ロンドン警視庁の特殊部隊、通称「スウィーニー」を題材にしたポリス・アクション…ということで、モデルはあるものの架空の設定かな…?と思ってたんですが。見てみたら何箇所か「フライング・スクワッド」と言っているらしき発音が聴こえてきてびっくり!字幕には出てきませんが、確かに言ってます。…ということは、ヤードもののノンフィクションで紹介されていた特殊捜査班…「フライング・スカッド」ってこれだったのかっ♪「スカッド」のカタカナではピンときてなかったんですが、「Flying Squad」だったんですね♪(いまさら☆(^^;))
ということで、実在の凶悪犯罪専門特別機動捜査隊を題材にしたアクション映画でした。(ドキュメンタリータッチではまったくないです!あくまでエンタメ。(笑))
さらにびっくりしたのが、冒頭、武装強盗の襲撃現場に駆けつけるシーン。この人たち発砲しないんです…逃げる犯人を、バットとか持って追っかけてる。(笑)実は現在のスコットランド・ヤードについて書かれた本(ロンドン警視庁―素顔のスコットランドヤード1990年発行)に、「ロンドンの警官は基本的に拳銃などの武器は持っていない」旨が書かれていまして。ロンドンは凶悪犯罪も多そうな大都市だし、本は微妙に古いので、「はたして今現在でもそうなんだろうか?」と疑問だったんです。(本には、特別な武装パトカーや武装部隊があることは書かれていました。それでも武器の使用にいちいち許可が必要だったり、かなり使用は制限されているようです)
後の武装強盗のシーンでは「スウィーニー」の人たちも発砲してましたが(トラファルガー広場での銃撃戦。それなりに貴重♪)、簡単に銃を振り回さないのはスコットランドヤードの伝統のようです。(そのへんの歴史・いきさつは前出の本に詳しく書かれてましたが、長くなるので機会があったら別のところで♪)
武装・狙撃等が専門のフライング・スカッドの、最近の様子(この映画は2012年作品)でさえこういうことなら、現在も一般の刑事さんは非武装なのかなあ…。やはりヤードつながりで見た『刑事ジョン・ルーサー』も、殴ってるシーンのほうが多かった印象でした。イギリスでダーティーハリーは撮れないですね。(笑)
…さて、お話は武装強盗が必要もないのに人質を殺し、それを以前挙げた犯罪者の仕業と考えたベテラン捜査官が、いろいろあって窮地に立たされ…というもの。たしかに「ポリス・アクション」ではあるものの、いわゆる「アクションもの」の爽快感はなく、幕切れもすっきりとはしません。これはこれでイギリス映画の持ち味でしょうか…でも思い返してみると、アメリカ映画でも警察ものは複雑な余韻が残る幕切れが多い気もしますね…。
もうひとつ、この映画を借りた動機がジャケットに書かれていた「※『トップギア』監修のカーアクション」でした。アメリカ映画のカーアクションを見慣れてる今の観客にとっては、大して派手なことはしてません。でもなんというか、「車の肉弾戦」的なリアリティーがあって。なにより音!効果音が素晴らしい!
…『フレンチ・コネクション』や『ブリット』など、カーチェイス、カーアクションシーンが語り草になってる作品はいくつかあります。それらを「車好きではまったくない」自分が見て気づいたのは、やっぱり「音」の効果でした。前にも書いたかもですが、こういうシーンのエンジン音や急ブレーキなどの効果音は、キャラクターの心の声です。たいてい怒りが爆発してる。無言で運転してるキャラクターの代わりに、「車の叫び」で表現してるんですね。だからこの部分の効果音は音量も大きいし、たぶん目を閉じて音だけ聞いてても興奮するんじゃないかな~。
※『トップギア』はイギリスで人気のカー情報長寿番組で、日本でもBSフジで毎週月曜深夜放映中。ベネさんがゲスト出演した回を見てから番組自体にハマってしまい、忘れない限りは毎回録画して見ています♪今は2004年のシリーズをやっています。十年も前の「カー情報」番組が今でも見られることで証明されてる通り、車に興味がないワタクシでも楽しめる作り。MC兼ドライバー三人組のイギリス的毒舌ジョークや、車を壊しまくったり改造したりのハチャメチャぶり、不謹慎ぶりがたまりません。(でも意外にも(?)、女性差別的表現はほとんどないです。スタジオ収録の様子を見ると女性ファンも多いので、やりたい放題に見えて「笑えるジョーク」の線引きはかなり慎重になされてるもよう。加えて日本放映版は、字幕の「ですます調」と「カジュアル口調」の使い分けセンスが絶妙です。翻訳家さんグッジョブ!!)
車を美しく撮る点でもトップギア・クオリティーが伺えました。ピカピカの車が肉弾戦と衝突であられもなくボコボコになった様子にも「色気」が…。さすがは車の写真を見て「これはポルノだ」とか訳わからんコメントしてる番組の監修!(笑)ボコボコになる前の車は常にピカピカでしたし、車の「フェチ」な部分がたぶん、出ているんじゃないかと思います。(たぶんというのは、自分が車フェチではないため)トップギアの車の撮り方は、「高級感のあるお色気グラビア」と基本同じ気がします。完璧なプロポーションのモデルさんに完璧なメイクをさせて、一番映える角度で撮る…まさにグラビアの行き方でしょう。
キャストは主人公がレイ・ウィンストン。なにやら神話の半CG英雄映画でアンジェリーナ・ジョリーに迫られてた人…?というイメージしかないですが(しかもその映画見てない(笑))、あの映画の写真では半CGなせいかずいぶんかっこよく見えたけどなー…今回はおなかの出たむさい短躯のおっさんです。イギリス美老人・美中年系ではまったくありません(笑)。でも妙な(?)色気はありますねー。この「ミスター・労働者階級なコワモテのおっさん」(しつれい(^^;))が、なぜかエリート優男と結婚してる美人部下と相思相愛の不倫をしてるんですが…この寝取られエリート優男がなんとスティーヴン・マッキントッシュ!出ているとは知らなかったので、オープニングクレジットで名前が出てきてテンション上がりました!こーいう役似合いますわあ…(笑)。
まあそういう映画なので仕方ないですが、女性キャラの扱いはご都合だし、サービスなのかやすやすとファ●クシーンも出るし(ボカシがいるようなシーンではないですが、お子さんのいる場所では見ないほうが)、おなかの出たおっさんがエリート優男より美女にモテるシチュエーションに溜飲が下がる層向けのファンタシーと言ってしまえばそれまで(笑)。でも部分部分でけっこう楽しめました。(マッキントッシュ氏の被虐キャラはもう芸のうちですね!(笑))
なんだか「これからシリーズが始まります」みたいな終わり方だったんですが、調べてみたら70年代にやってたテレビドラマの映画化なんだそうです。(タイトルは『ロンドン特捜隊スウィーニー』)機会があったらそっちも見てみたいですー♪
とにかく、人間・車、共に「イギリスの肉弾スタントもけっこうやるぞっ」、と思わせる映画でございました☆
他、1月に見たレンタルDVD、録画映画などのメモ。感想書けてないですが…(^^;)。
『刑事ジョン・ルーサー シーズン1』
『パレーズ・エンド』1
『サンシャイン2150』
『刑事マルティン・ベック』
『ミッドナイト・イン・パリ』
『マルタ島攻防戦』
『素晴らしき哉、人生!』
『マシンガン・パニック 笑う警官』
『ビフォア・ザ・レイン』