんせのときの写真を。kindleサイトからの使いまわしですが(^^;)。某カフェのフルーツロールケーキで手を打ったんですが、もう夕方だったせいかパサパサで…。まあセルフサービスのチェーンで生っぽいケーキに期待するのは無理ですね。


(あ゛、店名入っとる。すいません。(^^;))でも好きなお店で。最近近所にできて、フリーWi-Fiと電源完備というありがたい所なのです!ドトールさんより少し高いけど、週に2、3回はここで仕事させていただいてます。Push to kindleにためた記事がWi-Fiでおろさないと面倒な形になっちゃったので、記事おろしと資料読み、書き物などなど、絵以外はなんでもやってます(^^;)。ノートパソコン持ち込んでねばってる人とか、がっつり勉強している学生さんとか多いので気も楽で。

現在は外耳炎対策で耳栓を避けてるので、以前買った「集中力が増す」という触れ込みの雨音CDをヘッドホンで聞いて耳栓代わりにしてます。でもこの店のBGMはわりと大人っぽいというか、洋楽の懐メロが多くてなごみます♪詳しくはないほうなのに耳になじんでる。あの頃のヒット曲ってそうでしたね。ラジオでなんとなく聞いてたり。

今週は春から始めた外のバイトが四日連続で入らなかったので、一日くらい完全に羽を伸ばそうと思ってたのですが、なんのかんので毎日仕事周りのアレコレをしてました。でも昨日夕方に上記のお店に行って、ノルマでない読みかけの本を四冊ほど持ち込み、二時間ほどかけて全部少しずつ読んで、自分にご褒美としました。なんとなく生き返った気がするので、マメにこういう時間作りたいなーと思います。

そうそう、kindleですが、定額読み放題のkindleアンリミテッドが八月に始まるらしい、という記事が先日朝日新聞に載っていました。ネットではちらちら噂はあったのですが、天下の朝日ですからそういいかげんな情報ではないと思います(笑)。海外ストアではこれで読んで下さる方がけっこう多いのです。もちろん、これでお読みいただいた分も(販売時よりは低くなりますが)Amazonから報酬も受け取ることができますし、無名の書き手には作品を知っていただく機会が増えるので、とても待ち遠しいです。

2016/06/28

祝・E.H. カーせんせお誕生日❤+『危機の二十年』(とイギリスEU離脱)

何度かここでもご紹介している、今や萌え対象(断言)のイギリスの歴史家・国際政治学者(で元外交官)のエドワード・ハレット・カーせんせ。今日がお誕生日なんだそうです。1892年生まれで1982年に亡くなっているので、生誕124年祝い、としたほうが良いでしょうか。こーいうノリで扱う方ではない気もしますが(^^;)、勝手に盛り上がることにします。おめでとうございますー!

今までものすごくバイアスのかかったご紹介をしている気がするので、wikiにリンク張ります。客観的にははこういう方です。一番読まれている著書は岩波新書になっている『歴史とは何か』。「歴史とは現在と過去との果てしない対話である」というフレーズで知られている…そうです。(自分も拙訳(少し意訳)で小説のエピグラフに引用しましたが、これは有名だと知っていたからではなく、普通に読んで惹かれたフレーズだったから。あとでこのフレーズで知られてるんだと知りました。やはり誰の目にもキャッチ―なんですね…❤)

Wikipedia: E・H・カー

で、せんせの著書の一つでちまちまと読んでいた『危機の二十年――理想と現実』 (岩波文庫、原彬久 /翻訳)をお誕生日に合わせて読了して感想を書きたい、と思っていまして……さきほどギリギリで読了いたしました!(何カ月かかってるんだ私!(^^;))付箋はキリがないので途中から控えるようになりましたが、中身傍線だらけです!ここまで多いとぶっちゃけ線引いてる意味ないです!もー引用したくなるよーな文章多すぎですカーせんせ!ちっとは遠慮して下さいっ!(笑)

読了記念写真。ピカードかんちょを立たせたのは、自分が「外交・国際政治」的なものに初めて萌えを感じたのがTNGで、
カーせんせの著作に感じる興奮も自分にとってはその延長だから。…というのが言い訳です。(笑)



この本のタイトルが指すのは、1919年から1939年の二十年間(第一次と第二次の大戦の間の時期)。「リアリズム(現実主義)」と「ユートピアニズム(理想主義)」という概念を使いながら、国際連盟の失敗を中心とした国際関係のあれこれを俎上に乗せています。分析に際して非常に緻密であり、辛辣な「リアリスト」の面と、展望に際して時々「ユートピアン」な面とが混ざり合っています。どちらかの視点を支持して推し進める、というのではないです。だからこそリアルだ、と感じられます。そもそもが結論など出ないトピックだとも思えます。

一方で、この方の文章って、前にも書きましたがものすごく要約しにくいんです。まとめても意味がないというか、省略できる部分がない。だからご紹介するとしたら、引用をして、「あとは原著を読んで下さい」としか言いようがない。(^^;) 『危機の二十年』はアーノルド・J・トインビー教授には解決策が書かれてないとつっこまれたそうなんですが、解決策という「結論」を書くための本ではなく、問題の構造の読み解きと切り口がメインディッシュ、という感じなんですよね。

ここでカー自身がどういう背景を持つかが大きいと思うのですが……彼は一次大戦終結後…ピッチピチの二十代…に、戦後処理が決められたパリ講和会議にイギリス派遣団の一員として随行していて、そこで外交の現場を見て「失望」しています。そこで決められた条約はドイツに対して報復的であり、国際連盟もその後あまりに「ユートピア的」な理念で失敗している。そのへんの若き日の(ばかりではない)幻滅が、この方の根底にあるように感じられます。(でも、そういう「今風のまとめ」はこの方には禁物です。というか、現実は「まとめ」られるようなものではない、ということをこの方はそのまま垂れ流した芸風(?)で、そこが読みにくくも信頼できるところなのです)

今では「ヒトラー」を単体で悪魔のごとく考えるのは「常識」になっていますが、二次大戦が起こる前はそこまで想像できなかったわけですよね。カーは当時のドイツに対してはむしろ宥和的で(のちにヒトラーの本質を見抜けなかったと認めていますが)、ドイツは一次大戦後に報復的な条件を飲まされた国だ、という考えがありました。これは当時珍しい見方ではなかったようです。この流れで見ると、ヒトラーの台頭はドイツへの無茶で報復的な戦後要求への反動、という認識からドイツ宥和策に賛同するのは理解できます。(たしか経済学者のジェフリー・サックスも、「ハイパーインフレがヒトラーの台頭を生んだことを忘れてはいけない」と書いていたと思います。だからやったことを免罪できるとかいう話ではなく、そういう要因が含まれていたと認識することが、歴史から未来への教訓になるんだと思います)

カーは外交官時代に関わったロシアへの興味からソビエトロシアの研究第一人者になり、共産主義者だと偏見を持たれつつも、実際はそうではないようで……ああ、ほんとに書いたものと同様、単純に「これ」と言いにくい人で、すごく緻密な描写をしなくちゃいけない人です。でも、人間て実はみんなそうじゃないでしょうか。

…カーの本は、要約しにくいだけでなく、先ほども書きましたが、正直読みにくいです。この本のAmazonレビューでは新訳は読みやすいと書かれてますが、論の進め方が自分の目には読みにくい。しっかり集中しないと、意味がスッと頭に入ってこないです。(私だけでしょうか。最近またワーキングメモリが弱っているし(^^;))ある意味「当たり前」とも思えることを、誤解されないように緻密に表現すると、こういう風になる……という感じです。変な例ですが、ネットの記事の書き方として推奨されるような「わかりやすさ」の対極にある気がします。でも、だからこそリアルなんです。

ネットで「わかりやすく」「まとめ」られてるようなものは、あえて意図的に編集して簡略化・極論化されたものが多いと感じます。端的に言えば、ネットの記事はヘッドラインで人目を引いて読んでもらい、多くの場合は広告を見てもらうことが目的。タダに見えるネットは、実は端から端まで商業主義の「釣り」の権化です。だから必然的にパっと見てわかることがもてはやされやすく、浅薄になりがちです。こういうものに慣れてしまうと、こういうものしか理解できない・あるいは自発的に「食いついて」理解するのが面倒になります。思考の筋肉が脆弱になるというか、操られやすくなる気がする。そういう流れはすでに出ているように思うので、日々ネットに触れていることに自分でも怖さを感じています。

ちょっと話がそれてしまいましたね。(^^;) それはそうと、イギリスがEU脱退を決めたこの時期、この本を読むことは、ものすごく刺激的でした。この本が書かれた頃、EUのようなものはまだ夢物語でした。進歩はあったわけで、そのうえでの今回の状況をカーはどんなふうに分析するだろう……聞いてみたくてたまりません。

予言的とも、今の状況を見ると皮肉とも受け取れる箇所を、いくつかご紹介して締めとします。「えっ、そんな意見?」と思って読んでいると、あとで皮肉な形で扱うための前振りだったりするので、油断がなりません(笑)。(改行は読みやすさのために加えたものです)

さらに、「外国人」に関するイギリス人の心象がどれほど鮮明であるかは、一般には地理的、人種的にどれだけ自分たちと近似しているかによって変わるだろう。(…中略…)

ヨーロッパに駐在しているアメリカの新聞通信員は、事故があったときは、この事故による死者がアメリカ人なら一名、イギリス人なら五名、他のヨーロッパ人なら一〇名になった場合、それぞれ報道に値するという規則をつくったといわれている。

われわれはすべて、意識的ないし無意識的に何かこうした相対的価値基準を用いるのである。

(第3部 政治、権力、そして道義 第9章 国際政治における道義 p.313)


面倒なのは、グアテマラの権利・特権が、アメリカの権利・特権とただ相対的に――絶対的にではなく――平等であるということではなくて、グアテマラがもつ権利・特権がアメリカの善意によって初めて確保されるということである。
(同章 p.315)


自国民の利益と両立できるほどの規模で難民を引き受けるのはその国の義務ではあるが、しかし無数の外国難民に国境を開放することによって自国民の生活水準が下がるとなれば、それは一般に受け入れられる道義的責任とは言えない。(…中略…)

すなわち、国家はそのより重要な利益と深刻な矛盾をきたさない限り、この愛他的美徳を実践するべきだということである。(…中略…)

その結果、安全で豊かな国は、みずからの安全や借金支払いの問題に汲々としている国家群に比べれば、愛他的に行動する余裕があるというわけである。

こうした側面は、アメリカ人やイギリス人が通常もっている考え、すなわち自分たちの国の政策が他国の政策よりも道義において一層進歩的であるという考えの根拠となっているのである。

(同章 p.303-304)


国際的融和を求める人たちは、社会的階級間の和解プロセスをこれまである程度成功に導いてきた諸条件をみずから研究していけば、うまくいくかもしれない。

すなわち、対立の現実を素直に認めて、しかもこれを邪悪な先導者の幻想として片付けてはならない、ということである。

つまり、わずかな善意と常識があれば、それ自体を十分維持できるのだとする利益自然調和〔※支配的な者の利益=全体の利益というもっともらしい理屈〕の安易な仮説は、これを忘れ去ること、

そして道義的に望ましいものと経済的に有利なものとを同一視してはならないということ、

さらには不平等を緩和して紛争を解決するため、必要なら、経済的利益は犠牲にされなければならない、ということなのである。
(結論 第14章 新しい国際秩序への展望 p.447)


これまでの章でのべたように、犠牲を払うという動機に直接訴えればつねに失敗する、と決まっているわけではないのである。

これもまた、ある種のユートピアである。

しかしそれは、世界連邦のヴィジョンや、より完璧な国際連盟の青写真に比べて、より直接的に新しい進歩の方向を指し示している。

これら格調高い上部構造は、その基盤を探り出すのに何らかの前進があるまでは、その実現を待たなければならないのである。
(同章 p.452)



巻末の訳者解説によると、『危機の二十年』は1939年秋の第二次世界大戦勃発とほぼ同時に刊行されたとのこと。その時点でのカーせんせの思索の果実であり、もちろんその後亡くなるまで進化していくわけです。続編ともいえるらしい『平和の条件』を読んでみたいのですが絶版で、古書もマーケットプレイス等では今のところ見つけていません。市内の図書館サイトを見てみたところ、貸出中のうえにすでに予約者二人。三番目に並ぶことにして予約しました。(^^;)やはり今注目される人なのかもしれません。


2016/06/26

無料電子書籍二冊目・フランケンシュタイン(ナショナル・シアター・ライヴ)レビュー本

母艦サイトのお土産として始めた無料電子書籍(賞味期限切れの同人コンテンツ(^^;)再利用)、2冊目を先日アップしました。今回はレビュー本です。

(この無料配信はkindle本読者様へのお礼やPRを兼ねたささやかな企画ですが、紙版(コピー誌)も出しているので、もともとネット公開のコンテンツやイベント展示がなくなって1年以上経つものなど、紙版ご購入者様に失礼がないよう基準を設けて素材を選んでいます。同人誌すべてを電子化していくものではありませんので、何卒ご了承ください。m(_ _)m )


(PC用サイトのページです。見にくかったらスミマセン)

『フランケンシュタイン』はちょうど吉祥寺で再上映も始まってるようなので、復習等にお役立ていただければ嬉しいです。


上記の公式サイトはプログラム通販もあります。初期の上映ではプログラムどころかペラ一枚すらなかったですよーん(涙)。フランケンシュタインはあとから2014年分をまとめたものに入ったみたいですね。(初期はたぶん「反響が薄ければ即撤退」みたいな様子見でそこまで投資されてなかったんでしょうね。(^^;))


ナショナル・シアター・ライヴでは、他にシェイクスピア・イヤー記念の再上映(ハムレット、コリオレイナスなど)も始まってるようです。

『ナショナル・シアター・ライブ』シェイクスピア・イヤー記念特別上映詳細決定!


関係過去記事:

フランケンシュタイン
・異形の新生児と未熟な天才/ナショナル・シアター・ライヴ『フランケンシュタイン』(ベネさんヴィクターバージョン)感想
・ナショナル・シアター・ライヴ『フランケンシュタイン』ベネさん怪物バージョン感想+メイキング、再上映決定ニュース
(電子書籍はこれらの記事をペースに加筆し、英語台詞引用などをまじえて資料と共にまとめたものです)

コリオレイナス
・ナショナル・シアター・ライヴ『コリオレイナス』感想

2016/06/23

『シチズンフォー スノーデンの暴露』感想+ヴィスコンティのチラシで目の保養

見たかったエドワード・スノーデン君のドキュメンタリー『シチズンフォー スノーデンの暴露』、ようやく見てまいりました! 「君」とか言ってごめんなさい。若くてかわいいものだからそんな印象になってる。(^^;)てなわけで、正直問題意識よりファンモードで見に行きました。そういう層も観客として見込まれてるんじゃないかな。私はレディースデー狙いでしたが、前売り券は「特製ポストカードつき」だったそうで。(この映画にもちらっと出てきますが、ジュリアン・アサンジさんもけっこう好き。この手のポジションに弱いらしい。お二人ともイケメンですしね(笑))

そして映画自体は、不謹慎かもしれませんが「面白かった」です。画面は動きも乏しく地味ですが、まったく退屈せず引き込まれました。宣伝に使われている大手メディアのコメントでもジョン・ル・カレやジョージ・オーウェルが引き合いに出されていますが、そのノリで「抑制のきいたスパイ映画みたいな面白さ」があり、「しかもこれ現実なのよね?」という緊張感がじわじわ来ました。(もちろん、もしこれがフィクション作品だったら、ドキュメンタリータッチにしても淡泊すぎる撮り方ではあるのですが……でもあまり生々しくしないところが「スタイリッシュ」でもありました。編集が素晴らしいのでは。制作総指揮にはスティーヴン・ソダーバーグの名前もあります)


NSA(国家安全保障局)が一般人の通信を(テロ容疑者などだけでなく)無差別に傍受していた大量の証拠を、職員のスノーデン氏がリークした事件のドキュメンタリー。まだ終わっていない問題でもあります。タイトルは、映画の冒頭で引用されているテキスト(スノーデン氏からこの映画の監督ローラ・ポイトラスさんへ)の文末にあるハンドルネーム。パンフにはNSAの4人目の内部告発者という意味では、と書かれています。

リークが話題になった頃に、経過がまとめられたノンフィクション『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』と、協力者のグレン・グリーンウォルド氏が書いた『暴露:スノーデンが私に託したファイル』を買っていました。グリーンウォルド氏と共に最初から関わっているドキュメンタリー監督・ジャーナリストのローラ・ポイトラスさん(関わるというか、もともとこういったテーマで活動をなさっていて、スノーデン氏からコンタクトして協力を頼んだ)が、初対面時から撮影していたことは本でも書かれていたので、忘れかけている内容(^^;)を復習するような感覚と、「書かれていたあの時の映像がこれ」という感慨もありました。

「事件」全体の経過を、関係する状況と合わせて俯瞰するには、『スノーデンファイル』のほうがわかりやすい気がします。でもグリーンウォルド氏の『暴露 スノーデンが私に託したファイル』は当事者の生の言葉ですし、サブタイトルの通りファイルの中身そのものの紹介にかなりのページが割かれていて、まさに「一次資料」です。グリーンウォルド氏の主張もストレートに書かれています。原題の『No Place to Hide』(隠れる場所はない)には、追われる身になったスノーデン氏のイメ―ジと、私たちの行動が逐一監視されている、というイメージが重なって感じられますね。

本で読んだときも、スノーデン氏が公開されていた写真の印象より落ち着いた、大人っぽい態度なのが印象的でした。映像で見るとひときわです。気負いも緊張も感じられないし、やってることの命がけ度に比べたらむしろテンション低すぎるくらい。捕まったら刑務所行きかもしれないし、拷問もあるかもしれないし、なにより「消される」かもしれないことをしているのに。よく理解して覚悟をしていると語り、淡々として時々ユーモアさえ見せます。

本でもこんなふうに書かれています。

「スノーデン氏はきわめて知的で理性的、思考は理路整然としていた。彼の回答は明快で、説得力があった。(…中略…)私たちはオンラインのやりとりだけで相手の印象を決めつけてしまいがちだが、やはり直接会ってみなければ本当の姿はわからない」(『暴露 スノーデンが私に託したファイル』p.68-69)

最初に対面場所にした香港のホテルでは、毎晩規則正しく10時半に就寝し、7時間半ぐっすり寝ていることにグリーンウォルド氏が驚いています。(グリーンウォルド氏のほうは2時間寝るのがやっとだったそうです)でも、映画ではスノーデン氏もだんだんやつれていくのがわかります。香港を離れて亡命してからの映像では目の周り真っ黒。さすがに大変だったんでしょうね。

淡々といえば映画自体かなり淡々としていて、正直「ことの重大さ」を感じ取るのが難しかったです。というのは、「実際にNSAの活動によって被られた一般市民の被害」という映像が出てくるようなものではないから、想像力を必要とするんです。

個人の言動が記録され、プライバシーが侵害されること、監視されていると意識すれば自由な発言がしにくくなること、など。お恥ずかしいですが、自分のこの件に関する問題意識・権利意識はまだとても低いと感じました。まだそれ以前のところでじたばたしている状況、とも言えるかもしれません。本に付箋や傍線でチェックした箇所を読み返して、遅まきながら少しずつ理解を深めようとしていますが、個人的には別の問題に向かい合うことが必要だろうと思います。自分のいる環境は、当然ながらアメリカの白人男性が置かれている環境とは大きく違いますから。

…スノーデン氏は名乗り出ることは初めから計画していたそうですが、リークした人物が表に出ることで、リークの内容より告発者の人格のほうに話題が移ってしまうことが心配だと話しています。目的は情報の内容に注目してもらうことで、まったく人々の興味をひかないで終わることを恐れていたようです。でも人物から興味をもって内容のほうに進んでいく自分のようなミーハーもおりますから、そこはいろいろなんじゃないでしょうか……。

私の場合、そもそもこの件に深入りするきっかけになったのは……出来事の「映画みたい」なところとスノーデン氏のイケメンぶりもさることながら……グリーンウォルド氏の同性パートナーがヒースロー空港で拘束された、という新聞記事でした。映画でもサクッとそのシーンはあります。そうなのか、と。ああもう、我ながら腐女子ってやつはこれだから……。(すいません!(^^;)でもこういうフックも引き出しが広がるきっかけになるのですよー☆←言い訳)

それはそうと、読み直した本のほうで面白かったことの一つが、このリークがきっかけでインドやロシアの政府機関でタイプライターが復権したことです。デジタルはハッキングされるもの、という認識になったんでしょうね。

「プライバシーを気にする人たちはインターネット以前の時代に戻りつつあった。タイプライター、手書きメモ、秘密のランデブーが再流行。伝書バトの復活も時間の問題だった」(『スノーデンファイル 世界で最も追われている男の真実』p.237)

映画でもグリーンウォルド氏がスノーデン氏に手書きメモで部分的に「筆談」し、そのあとメモを細かくちぎるシーンがありました。この方向に行くと、デジタル万能よりスパイ映画の絵ヅラが作りやすくなりそうですね……。(そこか私!(^^;))


予告編




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さて、これを見るために、ものすごく久しぶりにシネマジャック&ベティに行きました。たぶん10年以上ご無沙汰です。横浜の小さなシアターで、良質映画やレア映画をかけてくれます。先日のまったり池袋に続き、なんか回顧を通じてモードが変わりました。いや~やっぱ映画は映画館で見なくちゃ嘘だわ。ほんとに。(なかなか難しいのでDVDにはほんとに感謝ではあるのですけど)

いろいろチラシもいただいてきましたが、夏には『ヴィスコンティと美しき男たち』と題して、ルキノ・ヴィスコンティの『山猫』と『ルートヴィヒ』修復版もかかるそうで! 行きたいですー!!!
アラン・ドロンとヘルムート・バーガー。ああ。もう。




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