『刑事フォイル』と『映像の世紀』
先日ちらりと書いたおすすめドラマ刑事フォイルさん。ちょうど特番があったので録画したんですが…ちょっと残念な内容だったのが悔しいのもあって書きます。(笑)ドラマは第二次世界大戦時のイギリス、ロンドンから少し離れたヘイスティングスという街のお話。主人公は警視正のクリストファー・フォイル(マイケル・キッチン)。戦争でたくさん人が死んでいるなかで、殺人事件に対する感覚が変わっていることや、戦時下の状況が有機的に絡み合っていてすごく見ごたえがあります。毎週楽しみで楽しみで。(ゲスト俳優も 豪華です。これまで見ただけでもエドワード・フォックス、デヴィッド・テナント、ロザムンド・パイク、チャールズ・ダンスなど人気俳優目白押し!)
…自分は怠惰なのか、帯ドラマがなかなか見続けられないほうなのですが、これは今のところなぜか毎週忘れません。派手なところはなく、キャラ萌えが売りでもなく、かといって重厚すぎることもなく、やりきれなさが残る感じがリアルで。陳腐な言い方をすれば「大人の鑑賞に堪える」って感じでしょうか。ミーハーな自分でもまだ「似顔絵描きたい」とか「薄い本作りたい」とかいうアプローチになってないです。路線が違うのは確かです。(笑)
刑事フォイル NHK公式サイト
で、これの番宣番組があるというので楽しみにして録画したんですが…いや、紹介サイトの「人気俳優たちがパブで大騒ぎ!?」という説明を読んでいやな予感はしたんですが…でも番組サイトにコラムを書いてる小林章夫さんも出演とのことで(イギリス関連の著書の多い方で、よく読ませていただいてます♪)それも楽しみにしていたんですが…。うーん、いやな予感、大当たりでした…。(^^;)ドラマがいいだけにすごく残念!
ちょっと前の話になりますが、『ホビット』の(一作目でしたっけ)宣伝番組が深夜にあったのを思い出しました…まったく関係ない日本のタレントさんが騒いでる映像に、作品の紹介ビデオを木に竹を接いだようにつなげてるだけみたいな印象で。…フォイル特番は、温水洋一さん演じるサラリーマンとその部下がフォイルという名前のパブに呼ばれる、という寸劇にドラマの紹介Vをはさんでるんですが…。温水さんは嫌いじゃないですが、こういう安っぽい仕立て必要でしょうか?まったく理解できませんでした。むしろドラマの持ってる魅力を紹介するには邪魔になるだけのような。(ていうかこれ、もともとフォイルファンでなかったら最後まで見ないのでは???)
…ちょうど『映像の世紀』の新しいシリーズが始まっていて……刑事フォイルは、このへんが好きな方にはかなり楽しめるドラマだと思うのです。せっかくこんなお宝の鉱脈があるNHKなのに、なんで絡めないかなあと。なんであんな軽い扱いにするかなあと。これ、元のドラマの制作者さんに「こんなふうに宣伝しました」って見せられますか?…なんて余計なお世話なことまで考えました。「わかりやすい」と「幼稚」は別だと思うんです。なんだか視聴者として馬鹿にされた気がして、印象が良くなかったです。出てる方々にはなんの罪もないので、こういうの見るたびに出演者さんお気の毒に思います…。(あ、でもフォイルさんの吹替の方が顔出しして下さって、イケメンなのはわかりました!声が好きなので嬉しかった…ですが出番あんだけ?あんだけ!?なんで普通の紹介じゃだめなの???(^^;))
…いろいろ書いてしまいましたが、ドラマ自体はとても良作なのでおすすめです。(ほんとに好きなドラマなので、すごく残念だったわけです…)単に時代設定をそこ(WW2)に持ってきた推理もの、ではなくて。自分は特にミステリ好きといわけではないので、謎解きに特化してると退屈しちゃうほうなんですが(ごめんなさい(^^;))、これはまったく退屈しません。人間のドラマとか歴史的な情報の入れ込み方が丁寧で、いろんな切り口がケンカせずにうまく融合していて。かつ「重厚」ばった感じにはならないところが絶妙のさじ加減だと感じます。
『映像の世紀』のサイトも貼っときます。これからまた再放送やってくれるようです。先日の再放送で録り損ねた回が多いので楽しみ❤二十年前に放映されたドキュメンタリーシリーズで(そんなに経ちますかねえ…数年前のよう。何本かはVHSで録ってあります)、歴史上の出来事を貴重な当時の映像でつづっていく番組です。新シリーズはそれを違う切り口にしていてるんですが…(個人的には前の、山根基世さんのニュートラルな語りでひたすら映像を見せていく演出のほうが感動が深いのですが、「わかりやすく」はなってると思う。そういう流行なんでしょうかね…)とにかく、動いているアラビアのロレンスやらヒトラーやら有名な人物、戦争などの記録映像が圧巻の番組です。テーマ曲の『パリは燃えているか』が涙腺直撃です。(たしかサントラ買いました☆)
『映像の世紀』デジタルリマスター版 公式ページ
『新映像の世紀』 公式ページ
104歳の腐女子さん
こちらは一昨日の夕刊で読んで、以前やはりかなりお年を召してから同性愛の世界に(腐女子的な意味で)開眼した、という記事を読んだことを思い出しました。そのときはお名前を記憶できなかったんですが、今回きちんと覚えました。たぶん「この切り口」だけでご紹介するのは失礼な方ですね。『…句歴は半世紀以上。映画「戦場のメリークリスマス」で坂本龍一のファンになり、70代にして同性愛的世界に開眼した。『遊戯の家』で、官能的で妖しい世界が好きな不道徳な自分を表現したら、それが「受けた」。最近は30代女性が中心のBL(ボーイズラブ)俳句誌にも参加した。…』(記事より)
記事には俳句も紹介されています。そちら系ではないですが。
朝日新聞デジタル: 俳人・金原まさ子新作「100歳になって、解放された」
記事の中の、「美しい男は見ているだけでいい」がすごく共感できます。腐女子的な感性ここじゃないかと。…そして、一般的に男性が腐女子に違和感を感じるとされているのもここじゃないかと。(自分がアクセスする範囲では腐男子さんもいるし、審美的な意味でそういう感受性を理解している方も多い印象ですけど)
腐女子は鑑賞するんですよね。男性を。実際に付き合いたいとかではまったくなくて。この男性が「客体化される」状況が、一般的な男性には心地悪く見えるんじゃないかとずっと思ってました。でも、女性はしょっちゅうそういう立場に立たされているんですけどね。不公平ですよ。(笑)
(ただ、個人的にはここ数年でリアルのゲイのカップルさんの記事とか触れることが増えまして、「審美的な意味でただ鑑賞する」というベクトルと、「リアルに生活している人たちとして捉える」というベクトルと、自分のなかでミックスしてきてます。だからすごく極端な、想像の中だけでしか成立しないような状況を楽しむためのBLは、あまり魅力を感じなくなってきました。審美的な意味では「日陰の花でいてこそ美しい」みたいな流れはあるんですけど、それとは別にリアルでは「ちゃんと結婚して家族になって一緒に暮らしていきたい」という世界もあって。どれがいい、悪いという問題でなく、ただ幅が広がったということかもしれないですが)
…閑話休題、ブログで俳句を書いてらっしゃるというので探してみました。こちらです。
金原まさ子百歳からのブログ
歌舞伎好きでいらっしゃるんだ❤やはりそのへんかぶりますね。自分もですが、知ってる腐女子さんの歌舞伎好き率はかなり高いです。はまってる人間にとっては納得ですよね…「そのセン」て。