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2023/10/21

『なぜ私は私であるのか』:もしくは「なぜ図書館の本は"読み切れずに返す直前"に俄然面白くなるのか」

《追記》少し長いので目次をつけました。
(bloggerはページ内リンクツールがないのでそこはご容赦を☆)

  • 前説と「最後から読む」
  • アニル・セスさんの書き方に慣れる
  • 「あのドレス」と「ファイ」
  • 「図書館本は"読み切れずに返す直前"に面白くなる」法則

前説と「最後から読む」

7月に日本で行われたALIFE 2023 という学会の公開イベントで、テッド・チャンさんとの対談をオンライン視聴させていただいたアニル・セスさん。その時著書を調べてみたら面白そうで、かつ図書館にあったので予約し、かなり待ってようやく順番が来ました。人気の本みたいです。

(学会自体のご紹介はこちらに書きました。
テッド・チャンさん備忘録:ヴァニティフェアインタビューと学会講演(2023/7/26))


『なぜ私は私であるのか: 神経科学が解き明かした意識の謎』
(アニル・セス著・岸本寛史訳・青土社)
[>amazon]


…なんですが、受け取ったのは不運にもJ庭直前! しかも市内の市立図書館全館に対して一冊しかない! 順番待ちの方々がいらっしゃるので延長はできません! うー!(^^;) 

で、イベント後にようやく本格的に読み始めたのですが…イベント疲れもあってなかなか入り込めず苦戦。「テーマは面白そう」で理解できた部分はものすごく触発されるのですが、専門用語が多くてかなり集中力を要するのです。これは挫折返却かなー…とあきらめかけたんですが、せっかくこんなに待ったのにもったいない。で、こういう時の裏技、「最後の章から読む」をやってみました。

そしたらビンゴ!入れました!(笑)よくこういうことがあるんです…思考回路が逆さまなんですかね。(笑)


アニル・セスさんの書き方に慣れる

最終章(正確には「エピローグ」の前の章「機械の心」)を読んだらすごくおもしろかったので、読み止しの箇所に戻り、再びゆっくり読み始め、だんだんセスさんの芸風(?)というか、書き進め方のクセがわかってきました。ポンと一般人には馴染みのない用語が出てきて、それがどういうことかを示す記述はあとに出てくる。(用語の説明という感じではなく、適用例を描写する感じ)

数学用語なんかだと、普通に使われる言葉が別に特定の意味を持ってたりするんですね。あぶねえあぶねえ。(笑)素人の自分には電子辞書さんにそばにいてもらわんと。もちろんまったく見たことないものもあります。「尤度(ゆうど)」なんて聞いたこともない……英語だと"likeliness/likelihood"だそうで、これなら「ありそう度」的なイメージが普通に伝わりますね。ガクモン系の用語は昔からこういう例が多い気がします。(日本語の固定訳だと意味不明の専門用語が、英語だとカジュアルでわかりやすかったりする)


さて、セスさんの書き方に戻りますが…感触としては、わかんない言葉も曖昧なまま読んでいくと、なんとなくイメージできるようになる。パーツを一つ一つ理解しながらパズルを埋めていく…というタイプではない(ように自分には感じられた)ので、「一つ一つ理解」して積み上げるつもりでいると「わかんねーよ!」「なんだよいきなりそれ!」とストレスが溜まってしまうんです。理解を一部「保留」してボンヤリ読んでいくと、急に「あ。こーいうことか☆」とイメージが下りてくる瞬間がある。そのA-HA体験(今時言わない?)がけっこう癖になって、「残りの部分も読みたい」と引っ張ってくれました。


「あのドレス」と「ファイ」

じつは学会後に偶然テレビで見たドキュメンタリーで、セスさんを見かけていました。(タイトル忘れてしまいましたが、BS1でやってた脳関係のやつ)番組で取り上げていた「ドレスの色が青と黒に見える人と白と金に見える人がいる写真」の話なども本に出てくるので、ところどころデジャブが。(「ドレス」の写真は、本の中でウィキのURLが紹介されていました。 >The dress  …私には「白と金」に見えるんですが、どう見えます?)


でも読んだ中で面白かったのは「ファイ」という章。「"全体は部分の総和以上"になること=意識」という、いきなり言われるとイメージしにくい仮説を取り上げてるんですが、これが読んで「ない」ときに「あ」の瞬間が来まして。すごく「それむしろ流行りの考え方では?」みたいな感じになりました。

"全体は部分の総和以上"自体はかなり共有されている概念だと思うんですが、それ(「全体」になった時に増えるもの)が多ければ多いほど「意識的」と言われるとイメージのギャップがあったんです。でも「あ」の瞬間に「感触」として捉えることができました。

この本、パッと見は専門用語や数値やグラフがあって理系的に見えるんですが、理解する段になるとこういう「感覚的」なものが多い感じがします。ま、テーマが「意識」ですしね。


別経路では異なる切り口で触れていた概念が、数学とか神経科学の用語で記述されてるこの感じには、「抽象的なレベルで」なんとなく覚えが……。そうだ、まさにテッド・チャンさんの作風! 自分の言葉で言うと、「カタいパーツ(数学や物理や一見無機質なもの)」で「ソフトなもの(情緒や感情、美しさ、有機的なもの)」を表現する、あの感じ。対談ではあまり噛み合っていなかったように見えたんですが(ごめんなさい、私が英語リスニング難民なせいかもです☆)こういう面で通底するものがあるんだな、なんて思ったり。


専門的な用語が多いので、パラパラッとめくっていると正直少しとっつきにくそうな印象があります。でも『エクス・マキナ』とか映画の話もよく出てきて、そこは映画好きには入りやすい。やはり一般向けに書いてるんですね。セスさんの持論を追う面はもちろんありますが、途中寄り道的に紹介される話題・別の方の研究が百花繚乱で、「へえー!」と思えるものがたくさん。むしろそちらがメインの「博覧強記」系に近いかも。「刺激を受け、視野を広げて頭を柔らかくする読み物」という感じです。読んでて「自分の考え」がわーっと湧いてきて、メモがいっぱいになりました。(たぶん夜中に読んでたせいで暴走したのもある(笑))


「図書館本は"読み切れずに返す直前"に面白くなる」法則

しかし。あー、もう返却日[※この記事を書いた10/19]です。 昨夜2時頃まで夜更かししてラストスパートしましたが(というより、読み始めたら止まらなくなったのです)、読了の割合は全体の半分くらいでお返しすることになりました。いつも思うんですけど、なんでこういう段階になって急に自分の食いつきがよくなるのか……。これで購入すると冷めてしまったりするんですよね。これってずっと「買うといつでも読めるから相対的に価値感が下がり後回しになる」のかな、と思ってたんです。でも違う要素もあるように思い始めました。むしろ購入した本は「完全に理解しなくては」というプレッシャーがあるんです。投じたお金を無駄にしたくない。だから、今回のような「わからないところは保留してボンヤリ読んでいくべき」タイプの本だと「これはダメだ」と性急に思ってしまう。「わからない」の状態でいる途中経過が耐えられないんです。(お、これぞ「ネガティヴ・ケイパビリティ」の問題ですね~(笑))


一番プレッシャーなく気楽に読めるのは、まさに「図書館で借りた本を読めずに返す直前、急いで目を通している時」。本への期待度というか、「この本からこれくらいのものは得たいという欲・得なきゃという義務感」が下がっているんです。あるいは意識されない状態になっている。同時に「手放す惜しさ」もある。だからこそ、「こんなに面白い所があるならもっと早くみっちり読むんだったー!」と思える……たぶん。だって、そもそもそれが実行できない状況だし、その義務もないんですから……気楽の極致ですよね。

(この洞察は昨夜読んでるときにひらめいて、メモに入れた殴り書きが元です。のーみその関係ない所が活性化される読書って私には理想です♥(笑))


*     *     *


いずれにしろこの本、「ゆっくりと寄り道を楽しむ本」で、タイトルや構えから想像するような「著者の仮説を知識として取り込むための本」からはちょっとはみ出す本でした。少なくとも自分には。返したらもう一度予約入れちゃおうかなーとも思うんですが…予約待ちの方の人数を見ると、たぶん次に来るのはまた2か月くらい先。そのときにこういうものを楽しむ余裕があるかどうか。(ちょうどまた12月のコミティアやコミケがあるので…(^^;))同じテンションでないのは確実だし、その時自分が何に興味を持ってるかもわからない。うーん、買っちゃおうかなー…。(他で散財した後なので悩む☆)こう思うと、本との出会いも(タイミングを含めて)ほんとに一期一会ですよねー…。


*     *     *


「最後から読む」で読んだ「機械の心」の章で、すごく印象に残ったところがあったので読書ブログにも記録しました。

牛乃の読書ノート:「最高の倫理とは予防的な倫理である。」


ご紹介したところとは別ですが、「脳オルガノイドの農場」を作りたがってる研究者さんがいるって、かなりショッキングでした…。(詳しくは本をお読みくださいませ。ソフトカバーですが索引完備(←これ大事☆)のしっかりした本です♪(^^))


ところで原題は"Being You: A New Science of Consciousness"。やっぱり英語だとカジュアルだなー☆


2023/10/09

J庭54:ご報告と感謝とディスプレイ裏話

10/8のJ.GARDEN54、無事に参加することができました。スペースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました!いろいろご報告します。会場にお越しになれなかった方もよかったらぜひ。


スペースの様子

11時の開場時にはまだスタンドの仕上げや見本のカバー付けが終わらず。でも開場直後に忙しいサークルではないので(てか1日中ヒマ(笑))、なんとか飾り付けることができました。特設ジャンル「ホラー・オカルト」で(これでも)大いにはりきったディスプレイです☆


スペース全景。
今回は机の前にポスター貼るのは我慢しました。
敷き布も黒のサテン地に。少しは落ち着いた…かな?



新刊について

『脳人形の館[新装版] 』コーナー。
小説と今回編集した別冊ふろくです。

新刊として『脳人形の館[新装版]』を発行したので、100均小物を駆使して飾ってみました。でも花はやはり後ろに壁がないと色に埋もれてしまいます。ましてや私が後ろに座るのでは台無し感100%…(涙)。でも工夫するのはめちゃくちゃ楽しかったです♪

「ハンド君」(笑)の右にある緑色の紙は、当日スペースに用意されていた特設ジャンル用のPOP。いやー、郵便物に入っていなかったので今回はないのだと思ってました!きっと土壇場で作ってくださったんですね。机上は詰め詰めで計画してしまったのですが、せっかくなのでなんとか間に押し込みました。特設ジャンル「ホラー・オカルト」の良い記念です♪

新装版は、お言葉から旧版でお読みくださっていたと思われる方がご購入くださり、感謝に堪えません。(真正の新作でなくてすみません💦)別冊ふろくに些少ですが新コンテンツを加えておりますので、少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです。(本人はコピー誌脱却で背表紙に文字が入ったことに大感激しております(^^;))

うちはSNSの活動が苦手で、二次を離れてからはあまりネットで反応をいただくことはないのですが、イベントでは必ずお立ち寄りくださる方々がおられます。お声がけはご本人にとってはウザいかもしれないので、気がついた場合でも(テンパって意識が及ばないこともありますが)遠慮しております。でも心から嬉しく思っております。

(SNSのリツイートなどでさりげなくご支援くださる数名の皆様にも、改めて御礼申し上げます。SNSは本当に苦手になってしまって、お礼の作法もわからないので、ご無礼があったらどうかお許しください。本当に感謝でいっぱいです)

余談ですが、最近Amazon(kindle)でもフォローしてくださっている方々がいらっしゃることを知り(オーサーセントラルに加わった新機能をようやく見たのです)、まったく予想していなかったので驚きました。アマゾンのフォローはほぼ新刊情報のためなので、いつか作品の形でお礼ができるよう頑張ります。(たぶんホームズやイアンなどのフィクションでチェックしていただいた方が多いのでは、と想像しております…)



ポスタースタンドのディスプレイ。
新装版と付録のPRです。
なにが「禁断の」じゃい☆(我ながら(笑))

…さて、J庭に戻りますが…今回コンナコト↑をしましたが、「美老人」を前面に出すのは寛容なJ庭でも相当難しいなあ……と思いました。(いや、問題なのは美老人ではなく私のアプローチと力量なのですが☆(^^;))瑞々しい萌えを求めておいでになるお嬢様方が、コンナモノにお目を留めるはずもなく……オノレのマイノリティっぷりを痛いほど再確認いたしました。でも、毎度ですが「需要があるからではなく供給がないから作るのが同人誌」という名言もありますし。そこは自分の嗜好と技量の限界が持つ宿命かな、と腹をくくります☆(開き直りともいう)

会場の当日企画では、ネットの新刊情報掲示板のプリントアウトの他、事前にPDFを送った小説1ページ目を掲示してくださる「お試し☆小説出会いの広場」というのもあり、自分も楽しく拝見してきました。ただ、「お試し…」は1サークル1作品だと勝手に思い込んでいたので、複数作品上げているサークルさんを見つけて「そうだったのかー☆」とちょっとショックでした。(笑)こういう企画はありがたいです。これからも続けてほしいし、企画立案したスタッフ様に大感謝です!


既刊について

既刊も(うちの基準では)わりと満遍なくお連れ帰りいただけ、ご新規様とのご縁ができたことを嬉しく思います。そうですよね。どこで聞いたか忘れましたが、「本は出会った時が新刊」なのです。自分にとっては見慣れたものでも、新鮮に読んでくださる方がおられるかもしれない、との思いで既刊のみでも参加しています。もしお気に召していただけましたら、ぜひほかの本もお試しくださいませ。


…大失敗

…ただ、その既刊のうち3冊について、午後1時過ぎまで見本誌を出すのを忘れるという大失態を演じてしまいました。(わりと会場早々に、そのうちの一冊のホームズ小説が売れたので、嬉しくて意識が飛んでしまったようです(^^;))今回は新刊以外は個々にパックした状態で持ち込んだので、その3冊は中がまったく見られない状態でした。それで「お手に取ってどうぞ~」なんて言っていたのですから、穴があったら入りたいとはこのことです。もし見本を見られなかった(…けど言うほどの事ではないし)とあきらめた方がいらっしゃったら申し訳なく…というかお手に取っていただく機会を自分のせいで失った無念さに歯噛みするばかり。情けないです。これからは気を付けます。


ディスプレイ裏話


ディスプレイに使った「ハンド君」。
絡ませた100均のフェイク植物は
つるの曲線が見事でとても気に入りました♥


気を取り直しまして、(自分が大いに楽しんだ)ディスプレイのお話など書かせていただきます♪

今回使ったリストバンド付き「ハンド君」は、じつは昔SF大会で「SFいけばな」という企画展示をさせていただいた時に作ったものです(黒のサテンもその時のものを洗濯)。展示ではピーター・カッシング主演の映画『フランケンシュタインの逆襲』(1957) をテーマにした作品に使いました。(今回は立てましたが、元は横にして切り口から生花をたっぷり生やしていました(笑))

『脳人形の館』の二人には切断四肢の再接合を共同研究した過去があり、「人形の腕」という言葉も出てくるので、イメージとして…。(でも冷静になると、J庭で「コンナモノ」を見てそそられる方はいないかも…(爆))


ご覧の通り手のデッサン模型なのですが、手首を革でくるんでいるのは別のフランケン映画『フレッシュ・フォー・フランケンシュタイン』へのオマージュです。(『アンディー・ウォーホルのフランケンシュタイン』『悪魔のはらわた』の邦題もあり。映画自体はほぼ「悪趣味」で言い尽くせる作品なので、「若い頃のウド・キアーのお変態演技が見たい♥」とかでなければあえておすすめしません(^^;))

ハトメをつけて紐を通して…とけっこう手間がかかったので、捨てるのが忍びなくそのまま物置に眠らせておりました。活かす機会ができてよかったです♪



…そんなこんなでいろいろ楽しんだJ庭でした。お連れ帰りいただいた本が楽しんでいただけていますように。

我らが神殿ビッグサイト。
帰りに振り返ってパチリ。外は雨が降り出していました。
連休のせいか鉄道のイベントをやっていて、なかなか盛況でした。


新刊の通販や電子版の方針などについては、準備が整い次第サイトなどでお知らせさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。


当日の持参品はこちらの通りです。

直近イベントお品書き(&通販・kindle版リンク)

2023/10/06

10/8開催 J.GARDEN54参加のお知らせ

直前ですみません!こちらのブログできちんとお知らせしておりませんでした💦

J庭、無事に参加の運びとなりました。特設ジャンル「ホラー・オカルト」で参加させていただきます♪

J.GARDEN公式サイト

配置は【み11a SUSSANRAP】です。

ジャストフィットな特設ジャンルにちなみ、しばらく在庫なしだった耽美風マイルドホラー小説(ピーター・カッシング当て書き)を新装版で復刊しました。タイトルは旧版から「恐怖!」を取り『脳人形の館』。(kindle版と同じになりました)16ページのカラー別冊ふろく付きです。(価格はまだ迷っているのですが、1200円前後になるかと思います)

「別冊ふろく」は、改めて見ると内容が単体では成立していないので、当初考えていた別冊ふろくのみの無料配布は行わないことにしました。(もしも当てにしてくださっていた方がいらしたら申し訳ありません💦)kindle版も表紙を差し替えるつもりなのですが、「別冊ふろく」電子版を作るかどうかについては、もう少し考えてから決めたいと思います。決定したらお知らせさせていただきますね。


『脳人形の館[新装版]』。表紙から「ピーター・カッシング生誕100周年」を外し、
ロゴをシックに(?)して漫画・イラストを外しました。
 
別冊ふろく表紙。本体で削除した漫画・イラストに加え、
「蔵出しパイロット漫画ラフ」を収録しました。

ふろくのほうは一昨日自宅に到着しました!小説本体は当日会場搬入なのでドキドキしております。これをセットにして販売します。


到着した「脳人形の館」別冊ふろく。
試作中のディスプレイと共に。


サイトに当日のお品書きページをご用意しております。サイト内でお試し読みもできますので、ぜひご利用ください。

直近イベント お品書き(&通販・kindle版リンク)


入場にはパンフレット『GARDEN GUIDE』が必要なので、事前購入なさった方はどうぞお忘れなく。これが入場証代わりになります。(事前購入するとwebカタログが使えたりして便利ですね♥)詳しくはJ庭公式サイトをどうぞ。

急に涼しくなりましたね。会場は状況によって暑く(熱く?(笑))なったり寒くなったりするので、調整がしやすい羽織りものがあると便利だと思います。

ではでは、会場でお待ちしております♥


*     *     *


編集作業中のアレコレなどは、新設したサイト内ブログにわりとマメに上げております。(このせいで告知をした気分になってしまったんですね(^^;))舞台裏日記みたいなものでちょっとこことはノリが違いますが、よかったらご覧くださいませ。

Now Working On!~現在ンなことやってます~


2023/09/17

寅さんと『おかしな二人』:ハーブ・エデルマン

 昨夜テレビで『男はつらいよ 寅次郎春の夢』をちらりと見かけたら、珍しく外国人俳優さんが。「絶対何度も見ている…っ!」と思った顔でした。でも作品が思い出せなくて、出てきたのはぼんやりと「刑事ものの主人公の同僚的な?」みたいなイメージだけ。映画での顔や雰囲気は思い出せるのに……。

で、どうにも気になって仕方がないので、allcinemaさんでキャストを確認。なんとジャック・レモンの『おかしな二人』に出ていたハーブ(ハーバート)・エデルマンでした!(名前は覚えてなかったけど「あの人かー!」と大コーフン!)

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エデルマンさん。こう見ると「いかにも山田組」な雰囲気はあるかも…。


『おかしな二人』は、ともに離婚後の友人同士——家事好きで神経質な男(ジャック・レモン)と正反対のずぼら男(ウォルター・マッソー)——が同居するコメディ。ジャック・レモンが大好きなのですが、その出演作の中でもひときわ好きな作品のひとつです。エデルマンは彼らのポーカー仲間の一人を演じていました。


右は豪華な特典に釣られて背伸びして買った海外版DVD。
左はその後日本で出たDVD。両方宝物です♪
(音楽がまた大好き♪残念なのは日本盤に特典がないこと。
字幕入りで入れてほしかった…!)


設定だけ見ると腐女子な私の琴線に触れそうなのですが、不思議なくらい「萌え」は皆無。(そもそもジャック・レモンに「萌え」は求めてないな(笑))でもものすごくチャーミングな映画です。この時代の「ニューヨーク感」、原作ニール・サイモンの味でしょうか。レモンはいつもの通りで今見るとやり過ぎ感もありますが、マッソーとのコンビネーションでうまく調和しています。他の作品でもいいコンビを見せてくれます。(『お熱いのがお好き』のトニー・カーティスといい、レモンはあのテンションをうまく受け止めてくれるバディ役がいる映画だとちょうど良いのかもしれません♥)


寅さんは最後のあたりしか見られなかったのですが、どうもエデルマンはアメリカ人営業マンで、さくらさんに岡惚れする役だったようです。(今自然に出ちゃったのですが、「岡惚れ」ってのも今どき寅さん映画を語る時くらいしか使わない言葉かもしれないですね(笑))コメディ映画の傑作である『おかしな二人』を山田洋次監督が見ていて、抜擢につながったのでは……なんて想像が広がりました。(もちろん出演作は他にもたくさんあるのですが、素人ファンのありがちな発想です(笑))思えば『おかしな二人』も、アメリカ映画にしては「人情」が人を振り回すコメディです。


そういえば、『おかしな二人』でエデルマンが演じた男の職業は警察官でした。(「刑事ものの主人公の同僚」ちょっと近かった?(笑))ポーカー仲間のレモンが離婚後の鬱で自殺しかねないと心配し、彼がトイレに行けば「(バスルームには)剃刀の替え刃がある」と言い——レモンは『アパートの鍵貸します』では「剃刀を隠す側」だったので、ファンはくすぐられます♪——、行方をくらましたレモンをぼやきつつもパトカーで探し回る、なんてシーンがありました。

山田洋次作品の「出てる人がみんな人情で動く」ところは、自分には「非現実的なファンタジー」と映り、じつはそこがちょっぴり苦手でもあります。でも大好きな『おかしな二人』が、意外にも似たトーンを持っていたのだと初めて気づきました。

笑わせながら下品に流れないところも似ていますね。…『おかしな二人』はバーのシーンに露出度高い女性が出たり、「ポッポちゃん」姉妹とのダブルデートなどありますが、セクシーな流れにはなりません。寅さんも水商売の女性がよく出ますが、下品にはならない。寅さんて好きな女性ができると「つきあいたい」ではなく、いきなり「所帯を持ちたい」なんですよね(笑)。世相もあるでしょうが、誠実で猪突猛進なキャラクターを表してるんでしょうね。それにしてもいきなり「所帯」は飛躍しすぎだといつも思うのですが(笑)……(そこも含めて「おかしい(面白い)」)


『寅次郎春の夢』は終盤しか見られませんでしたが、エデルマンが日本の居酒屋で歌を歌い、酔っぱらって寅さんと歩くシーンなんか見てると、アメリカ人ながら見事に「山田洋次映画」のキャラクターで(監督してるんだから当たり前ですがプロだなー☆)、海外ロケと思われる最後の出演シーンもそのトーンでした。ずいぶん前の映画ですが、確認したら1979年作品。その頃の日本の大衆映画で、こういう海外俳優さんの起用(ビジュアルとして日本在住の外国人さんを使うのではなくて、がっつり「外国の俳優さん」の起用)があったんだなあ……というのも感慨を感じたところでありました。


寅さんはわりと昔から海外にもファンがいるそうですね。大昔の映画雑誌で、たしかマーゴ・ヘミングウェイかマリエル・ヘミングウェイ(あいまいでごめんなさい💦)が寅さんのファンだとのことで、「寅さんのポスターを貼った部屋でキモノ風のローブを着ている」写真を見た気がします。最近も、たしかフランスで特集上映があり、異例の集客ぶりだったという記事を読みました。そういう方々の目には、「アメリカ人俳優があの人情世界に溶け込んでいる寅さん映画」ってどう映るんだろう。ちょっと頭を覗いてみたいなぁ……なんて思います。

2023/09/14

お宝本を(無料で)ゲットしたお話~ブーブー紙付レトロ新書萌え~

昨日は図書館に取り寄せをお願いしていた資料が届いて受け取りに行きました。ここは利用者が不要の本を自由に寄付していくリサイクルコーナーというのがあります。自分も寄付したりもらってきたりでよく利用しているんですが、掘り出しものがありました♪


借りた資料とゲットした『第二次世界大戦下のヨーロッパ』。
(資料は個人的な翻訳プロジェクト用なのでボカシ入れてます♥)


タイトルは『第二次世界大戦下のヨーロッパ』。二つの大戦周辺はイアン(自作小説シリーズの主役でイギリス人ゲイの歴史ライターくん)の専門領域なので、彼についていくために(笑)素人なりにアンテナを張ってるのですが、これはそれを抜きにしても惹かれました。


古い岩波新書というのも琴線に触れたところ。ブーブー紙(グラシン紙というらしい)でカバーされてるやつで、新書にもしおり紐がついていた時代です。このレトロな雰囲気には弱い。


かかっていたブーブー紙と「しおり紐」つきの本体。
ビジュアルだけでもたまらん♥

ブーブー紙はかなり焼けていてパリパリ。タイトルが読みにくいので、惜しいですが外して手持ちの透明カバーに変えました。でもこのブーブー紙のおかげで表紙がきれい! このレベルで古い古書としてはかなりの美本です。ブーブー紙優秀!古書の保護によく使われてますが、ちゃんと理由があるんですね。


調べてみたら本自体がお宝でした。笹本駿二さんという、二次大戦期に実際にヨーロッパで過ごしていたジャーナリストさんの著書だったんです。アマゾンでレビューを見たら高評価で、調べていったら前著にあたる『第二次世界大戦前夜』というのがまた名著だそうです。アマゾンでも『大戦下の…』以上のレビュー数でこれまた高評価。しかも「昔読んだ」という方が多い。中にはこの本のために初めてアマゾンを使ったという78歳の方のレビューも。(アマゾン自体について書かれています。慣れてしまったけどほんと便利ですよね)


私がゲットした本も1970年の1刷ですから、そういう世代の方の蔵書だったのではないかと想像します。そう思うとまた感慨が…。両方とも版を重ねていたようですが、現在は販売なし。古書は出回っていますが、検索しているうちに「復刊ドットコム」のページに行き着いたので、『第二次世界大戦前夜』のほうに投票してきました。よかったら清き一票を。


復刊ドットコム『第二次世界大戦前夜-ヨーロッパ1939年-』


ちらちら読んでるのですが、確かに読みやすいし引き込まれる。この時代のこなれた本て、「概念がつかみやすい」印象があります。今と違ってネットもなく、著者と読者の知識・情報源へのアクセス格差が大きかったので、断言ぽく書きやすい(?)時代だったのだろうなーと思います。その分著者の権威と責任も重いわけですね。


リサイクルコーナーでは折々良い出会いをしていて、普通の古書店(近所ではブックオフ系しかありませんが)ではお目にかからないようなものにも出会います。日焼けがひどいとリサイクル書店では値が付かないのも理由かもですね。古書店は好きで行きますが、どうしても自分が興味のあるところばかり見ることになります。ジャンルを問わず目に入る「リサイクルコーナー」は偶然の要因が大きくて楽しい。それだけに「これ」という出会いは少ないですが、良い本、そして未知の(好みの)著者という鉱脈に出会えた嬉しさはひとしおです。


*     *     *


余談:「個人的な翻訳プロジェクト」に言及しましたが、最近サイト内にブログを作り、そこに個人プロジェクトを含めた「現在進行中」のアレコレを書けるようにしました。本って作る側にいる時は「作業してる間」がメインイベントなのに、その間何もしてないように口を閉ざしていることに「自分内齟齬」を感じるようになったので。自分のなかでも外部の仕事や家事に埋もれがちなので、自分にカツをいれる意味もあります(笑)。なので、画像にはぼかしなど入れてネタバレしない範囲で書いています。ぶっちゃけいつやめるかわかりませんし(笑)、ソフトの話や愚痴など遠慮なしに吐き出してるので読み物として面白いかどうかは謎ですが、いちおうこちらではご報告させていただきます。

"Now Working On!~現在ンなことやってます~"

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