漫画は文字モノとちがう悩みどころがいろいろあって、検索していても「これが決定版!」という方法論は出てきません。もちろんこれから、KDP自体の体制が改良されれば考えなくて済むこともたくさんあるんですが。…とにかく、いろいろ拝見するうちに、途中の試行錯誤を公開することも意味があるかな、と思えたので備忘録を兼ねて残しておくことにしました。
当初、作品は英語版を先に出した『宇宙探偵ホォムズ』の日本語版を考えていました。でもこちらは紙の同人誌をまだ売っているため、構成の仕方とか(英語版では同人誌をご覧になれる方はいなかったため、紙の巻ごとではなくいろんな巻から再編集しました。条件が違う日本語版ではどうするか、など)未決事項があるので、数年絶版状態になっている『チョロQワトスン』シリーズを先にやってみようかな、と考えています。もともとチョロQワトスンを宇宙に持っていこう、という気まぐれでできたのが宇宙探偵なので、「チビの萌えキャラになったワトスンで遊ぶ」というコンセプト(?)は同じです。(笑)
さて、まずは前回やってみた方法を確認してみます。この英語kindle版では言語以外に大きな変更があって、もとのページ単位でなく、1~3コマごとに分けて表示させています。これは、出した当時…まだKDP経由の日本語漫画はあまりkindleストアになくて(『青空ファインダーロック』という初めての日本語漫画がkindleストアに出て、その後いくつかの英訳漫画が出ていた程度でした)、グラフィックノベル系のサンプルをいろいろダウンロードして読み比べてみました。ページ丸ごとで1表示、というのが多かったですが、とても小さくて読みにくく感じました。今は拡大機能がありますが、それもなかったので…。で、少数ですがページを分割して拡大表示しているケースがあって、それがダンゼン読みやすく感じたので、自分もやってみることにしたわけです。
英語版漫画でやってみた方法
理想としては、コマ分けしたものをどんなデバイスでも画面中央に表示するようにしたかったのですが、そういう指定はできませんでした。で、切り取ったコマの周りに余白をつけて、kindle本体で見たときに中央に表示されるようにしました。(当時HTMLの記述ごと公開してくださっているブログがあって、一部参照させていただきました。そちらもご紹介したかったのですが、検索してもなぜか見つかりません。とりえず自分の手順のみメモしておきますね)
1.元ファイルで台詞を英語に直し、横組みや字数増に伴ってフキダシの大きさ・配置を変える。Jpegで実物サイズで書き出し。これは表示されたコマをなるべく紙で見たときのサイズに近づけるため。kindleのディスプレイを超えるサイズのコマは縮小されることになります。解像度を忘れていまったんですが(^ ^;)、…とにかく当時のkindle本体のディスプレイに合わせました。
(Comicstudio/Photoshop 元ファイル形式が本によって二種類あったので、各々で作業)
2.適宜1~3コマ程度で切り出し、他のコマのフキダシがかかっていた部分を描き足す等の作業をする。コマが中央に表示されるように(当時のkindleディスプレイの比率で)525×650に合わせて余白をつけ、64KB以内(当時の上限容量)で書き出す。
(Photoshopで作業後、「ウェブおよびデバイス用に保存」で保存)
3.余白つきの画像をHTMLで順番に組む
(Dreamweaver)
4.ショートショート集なので、すべてのコンテンツ、項目トビラにリンクした目次をつける(Dreamweaver)
5.まえがき・あとがき・その他リンク等の文字コンテンツを追加する(Dreamweaver)
6.HTMLファイルと画像ファイルをzipでまとめ、KDPにアップロードする
…実際にはあとから台詞に修正が入ったり、別コマのフキダシがかかる部分で別バージョンのファイルを作りなおしたりしたため、行ったり来たりを繰り返してかなり時間がかかりました。台詞の量でフキダシの大きさが変わるので、Jpegに切り出してから一括で台詞を入れる手順にはできなかったんです。(^ ^;)で、いちおう出来上がりはこんな感じです。(余白のバランスがわかるように外枠を加えています。実際の画像では外枠はつけていません)
…コマ分けして結果的にページ数が増えているので、もしかしてページ稼ぎと間違われるのでは…という心配もありました。でもストアでいただいたレビューでは、ありがたいことに"fun reading experience"(直訳・楽しい読書体験)と評価していただけたので、方法としては大丈夫だったかな、と思います。(ただ、これは、この漫画が長いストーリーを流れるように読んでいくものではなく、コマごとの絵をキャラクター商品を見るように楽しむタイプのものであったため、フィットしていたのではないかと思います。他のタイプの漫画の場合、こういう方法をとったかどうか自分でもわかりません)
…長くなってしまった。(^ ^;)今の問題点についてはまた改めて書きます。