最近テレビで『サムライ』を見て、ちょっとネットサーフィンしたばかりでした。昨日訃報を知って、改めてニュースサイトをハシゴしました。一人の俳優さんというより時代や文化の象徴みたいな感じで、もう教科書に載る歴史事項レベルで二枚目の代名詞。(今でも自分には通用するので「でした」とは書きません☆)特にファンでなくとも知ってて「うっとりするのが常識」みたいな対象。唯一無二ですね。馴染んだ世代の一人として寂しく思います。ご冥福をお祈りいたします。
これで小遊三師匠もネタにしにくくなっちゃうなぁ……と思っていたら、訃報に伴って「小遊三師匠」がトレンド入り(Yahoo!ニュース)したそうで。これも別の意味で一生忘れられないかもしれません。(^^;)
毎朝ごはんを食べながらNHKBSの海外ニュース番組を見てるんですけど、今朝のフランス2(ドゥ)はほとんどがアラン・ドロンの追悼で、念入りに回顧してくれました。おかげで朝から振り返りモードに。
出演作のDVDを買い集めるようなファンではなかったのですが、普通に映画ファンにとって大切な出演作がいくつもあるので、「テレビを録画して消さなかったものが何かないかな」と見てみたら……けっこうありました。『山猫』、『太陽がいっぱい』、『サムライ』(先日見たのとは別に録ってました。覚えてなかった!(^^;))、そして『パリは燃えているか』。
他に、NHKのBSプレミアムでやったロングインタビュー『アラン・ドロン ラストメッセージ 〜映画 人生 そして孤独〜』が残ってました。ググったら「2018年9月22日(土) 午後10:30〜午後11:30」の放映だったそうで、タイミングとしては引退宣言後のようです。御年81~82歳。録画した映画のいくつかは、この関連で放映されたものみたいです。
とりあえずこのドキュメンタリーを見直しました。初見時に感想を書いてなかったようなので、改めて記録します。(再見とはいえほとんど忘れてました☆)
インタビューで印象的だった発言
(正直に「ハンサムだったので若い頃女性にモテまくったんです」とおっしゃり、付き合った女優さんに薦められて俳優になったお話の流れで)
「愛してくれた女性の瞳に一番美しく映るように……それが俳優としての原点です」
一瞬笑っちゃうくらいの言葉ですが、この人以外に、こんなこと真顔で言える人いないんじゃなかろうか?
「俳優というのは頼まれたことをやる仕事だと思うんです。そして私はその役を生きるんです。(…)つまりそれぞれの役柄を”生きる”ことが私の職業なんです」
「私もいつか死にます。そのときフランスでは”サムライが死んだ”と書かれるでしょう」
記者会見で「明日私が死んだら何と書く?」と記者に聞いたら、「"サムライが死んだ"と書く」という答えが多かったんだそうです。これは実際どうだったんでしょうね。
「ある日、信頼できる友人が「アランはすべてに才能がある」と言いました。
「幸福になること以外は…」
私はゾッとしました。それが真実だったから。
(PARIS MATCH 2003/1/16よりの引用)
他にも、「コメディアン(喜劇に限らず役者のこと)」と「俳優」の違い、という持論も興味深かったです。曰く、
「コメディアン」は若い頃から演技の専門教育を受けた人で、役を「演じる」。
「俳優」は(ドロン自身のように)学校などで演技を学んだことがなく、偶然演技の世界に入った人間で、役を「生きる」。
…素人目にはちょっと区別が難しい気もしますが、そういうお考えだったようです。
全体に字幕のフォントが映画の字幕風で、これも番組のこだわりでしょうか。翻訳が「ですます調」なので、自分が持っていたイメージよりだいぶ紳士的でした。昔の映画雑誌みたいな口調(「…なのさ」とか(笑))で訳していたらまたムードが違ったかもしれません。
ただ、ご本人が言う通り「女性好き」の面目躍如とというか(^^;)、日本人女性らしきインタビュアーさんや通訳さんへの態度に見える「サービス精神」の方向性に、ちょっと自分の感覚では引くところがあったりはしました。でもこの感じも含めてこの人の個性であり、そういう文化の中で生きてきた人なんですよね。
女性遍歴も使い捨てみたいなことではなく、実務的な情が深いというか、縁者が増えていくような関係の作り方だったのだと初めて知りました。これはジャン・コクトーの人間関係にも思ったことなんですけど、フランス的なあり方なんでしょうかねえ。ちょっと自分には不思議な「オトナの世界」です。
最初は「前置きが長いなー」と思いましたが、60-70年代にどれだけ日本で人気があったかや当時の世相、ダーバンのCM映像(ナレーションは城達也さんですね!)とその裏話まで見せてくれたりして、とっても貴重でした。まさかダーバンのCM出演を三船敏郎が説得していたなんて。そういえば『レッド・サン』で共演のチャールズ・ブロンソンも、「うーん、マンダム」のCMがおなじみで、子供でも知っていて物まねが流行ってました。ダーバンもそうで、フランス語の部分がなんて言ってるかわからない(カタカナにもできない)のがかっこよかったなぁ……(笑)
番組で言及されていた、パトリス・ルコント監督が撮る予定だったドロン最後の作品というのが気になったのですが、調べたところドロンのプロフィールにもルコントのプロフィールにもそれらしいのが見当たりません。実現しなかったんでしょうかね。見てみたかった……残念です。
女優さんとの浮名が話題になりがちな人ですが、インタビューでは先輩や同僚に当たる男性俳優さんへの敬意やら学びやらのお話がたくさん出てきたのも印象的でした。
「ビストロSMAP」の記憶…
ついでに思い出したんですが……妙に覚えているのが、日本の『SMAP×SMAP』の「ビストロSMAP」(アイドルグループSMAPの番組内で、ゲストのリクエストによりメンバーが料理を作って対決していたコーナー)に出演した時のこと。以下は記憶に頼って(ググらずに)書くので、間違いがあったらご了承ください。
たしか「マルセイユ風のブイヤベース」を注文したんですが、キムタクさんが「どうしたらそんなにカッコよく生きられるんですか」的な歯が浮くような質問(おそらく台本にあったんでしょう)をしたら、「男の生き方なんかどうでもいい。大切なのは女性だ!」とかいう意味の事をぴしゃりと返したんです。せっかくのおもてなし的な気遣いというかゴマすりというか(?)を一蹴している感じで、内容的にも「はあ?(^^;)」とちょっと引いてしまったんですが、お世辞への「一蹴」はある意味痛快でもありました。
それから、やはりキムタクさんが、たしか普通のブイヤベースでなく、具を取り出してアイオリソースかなんかを付けて食べるアレンジをしたんですね(これもフードコーディネーターさんのアイデアだとは思うんですが)。そしたら「これは私が注文したブイヤベースではない」とこれまた一蹴。味はおいしいけど、とフォローしていた気もしますが……うーん、正直なんですかね。とにかく日本のアイドル番組に出たこと自体がちょっとした事件だったのを覚えています。
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出演作DVD発見
ところで、自宅のDVD棚をよく見てみたら、アラン・ドロンが機長役の『エアポート80』がありました!
うちではたぶん唯一のアラン・ドロン出演作DVD 『エアポート'80』(邦題) |
エアポートシリーズ1作目の『大空港』(主演はバート・ランカスター)が好きで、その後結果的にシリーズ化したなかで(つながりは「空港or飛行機」が舞台なことと「…ア~ンド ジョージ・ケネディ!」くらいですが(笑))、『エアポート77 バミューダからの脱出』(これは大好きなジャック・レモン出演作なので♪)と共にありました。すでに近所のレンタル屋では見かけなくなっていたので、危機を感じて購入した記憶があります。
ドロンの役はなんと「コンコルド」の機長で、相手役は「シルヴィア・クリステル」。もう時代感120%で涙が出そう。ぶっちゃけ映画として傑作だった記憶はないのですが、よく覚えてないし美しい頃のドロンを鑑賞できるので、今夜はひとり追悼上映会しようと思います♡(この作品で追悼する人はあまりいないだろうなー…(笑))
収録吹替音声は、アラン・ドロンが持ち役だった野沢那智さん。怪傑ゾロとかもこの方の声のイメージです。嬉しい♡
しかしこの『エアポート80』、原題は『The Concorde... Airport ‘79』です。日本公開が翌年だったんですね、きっと(笑)。
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このブログでもいくつかアラン・ドロンの過去記事があるので、ついでに発掘しておきます。よろしければご笑覧ください。
『さらば友よ』(1968)/アラン・ドロンとブロンソンが「イエー」な濃厚BL映画(ある意味で)[2015/02/15]
お休みモードと『パリは燃えているか』[2015/07/20]
【珍品】アラン・ドロンがアニメーターを演じる『デーモン・ワールド』(1986)[2015/11/08]
※これ自体が2005/9/25の旧サイト内日記からの再掲です。